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終わりから始まるユーロラック

こんにちは、はじめまして。
皆さんは終わりから始まる物語は好きですか?
俺は好きです。
「パンズラビリンス」とか「狂い咲きサンダーロード」とか。
最近の作品なら「コントが始まる」
普段ドラマは滅多に観ないのですが、なんとなくテレビをつけていたらやっていて、菅田将暉のいるお笑いトリオが第一話にして解散を宣言する…。
「始まる」という題をのっけから覆す展開に、自分が持つドラマのイメージ(それもかなり希薄な)を、いい意味で裏切られた気がして、とても引き込まれました。

物語の冒頭に"終わり"を持ってくるタイプの物語は、その終わり方が衝撃的であるほど「一体何が起きたのか」という好奇心と、終わり≒死に向かっていく緊迫感を得られるものです。

まあ、そんなことはどうでもいいです。

先日、所持しているユーロラックモジュラーを壊してしまいました。
今年の2月に始めたばかりなのに、速攻来た"終わり"です。

破壊する前日まで、高速ドラムブレイクとバッドアスなアシッドベースをけたたましく鳴らしていたかっこいい箱は、つまらないミスにより一瞬で沈黙し、14万円の文鎮と化したと、そのときは本気で思いました。

故障は、以下の状況で発生しました。

・モジュラーケースとして、4MS POD64 Xを使用。
・誤ってDoepfer Dark Energyのケーブル(AC/ACアダプタ使用)を、POD64 Xのコネクタに装着。
・一瞬だけマウントしていたモジュールが通電し、LED類が光ったが、小さく「ブーン」という音がして、以降、正規のケーブル(AC Adapter for Pods 36W)を装着しても通電せず。
・誤操作時に臭いや、スパークは無かった。また、目視する限り、モジュールの基盤に焦げなどの損傷は無し。
・各モジュールを一度すべて外し、1つずつ元あった場所とは別の電源コネクタに挿すも不通。
・POD 64X自体も、正規のケーブルを装着するが、バスボードのLEDに通電していない。

つまり、PODの電源部分に誤ったケーブルを挿したら終わった、ということです。

以前からユーロラックに憧れコツコツと集めていたケースとモジュール、月に2つ程購入し、6つ集まったところでこれです。
電源周りは気をつけなさいと、ユーロラックを取り扱う様々なサイト上で注意喚起されているのを知りながら、これ。
自分でもびっくりしましたし、泣きそうでした。

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まだ未完成だけど、これからだ!と思っていたシステムです。
"終わり"が来る直前まで…。
名前は「ACID A MANA号」といいます。

音源となるのはerica synthsのsample drumと同メーカーのbassline
この2つをメインに、ブレイクコアグルーブボックスを作りたいと思いながら集めていたのでした。
sample drumはその欲求にピッタリのモジュールです。
spliceにて「amen」で検索したり、BPMを200前後に設定して「drum」タグをつけたりするとたくさん出てくるドラムループなんかをつっこめる、エンコーダー1つで任意の数にスライスできる。
cv1にはサンプルスライスを割り当て、clep diazが生成する階段状のcvを入力し、スライスを順に並べたり、スキップしたり、ぐちゃぐちゃにしたり。
一方basslineは、pamela's new work outで低速のクロックをpico seqに送り、ドローンめいたベースラインを奏でたり。
pico seqの(偉大な)ランダムシーケンスボタンを押して、怪しいフレーズを流しながら、エンコーダーを弄ればそれはもう"無限"
とてもかっこいい、愉快な箱です。
このセットが揃ってからは毎晩そんなことをして遊んでいました。
残りの開口部にはdata benderをマウントして、さらなる混沌のブレイクを呼び起こそうという予定でもありました。

この楽しい時間もあっという間に終わり……と、電源が入らなくなったときは深く絶望しました。

ですが、上記故障時の状況通り、モジュールの基板には目視できるような損傷はありませんでした。
ありがちな、コネクタのピンを上下逆さまにマウントした場合は、煙を吹くだとか、基板が焦げるというのを目にします。
はて、ケースはともかく、こんなに基板が綺麗なのに、本当にモジュールまで終わってしまったのか?と、期待にも似た疑念がすぐに湧いてきました。
そうであってくれと、祈る気持ちでもありました。

