おんなのこが生まれた日3

「天使うさぎ〜新太」不定期掌編

男は結婚して妻と二人暮らしを始めた頃、久しぶりにうさぎをまた飼い始めた。社会人になって親元を離れて以来のことだった。
妻の方は元来動物に大して関心がなかったものの、男の影響を受けて動物、特にうさぎが大好きになっていた。
長生きできたうさぎばかりではなかったけど、もううさぎなしの生活は考えられなかったので絶えずうさぎが一緒に住んでいた。
そして出会ったのが新太だった。新太は灰色と白色のツートンカラーで、とてもおっとりしたうさぎだった。
間も無く夫婦は娘を授かり、息子も授かった。
娘は赤ん坊の頃から新太に強い関心を示した。何しろ最初に発した言葉がお父さんでもお母さんでもなく、新太を意味する「たーた」だったぐらい。

新太は娘が幼稚園に入る年の1月に、長い闘病を経て天に召された。
娘は泣き、嘆き、悲しみから脱することがないようだった。
そこで男は、何十年ぶりかに絵を描いた。新太に翼が生え、天使になった絵を。娘も喜んで絵を描いた。
新太は、これだけ娘の強い想いを受けていたので、やはり天使うさぎになっていた。でも、絵の力で本来行くべきところへ行けず男と娘の周りを漂っていた。
その新太を導くためにやってきたのがぷーくん、そしてそれがきっかけで男とぷーくんは再会したのだった。

そして今、天使うさぎになったぷーくんと男が話をしている横で、天使うさぎになった新太と娘が嬉しそうに話をしていた。