分断の時代において、国際協調以外に必要な視点は何か?

6月12日より国際文化会館の理事(無報酬、非常勤)に就任しました。国際文化会館は、日本と世界の人々の間の文化交流と知的協力を通じて国際相互理解の増進をはかることを目的に設立された非営利の民間団体です。

一方で、これからの国際相互理解を考える上でも、世界が置かれている現状を踏まえることは必須です。新型コロナウイルスは、全世界の経済と社会に大きな影響を与え、各国は混乱の中で様々な課題と対峙しています。

その中でも、現時点で最大の感染者数と死者数となっている米国が向き合うBlack Lives Matterは、日本にとっても重要な問題であると考えています。新型コロナウイルスがもたらした社会的影響は、米国における格差を改めて明確にしました。黒人の死亡率が白人の2倍となった背景には様々な要因が指摘されています。リスクの高い職業で働かざるを得ない人々の割合、Social Determinnants of Health(健康の社会的決定要因)の違いにより基礎疾患を有する人々が多いこと、居住する場所の衛生環境、医療へのアクセスなどです。

一方で4000万人以上が失業保険を申請するという経済的な痛みの中で問われているのは、米国型資本主義のあり方だけではありません。Black Lives Matterという”問い”は、1776年の独立宣言において奴隷制度への反省が削除され、権利章典においても当初黒人の権利が規定されなかったという歴史も踏まえたものであり、建国時から抱える米国の民主主義のあり方につながるものです。

今後、大統領選挙の争点として掲げられる中で、民主主義の転換点となるのか、あるいは更に分断が進むのか、別の争点に吸収されて雲散霧消するのか、、、現時点ではその影響は未知数です。一方で、国のあり方そのものに立ち返っている隣国と、どの様に道を進むのかを考える必要があるでしょう。私自身はBLMには直接関わることは考えていませんが、日本における格差や分断とどの様に向き合うのか?次の民主主義をどの様に描くのか?という点で、響かせ合うことは可能かもしれません。

また多くの国々が退路のない変化の中で帰路に立っています。経済や環境、そして公衆衛生など様々な観点からつながらなければならない現在の世界において、お互いがどの様に影響を与え合うかという観点からも、国際関係を考えることは重要です。混迷の時代だからこそ、協調の中で調和を図る視点に加えて、協力して新しい道を創るということを模索したいと考えています。

国際文化会館の近藤理事長は、私に共創の重要性やアプローチを教えて下さった方です。近藤理事長との連携の中で、現在、新型コロナウイルスに対するアフリカを初めとする途上国を支えるプロジェクトであったり、共有財としてのデータを企業や国をこえて活用するプロジェクトを立ち上げ、また国際機関との連携を図っています。こうした実践を通して、新しい国際協力や文化の発展に貢献することができれば幸いです。

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