どうかケースのみの故障であってくれと、激しく祈りつつ、上記状況説明をclockface modular(https://clockfacemodular.com)のお問い合わせフォームへ。
問い合わせ内容的にセットアップとは違うよなあと思いながら…。

すると早々に回答が。
“(前略)AC-ACアダプターを接続した際にPod64Xの電源のみが故障した可能性が高いと思います。
まずそちらを治すか交換し、モジュールについては交換した電源に接続して確認されるのが良いかと思います。
特に匂いや目に見える損傷などなければ、故障はケース付属の電源のみで生じている可能性が高いと思います。(後略)“

やった〜〜〜!!
ありがとうございます!!
というような返信をしたものの、俺は基本的にネガティブ思考、ぬか喜びはしたくないタイプ。
各モジュールが無事であると確証できたわけではない…と思ったのでした。

お金に余裕があるわけでなく、今月のモジュラー予算は使い果たした、新たなケースや電源は今はまだ買えない。
さりとて、ユーロラックを持っているような友人は皆無。
どうしよう………。

そうして閃いたのが、高円寺の前衛派珈琲処マッチングモヲルでモジュールの死活確認をお願いしようということでした。
いや、かなりダメ元というか、流石に迷惑だろうと、正直なところ思いました。
ユーロラック関連のイベントを行うことがあり、店内にも関連の商品を取り扱っているから、ということで思いついたアイデアなのですが…。

とは思うものの、一刻も早くモジュールの状況を確認したかったので、リュックにモジュールを突っ込んで、無理は承知で、出勤前にお邪魔しました。

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夜勤前で、お昼ご飯も兼ねていたので、アイスコーヒーとオムライスを頼みました。
オムライスふわふわで美味しかったー。
料理がすごく美味しいんですよ、ここ。

そして、人が少ないタイミングを見計らい、店長さんに「このような理由でモジュールが生きてるかの確認をさせていただきたく…」とお願いしたところ、快諾して頂けたました!
機材を持ってきてくれ、持参したモジュール一つ一つ電源に繋いでもらいました。
そして、モジュールたちはケースを除いて全て起動したのです!
その時の安心感たるや!

このようなお願いを聞いて頂き、本当にありがとうございました。
いつ行ってもとても素敵なお店です。

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心の底から安心したのでコーヒーのおかわりと、パンケーキを頼みました。
これも美味しい。

そんなこんなで、方々からお世話になり、まだ"終わり"ではないことを確認することができました。
とはいえ、ケースは終わってしまったし、かかった金額は約2万円と、わりと痛いものではありますが…。

そして終わり終わりと述べてはおりますが、もしもこのやらかしによって、全モジュールが終了していたとしても、改めてもう一度買い直したいと思っていたほど、ユーロラックは魅力的かつ中毒的なものです。

ですが、皆さん、ユーロラックを扱うときは電源には本当に注意しましょう。
・バスボードのコネクタの向き。
・ケーブルの赤いラインは-12vに繋いであるか。
・電源にケーブルを挿す前、正しいケーブルかの確認(というかこれはユーロラック固有のものでなく、全ての電子機器に共通する注意事項と思いますが…)

ところで、壊したPODどうしようかな。
と思っていると、給料日間際、タイミングよくclockface modularに中古で電源モジュールuzeusが1万円で入荷していたので、購入しました。
しばらくはそれをマウントして、遊んでいられます。

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とりあえずPODのバスボードを外してみました。
バスボードにも目に見える損傷ねえな…なんでだろう…。
まあ、電源を直すなんて、俺にはとてもじゃないが考えられないのですが。

しかし、PODの奥行きの深さと、ロゴが掘ってある面のスペースを見ていたら、ちょっとしたDIYのアイデアが浮かんできました。

終わり


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