見出し画像

【レポート】音楽のエリアデザイン「Song for 伊勢市」 &音楽のインスタレーション「Music Tree Project for 外宮参道」 2021.11.15

Vegetable RecordのSyotaro HayashiとRyota Mikamiが、2020年11月24〜30日、伊勢市に滞在しながら楽曲「Song for 伊勢市」を制作、2021年11月12〜16日、「Song for 伊勢市」を複数の場所で展開させていく「音楽を使ったエリアデザイン」としてリリース。

緊急事態宣言などの影響もあり、1年がかりのプロジェクトとなりました。

画像38
画像41

Vegetable Record / ベジタブルレコード
「音楽の新しい楽しみ方・価値観を創る」をコンセプトに掲げた、音楽レーベル。ソロアーティストのSyotaro Hayashi(写真左)とRyota Mikami(写真右)により設立。デジタル/商業空間/プロダクトなどあらゆる対象を、CD/カセット/レコードと同じ音楽のメディアとして捉え、建築空間やプロダクトに対して音楽作品をリリースするように「音楽を使った空間デザイン」「音楽を使ったプロダクトデザイン」などを手がけている。ワークショップやライブ、インスタレーションも多数開催。www.vegetablerecord.com

2020.11.24〜30
リサーチ〜楽曲「Song for 伊勢市」制作

本作は、伊勢市内に宿泊滞在して創作活動に取り組むプロジェクト「伊勢市 クリエイターズ・ワーケーション」の企画のひとつ。

伊勢の街から着想を得て、楽曲「Song for 伊勢市」を制作。レコーディングは伊勢の宿泊施設やスタジオにて実施。音楽で市内を表現しました。

楽曲の中には、滞在中に2人が録音した「神社の玉砂利を掃く音」「大湊の貝殻の音」「河崎商人館の床板のきしむ音」「二見浦の波の音」など、伊勢の様々な音も曲の要素として散りばめられています。

あd.004
あd.001

Apple MusicやSpotifyでもお聴きいただけます。

2021.11.12〜16
楽曲「Song for 伊勢市」のリリース

滞在から1年後、「Song for 伊勢市」を様々な場所で展開させていく「音楽を使ったエリアデザイン」としてリリース。

メインイベントとして、外宮参道全体を使った、1日限定の音楽インスタレーション「Music Tree Project for 外宮参道」を行いました。

画像21
概要_外宮参道インスタレーション_1006.001

音楽を使ったインスタレーション
「Music Tree Project for 外宮参道」

街に「見えない音楽の木」を植えていく、Vegetable Recordの新作プロジェクト「Music Tree Project」。その第3回目を外宮参道で実施。

外宮参道内にある38基の行灯上に音楽を入れた小型スピーカーを38台設置。38台それぞれからは異なる音楽(「Song for 伊勢市」をインスタレーションに合わせてリアレンジ、38個の楽曲のかけらに分割しました)が流れ、互いに常にずれ続けながら調和し合います。

画像34
画像35
外宮参道インスタレーションマップ.001

音楽付き行灯

関連企画として制作した「音楽付き行灯」。

画像33

参道内の行灯1基のみ、伊勢和紙に音楽のQRコードと楽譜を印刷。スマートフォンで読み取ると、「Song for 伊勢市」をフリーダウンロードできる仕組みです。

画像31

複数のメディアにも掲載され、幅広い方々に作品をご体験いただけました。

メディア掲載

画像41
毎日新聞

メディア出演(テレビ)

画像41
画像42
名称未設定.001
名称未設定.002
名称未設定.003

音楽を使ったエリアデザイン「Song for 伊勢市」

ひとつの音楽「Song for 伊勢市」を伊勢市内の様々な場所(インスタレーションを含めると6ヶ所)で展開。建築やグラフィックのエリアデザインと同じように、目に見えない「音楽を使ったエリアデザイン」を実施しました。

賓日館 / 館内の音楽
伊勢・船江温泉 みたすの湯 / 館内の音楽
高柳商店街 / アーケードの音楽
しんみち商店街 / アーケードの音楽
河崎・川の駅 / 施設の音楽
外宮参道 / 音楽のインスタレーション

※ 流れる日程・時間帯は場所によって異なります
※ 施設内の楽曲が流れる場所は変更する場合があります
※ みたすの湯のみ2020年よりご使用いただいています

インタビュー

今回の取り組み(音楽を使ったエリアデザイン「Song for 伊勢市」)について、関係各所の皆さまよりコメントをいただきました。

賓日館 / 館内の音楽

NPO法人 二見浦・賓日館の会
会長・事務局長 奥野雅則さん

(施設内で音楽を流すという)試み自体は今まであまりなかったことなので、伊勢市の色々なスポットに行って、同じ音楽(Song for 伊勢市)が流れている。これが伊勢市をイメージできる大きなツールになってくれればいいなということで、ここ(賓日館の大広間)では短期間ではなくて、できたら長期間流したいと思っています。

画像1
画像3
画像3

賓日館
明治20年、伊勢神宮に参拝する賓客の休憩・宿泊施設として、神宮の崇敬団体・神苑会によって建設。明治から大正、昭和、平成、令和へと二見町の近代史を語り伝える国指定重要文化財。

伊勢・船江温泉 みたすの湯 / 館内の音楽

株式会社ミタス伊勢
髙馬江菜さん

この曲(Song for 伊勢市)を1年間くらい、館内で流させていただいているんですけど、最初は皆んな、普段流れていない館内音楽にすごい違和感があったみたいなんですけど、今はもう流れていない方が違和感というか。よく耳を澄ませて聴いてみると、玉砂利の音だったり、波の音だったり、伊勢市のいいところがたくさん詰め込まれた歌(曲)だなと思っています。これからもしばらく流させていただくので、よろしくお願いいたします。

