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アメリカで出会った100の光景 No.34(大自然の絶景)デスバレーでトレッキング モザイクキャニオンのBGMは戦闘機の爆音


デスバレーといえば、過酷な気候で有名な場所だ。
真夏の最高気温56.7℃、7月の平均気温42.3℃はいずれも世界一。
雨がほとんど降らないと思いきや、一度降れば道路すら壊すほどの鉄砲水となる。
真夏を避けたとしても、冬は冬で寒さと強風がとてつもない。

ちなみに、夏でも冬でもない4月に行ったときには、砂嵐に見舞われた。道路の前方は真っ白な砂の中に消えていった。前を走っていた車もすぐに見えなくなった。もっとも、めったに対向車ともすれ違わないような場所ではある。

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荒涼な砂漠しかないという印象が強いデスバレーに、トレイルがあると知って訪れてみた。
その名はモザイク・キャニオン。大理石の峡谷の隙間を歩くのだという。

デスバレーの峡谷を自分の足で歩くのは初めてのことだ。他は車で行くビューポイントしか行ったことがなかった。車を降りてちょっと歩くだけでも、干からびるかと思うほど暑かったり、こごえるほど寒かったりと、自然の厳しさを存分に感じられる場所デスバレー。10月のトレイルは、いったいどんなことになっているんだろう。

キャニオンというだけあって岩に挟まれているトレイルを歩き始める。最初は広かった岩の間が、歩くうちに徐々に狭まっていく。
意外にも地面は砂利。しかも、ショベルカーで運ばれてきたかのような灰色の砂利だ。

岩の色が場所によって全然違うのが面白い。

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更に狭くなった岩の間をくぐり抜けるように進む。迷路みたいで楽しい。
この辺りの岩はすべすべ大理石。

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よじ登れるところはよじ登って、先へ先へ。
マイペースで写真を撮るのに没頭していた夫は、迷路の中に置き去り。
頭だけが見える。

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狭くなっている部分を抜けて視界が開けると、途端に日差しのキツさを感じる。
結局何月だろうが、日が出てれば暑いし、喉は渇くし、紫外線は気になるのだ。

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更に先に進むと、だんだん歩く人が減っていくとともに、景色が変わっていった。周りを取り囲んでいる石の種類も変わっていく。
スベスベから、ザラザラに。形も板状だったりトゲトゲしていたり、ところどころでキラキラしていたりと、特段石好きでなくても興味をひかれる。

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しかし、歩いていて気になることがあった。音だ。
普通、国立公園のトレイルを歩いているときに周りから聞こえてくるのは、風の音、川や滝で水が流れる音、落ち葉の上を歩くリスの足音など、自然を感じる音だ。
なのにここでは違っていた。自分が踏みしめる砂利の音の他に、時折聞こえてくるのは、上空からの轟音。
なんと戦闘機が通り過ぎていくのだ。
音に顔を上げると、姿を現したと思うとあっという間に消えていく。
国立公園と戦闘機とは相容れない気がしたが、後から調べて見ると、デスバレーは特別に軍用機の飛行が許可されているそう。
訓練飛行を間近に見ることのできる「スターウォーズ峡谷」と呼ばれているスポットもそばにあるらしいので、次回行くことがあったらぜひ見てみたい。

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トレイルは、相変わらず木の1本も生えていない殺伐とした風景。とにかく恋しいのは木陰。

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しかし、他の人に会わないさびしさと喉の渇きに負けずに、頑張って歩いていくうちに、再び岩と岩の間が狭くなり、トレイルは日陰になった。

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日陰にさえなればこっちのもの。急に強気になるわたし。
トレイル自体はだらだらと登っているものの激しい登りではないので、歩くのは苦ではない。

しかしわたしの強気は、トレイルをふさぐ大きな岩によってあっという間にそがれた。

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よじ登るとこんな風景。

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この先は自己責任で、という立て札をこの近くで見たような見ていないような。
はい、そうします。ということで潔くここまでで引き返すことにした。

10月のデスバレーはやっぱり暑かったけれど、この場所の知らない一面を知ることができたことは間違いない。

モザイクキャニオン/デスバレー国立公園(カリフォルニア州・ネバダ州)
Death Valley National Park



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