6曲目『幸福論』〜究極のファン心理

椎名林檎『幸福論』

私は女性アーティストの曲はあまり聞かないが、椎名林檎は昔から好きだ。
特にこの『幸福論』は、出会った経緯もあって未だに思い出深い1曲である。

1.カバーされた幸福論

嵐のコンサート。デビューから2、3年目の時だっただろうか。
恐らく映像化されていなかったはずなのと、20年以上も前のことなので記憶も定かではないが。

ジャニーズは基本的にコンサートで稼ぐ事務所である。
デビューして数年間は結構コンスタントにコンサートを興行するし、間隔も結構短い。
若いんだからいけるだろ!とばかりに、1日に何回も公演を行ったりもする。
あのV6ですら、1日2公演は当たり前だったし、夏コン(コンサート)の後には必ずトニセンかカミセンのコンサートがあったり、冬コンがあったりした。年齢とともに徐々にその回数も減っていったが、運動量が異常なのでそれはまア致し方ないことであろうと思う。

嵐も例に漏れず、夏と冬だったか、春と冬だったか。最初のうち、年に何度かはツアーに回っていた。
ただ、デビューしたてのグループがコンサートを行う時に障害となるものがひとつある。
曲が圧倒的に足りないのである

大体公演時間が2時間半から3時間。
その間中MC以外はずっと動きっぱなしの歌いっぱなし。曲数は30曲前後に及ぶ。
デビューしたてのグループに、そんな数の持ち曲があるわけがない。
じゃあどうするかと言うと、大体はJr.時代に歌っていた曲や先輩の持ち曲をカバーして歌うことになる。
嵐もやっぱり最初の頃はそのようにして曲を埋めていく事が多かった。そしてこのデビュー組時代だからこそ聴ける、とてつもなくレアな曲がある。
それが、他アーティストのカバー曲である。

2.2人で歌う幸福論


私は嵐オタ時代、それこそ他のアーティストに興味がなくて、どっぷりジャニーズに浸かり切っていた人間だった。
だから嵐のコンサートで松本潤と相葉雅紀がこの曲をカバーしていた時も、そもそも椎名林檎という存在を知らず、「なんだこの曲!嵐の曲じゃなさそうだけどやたら良い曲だぞ!」とひとりで興奮していただけだった。
そこで一緒に参戦していた友人に椎名林檎の『幸福論』という曲だということを教えてもらい、コンサートの興奮冷めやらぬまま、原曲を友人の家で聴かせてもらうことになるのだが。

もちろん原曲の方が素晴らしいのは間違いないが、私は未だにこの2人が歌う幸福論も覚えている。
松本さんは喋っている時は結構きっぱりはっきりと話す方であると思うが、歌っている時は存外甘さを残したままの歌い方をする人である。
意外とキーが高く、可愛らしい声質をしているのだ。
相葉ちゃんはもうあのまんまというか。
歌ってる時も話している時もほぼ声色が変わらないので、まさに相葉ちゃん、って感じで。
そんな松本さんと相葉ちゃんが歌い上げる幸福論は、なんというか今思い返しても、マジで可愛かった

いや、可愛いじゃ足りない。マジで2人ともスーパーアイドルだった
決して可愛いに極振りした曲ではないのに、あの2人の周りに花や星が舞っているのが見えるくらい。めちゃくちゃアイドルしてたと思う。

3.幸福論は究極のファン心理

あの日私の琴線に触れた歌詞の一文がある。
今日はこれを最後に紹介して、終わりにしようと思う。

あたしは君のメロディやその哲学や言葉すべてを
守り通します 君が其処に生きているという真実だけで幸福なんです

椎名林檎『幸福論』

推しがいる方には、この歌詞の尊さがわかってもらえるだろうか。
この短い一文に、ファンとして大切な事がギュッと凝縮されている。

他人の言葉に惑わされないこと。
どんなことでも、それが推しの考えならば受け入れること。
会えなくても会わなくても、この世界に共に存在するという事象すべてをまるごと愛すること。

推しがそこに存在しているだけで幸福だとこの曲は歌う。
そこに在る推しの存在を、推しの語る言葉の全てを、その哲学や思いを、否定せずファンとして守り通す。
それはもう究極のファン心理だと私は思う。

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