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定款

昨年末に勤め先が倒産したので、私ともう一人の設計担当と会社を興すことにしたわけです。

資本金はいくら用意したらいいのか、代表権は二人とも持つのか、一人に絞るか、定款はどうするんだとか、めんどくさいことが山積しているのに、商品の注文は入ってくるのでその製造も家でちまちまやらねばならない。

「時計旋盤」とか小さい加工装置が欲しい所だけれど、proxxonの卓上旋盤が今はホームセンターで手に入るので、そいつを導入することにした。卓上ボール盤、リューターも合わせて揃えよう。

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スマホにひっきりなしに納期の問い合わせが入る。これまで事務の女性にやってもらっていたことが、いきなり私がやらねばならない。彼女はどうしているだろう。お子さんもいたし、職を失って困っているだろう。とはいえ、新しい会社には雇える余裕がない。そのうち彼女を呼び戻せるように私たちが、きばらないといけないのだった。人を雇ってこそ一人前だ。雇用を生み出さない「会社」は悪であると思っている。

さて、定款である。司法書士に最終的に頼むのだが、たたき台の原始定款はある程度書いておかねばならない。私もいっときは司法書士をめざしたものだ。

「ポケット六法」の会社法を見ながら、ネットでひな形を入手して自分の会社に合わせて作り変えるのだ。株式会社といっても小規模なものなので、大会社のようなたいそうな定款は必要ないし、運用もできない。社名と本店所在地、事業目的、公告方法は必須記載事項であるが、さらに、株式会社特有の株式について書かねばならない(任意記載事項)。

発行可能株式の総数である。これは株式の枠と考えればよい。将来この枠内で発行し増資することができ、枠内であれば定款変更を伴わずすることができるから、あらかじめ大きく取っておくほうが良い。

ことに「非公開会社(株式非公開)」ならばこの枠の上限は無制限だそうだから、無意味に大きいのは信用を疑われるが、設立時発行株式の10から20倍の大きさに設定するのが常識的らしい。

資本金を「現ナマ」で用意しなければ設立できないから、これを一株当たりの値段を出して、発行株式を出す。可能株式総数を増やしたければ株式単価を下げればよろしい。

今はあまり問われないが株券の不発行の条項を盛り込むかどうかだ。盛り込まなければ自動的に「株券不発行会社」とみなされる。つまり株券など発行しないのがスタンダードなのだからそれでいいのかもしれない。

もう一つ重要な論点は「株式の譲渡制限」だろうか。私たちが興そうとしているような「はなくそ」みたいな小さい会社で、株式の譲渡があるとすれば、会社を辞めるとか、私が亡くなるとかの場合しか考えられないので、もともと「譲渡制限がある」のである。「取締役の承認」を得て株式を譲渡することができるというような制限条項を定款に設ける必要はあるだろう。

株式には議決権があるものだ。つまり株主はものを言うことができる。不特定多数の株主がいる場合には、株主名簿の株主に株主総会に出てもらって議決権を行使してもらって会社の運営に参画する機会を与えなければならない。その株主名簿の株主は日々変化していて、ある時期に株主名簿を締めないと、議決権数があいまいになり、定足数も割り出せない。その締める日を基準日と言うのだが、それを株主が二人しかいない場合でも定款で定めなければならないらしい。

ということは事業年度も定款で定める必要があるということだ。これは流動する資産を確定するために税務上も必要なことで、私たちの会社ではこっちの事業年度のほうが大切である。つまり毎年三月末日締めで、四月一日から事業年度が始まるというような取り決めである。棚卸し決算を毎年三月にするのである。別に何月でも構わないのだが、四月始まりか、十月始まりが日本では多いと聞く。

資本金は、パートナーが130万円を用意すると言い、私はというと20万円が関の山だとして、合わせて150万円、あと50万円分が現物(機械設備)で総額200万円としたいところだ。

もちろん彼に代表取締役になってもらい、わたしは平取締役にしてもらうつもりである。

本音は、こんな事務的な手続きなど早く終わらせたいのである。私はただ法人口座を開きたいだけで、そうしないと今までの売り上げが入金されないままだからだ。死活問題である。青色申告も来月にはせねばならないし。仮受消費税はみなさんどうしておられます?そういうのまったく不案内でね。

実質「一人親方」の船出になりそうだ。わたしはCADがトレース程度しか使えず、設計はすべてパートナーの仕事だし、わたしは自社製品の工具を注文に応じて作り続けるだけである。寝る場所もないくらいに資材が家の中に積みあがってしまった。

「親方」は真っ昼間から酒を飲んで、屁をこいて、寝るのである。ベンチャーだの、ITだの、FXだの、SEX(?)だのとは無縁である。フリーランス?言い方もあるもんだ。ホームレスにならないだけましなほうだ。「親方」は糖尿で、障碍者を抱えて、意思も体も弱い最低の人間なのである。もちろんコロナの前から在宅勤務であると言えば聞こえがいいが、体(てい)のいい内職であった。

ときに乗鞍コロナ観測所はまだあるのだろうか?調べてみたらもう閉鎖されてしまっているらしい。「太陽コロナ」を「コロナグラフ」という特別な望遠鏡で調査し、フレアやプロミネンスを観察できるもので、構造は人工皆既日食を作って太陽本体を遮蔽し、コロナ部分だけを見るようにした望遠鏡である。

太陽コロナは太陽の周囲に一様に分布しているのではなく、太陽の表面から出る磁場によってその放射は伸縮するらしい。コロナ自体は高温真空下でのプラズマ(イオン化した気体)であろうと考えられ、オーロラのように自ら発光するが、太陽の強い光で普通は見えないため、皆既日食状態を作って観察するのである。と、高校時代に科学部にいた先輩から教わった。間違っていたらごめんね。


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