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アメリカで出会った100の光景 No.33(大自然の絶景)アメリカで一番大きな砂丘・グレートサンドデューンズ

国立公園に向かうときに、おさびし街道と呼びたくなるさびしい道を通ることがある。おさびし街道には2種類ある。轍があることで、どうやらここが道であるらしいとわかる、対向車がきたらどうしようと思うほど、狭いラフな山の中の道。もうひとつは、広い立派な道路なのに、ほかの車にめったに合わない道。
グレートサンドデューンズは、草の匂いが鼻につく、後者のおさびし街道をひた走ったあとに、ようやく見えてくる。


遠くに見える砂山がおそらく目指している砂丘なのだろう。
なんだ、アメリカで一番大きい砂丘といっても、それほどでもないんじゃない。それが最初の感想だ。

しかし、車はなかなかその砂丘に近づかない。ようやく公園のゲートにたどり着き、ビジターセンターの駐車場に車を停めると、やっと砂丘の全容が見えてくる。
背後に4000mの山々を従えた砂丘は、なんだかなまめかしい。そして広い。


さて、いよいよ砂丘に向かう。
途中には、海辺よろしく砂の城が作られていた。
この辺はちょっと掘ると水が染みだしてくるくらい湿っているので、形が作りやすいのだ。

目の前にあるはずの砂丘。これがまたなかなか近づかない。
本当は先が開いた靴がいいらしいのだが、普通のスニーカーで来てしまった。後悔しかない。
スニーカーには払っても払っても砂が入ってくる。もう諦めて、靴下ともども途中で脱いで、手に持ったまま歩く。9月の砂丘は、裸足で歩いても大丈夫な温度なので助かった。真夏だと、やけどをするくらい熱くなるときもあるらしい。
靴はその辺に置いたまま歩いても、誰も盗る人もいなそうなのだが、帰りに同じルートを通るかわからないので持ち歩いた。じゃま。

砂丘のふもとまで行って、初めてその大きさに驚くことになる。大きい!
てっぺんまで、駆け上がりたい!
そんな衝動にかられて駈け出したが、すぐにへこたれた。まず砂にずぶずぶ足が埋まって、足がなかなか進まないこと。そして息切れによって気づく、標高の高さ。砂遊びではなく、山登りに近い感覚が味わえる。
足跡の着いていない場所を求めて歩いても歩いてもなかなか到達できない。そして、目指していた山のてっぺんについたかと思うと後ろには次の山が待っている。蟻地獄だ。楽しいけど。


裸足で踏みしめてみると砂の粒の大きさが場所によって違うことがわかる。歩き始めた駐車場から砂丘に向けて強い風が吹くので、歩いていくうちに砂の粒がだんだんと細かくなっていくのだ。
また砂の粒が同じでも日に当たっている場所の砂のさらさらした感じと、日陰のしっとりした感じでは全く違う。
こういうところでは、頭ではなく足の裏の方が考えているなあと感じる。

最初、たいしたことがない、なんて思ってしまってごめんなさい。歩いてみると、その広さと高さを十分に感じられる大きな砂丘でありました。

グレートサンドデューンズ国立公園(コロラド州)
Great Sand Dunes National Park


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