画像6
画像5
画像4

伊勢・船江温泉 みたすの湯
三重県伊勢市にある11種類のお風呂とサウナは楽しめるスーパー銭湯。

高柳商店街 / アーケードの音楽

伊勢高柳商店街振興組合
総務部長 中上浩和さん

とても癒される、いい音楽だと思いました。伊勢をイメージさせる、玉砂利の音とかも入ってまして、地元の方のみならず、観光客の方にも喜んでいただけるのではないかなと思っています。

画像7
画像8
画像9

高柳商店街
毎年初夏に開催される高柳の夜店は伊勢市の夏の風物詩となっている、伊勢市曽祢と同市宮町にわたる東西約400mに及ぶ商店街。

しんみち商店街 / アーケードの音楽

伊勢銀座新道商店街振興組合
専務理事 野村悦司さん

音として、普通の音楽ではなくて、鳴っていて心地よい音なので、商店街を歩いている方が「あれ?」っていう形で感じていただけたらいいかなという気がします。

画像10
画像11
画像12

しんみち商店街
伊勢市宮後(みやじり)一丁目から大世古二丁目まで、東西方向に伸びる総延長570mの商店街で、伊勢市最長の商店街。

河崎・川の駅 / 施設の音楽

NPO法人 伊勢河崎まちづくり衆
理事・伊勢河崎商人館 事務局長 西城利夫さん

やっぱり日常の場所で、こうやって音楽が流れてくるというのは気持ちがいいですね。特にここの場合は、(施設の)前に勢田川がありますから、勢田川の流れと共に聴こえてくるのが非常にいいですね。

画像13
画像15
あ.001

河崎・川の駅
河崎と神社港を結ぶ和船みずきの船着き場。勢田川に面して立つ駅舎風の建物は、かつて伊勢市内を走っていた路面電車のそれをイメージして建てられたもの。

外宮参道 / 音楽を使ったインスタレーション

外宮参道発展会
会長 山本武士さん

今回のイベントは、(コロナの影響で)延期延期となっていたんですけど、やっと今日が迎えられて、外宮参道としても皆んな喜んでいます。色々なイベントはこの通り(外宮参道)で今までもあったんですけど、こういう音楽を流すっていうのが初めての試みなので、今日1日、色々な方の感想が
これから来ると思いますので、それをフィードバックして、是非また次につなげていただいて。普通の商店街ではなくて、伊勢神宮の参道ですので、そういったところでも、色々な方がこの通りには来ますので、なにか感じていただいて、いいお参りに繋がればな、と思っています。

画像16
画像17
画像18

外宮参道
宿泊施設・食事処・甘味処・軽食・土産物・特産品など様々な店が立ち並ぶ、伊勢市駅から伊勢神宮外宮へと続く参道。

伊勢和紙 / 音楽付き行燈

大豐和紙工業株式会社
取締役 中北喜亮さん

すごく商店街(外宮参道)としては、ありだなと思います。ましてや、伊勢をイメージされたっていうのが、それが皆んなにとって、そういう風にイメージできるかは分かりませんけれど、商店街(外宮参道)として、こういう音は賑やかであってもいいかなと思います。

画像43
画像44
画像45

伊勢和紙(大豐和紙工業株式会社)
三重県内唯一の和紙メーカー。神宮御用紙を製造し、伊勢神宮の神宮大麻用途をはじめ、多くの寺社に和紙を提供。1994年、三重県指定伝統工芸品に認定。

伊勢市役所

産業観光部 観光誘客課 観光誘客係
主事 三宅亮次さん

素敵な企画をいただいて、本当にありがとうございます。延期延期になってしまっていたんですけれども、無事になんとか開催できたこと、本当に嬉しく思っています。外宮参道なんですけど、やっぱりいつも静かな感じで、観光客の方が結構歩いてる、という印象なんですけれども、やっぱりそこに音楽っていうところで、色々な音が混じり合って、楽しい雰囲気なのかなという風に思っていました。街の人ですとか、観光客の方が、色々なことを感じていただけるのかなと思うんですけれども、そういったものを通して、伊勢市とアートと音楽っていうところで、感じていただいて、また伊勢に来たいなって思っていただいたり、楽しいなって感じていただけるものになっているのかなと思っています。引き続き、別の事業でも色々とやっていければと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

産業観光部 商工労政課 商工係
立花健太さん

およそ1年越しのプロジェクト、無事に成功したことを非常に嬉しく思っています。1年前、Vegetable Recordのお二人が伊勢に来ていただいて、色々な伊勢の音を採集(録音)していただいて、出来上がったのが「Song for 伊勢市」です。この曲作っていただいて、本当に街中で流していく。どんな姿になるのかなって想像もつかなかったんですが、実際私も外宮参道を歩かせていただいて、まさに音が街にインストールされてる、という感想を持ちました。本当に僕らにとっては慣れ親しんだ場所が、お二人の作品によって、なにか違った場所のような、幻想的な気持ちになるような不思議な感覚でした。変な違和感があるわけじゃないんですね。観光客の方も違和感を感じているような姿ではなくて、新しい伊勢の姿を音楽の力で引き出してくれた、そんなような印象を持ちました。是非また伊勢の色々なところで、作品を拝聴したいなって思いますので、よろしくお願いいたします。

伊勢市
三重県南東部に位置する都市。 伊勢神宮の鳥居前町として発達した都市で「神都」の異名を持つ。かつては宇治山田市を名乗っていた。

場所や技術を快くご提供いただいた皆さま、実現のためご奔走いただいた伊勢市役所の皆さま、本当にありがとうございました。

画像46

<2020年11月24〜30日/2021年11月12〜16日 伊勢市にて>





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?