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生成AIの社会的インパクトについて

ソフトバンクの孫さんの金魚の話など、AIの話題が尽きない日々が続いていますが、今回はどのように生成AIが社会的に良い影響をもたらすのかという点に注目したいと思います。

元の情報は生成AIは消費者の生活をどのように変えていくか、というアンドリーセン・ホロウィッツの記事からで、重要なキーワードはカスタマイズ、テーラーメイドです。つまり、生成AIの発展によって、個々人のニーズに応じて、よりきめ細かなカスタマイズされたサービスの提供が可能になるということです。具体的な事例で説明できればと思います。

(表紙画像、上記画像はQuazel社ウェブサイト、a16z記事より)

こちらはヨーロッパの語学教育のスタートアップの事例です。AIとのチャット、会話を通して、文法的間違いや発音の矯正が可能となるサービスを提供しています。これはDeeplやChatGPTなど直近の翻訳サービスの急速な質の向上でも体験した方も多いかもしれませんが、生成AI技術の発展により、これまでよりも極めて質の高い翻訳や、あるいは同時通訳的なサービスが可能となってきています。

これは英語の受験勉強や、留学のためにTOEFLやIELTSのための学習した方はわかるかもしれませんが、高い水準まで語学の学習を進めていくと、前置詞の使い分けや単語の自然な言い回し、あるいはスピーキングでは口の形や舌の位置まで意識して改善することが必要となります。これらは自習で進めることは中々難しく、個人家庭教師やチューターを雇うわけですが、1時間5千円ー1万円など、極めて高価となり、資本力の差が試験結果として現れる、経済格差が教育格差に直結する悪い事例となります。

しかし、今回の例のように、AIサービスが、かなりきめ細かな即時のカスタマイズされた指導まで提供できるということは、これまで財力が無ければ質の高いカスタマイズされた教育を受けれらなかったことが改善され、広く多くの人が恩恵を享受できるということです。語学だけでなく、あらゆる科目や領域で、個人チューター、家庭教師、コーチに匹敵する、自分の状況にあったアドバイスが可能なAIサービスの実現です。

ここまで言うと大げさかもしれませんが、中世の紙の誕生により教会や寺以外の場で知の伝承が可能となったこと、近代の出版技術の発展による識字率の向上、現代にビデオ等で遠隔地でも通信教育が可能になったこと、2000年代以降ネットの発展で双方向の教育が世界のどこでも可能となったことなど、これらの進歩に匹敵する、教育、コミュニケーション領域での革命的な技術革新と社会変革が今起こっているのです。

(a16z記事より)

上記は教育の例でしたが、他の事例ではメンタルヘルスのケアなどの医療分野など、コミュニケーションが必要な様々な分野でのサービスが誕生しています。また少し特殊な例ですが、中国のバイドゥはマッチングアプリに近いUIUXでAIパートナーとマッチして会話できるサービスを発表しました。対話がAI学習によりカスタマイズされ、自分が聞きたい絶妙な会話が可能になるとすると、現実世界のパートナーよりもAIと話す方が心地良いという世界がもうそこまで来ているということでしょうか。

(HiClub社プレスリリースより)

少なくとも、教育領域ではこうしたカスタマイズされたサービスが普及することで、単価が高い一流大生による家庭教師やネイティブの英語講師よりも、安い価格で、地方や途上国等、世界中どこに居てもスマホさえあれば高品質なテーラーメイドのサービスを受けられる世界がいよいよ実現してきているということです。それは経済的に恵まれていなくても、意欲や努力次第で良い結果を享受できる世界です。これは生成AIが社会にもたらす大きな希望の光の一つではないでしょうか。まだまだ日々発展が続いている状況ですので、また様々な事例を紹介していければと思います。


出典
Five Predictions for the Future of Learning in the Age of AI
https://a16z.com/the-future-of-learning-education-knowledge-in-the-age-of-ai/

Generative AI: The Next Consumer Platform
https://a16z.com/generative-ai-the-next-consumer-platform/

バイドゥ、対話型AIアプリ「SynClub」を日本で公開 アバターが自分だけの友達に
https://36kr.jp/243696/

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