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【常識は非常識?!】腹式呼吸で歌が上手くなるわけがない

反感買いそうなタイトルですがぶっちゃけ真実です。
TwitterやらInstagramやらで「腹式呼吸でいい声を作りましょう!😀」とかしょっちゅう見かけますが「恥ずかしいからやめてくれ」って感じなのです。

繰り返し言います。

「腹式呼吸」で歌が上手くなることはありません!!!!


例えとして、巷でいうところの「腹式呼吸の効能」を幾らかあげてみましょう。

・音程が良くなる
・音量が上がる
・長いフレーズが歌いやすくなる
・声が通る様になる
・高い声が出やすくなる

などなどがあります。
これらが腹式呼吸で改善される事柄だと言うのです。

ぶっちゃけてしまうと「う〜ん…」って感じなんですよ(笑)
棘のある反論になりそうなのでこの時点ではひとまず深く言及しないでおきますが、
「そもそも腹式呼吸ってなんなのかわかっています????」


そんな魔法じゃありません。
(実は、まともに解説できている方にお会いすることはなかなかありません…)

そこで今回の記事では、正確な腹式呼吸の意味を把握するところからやっていこうと思います!!

※呼吸法そのものを否定しているわけではありません。
数多くあるヴォイストレーニングメソッドのそのどれかをいたずらに否定しようとしているのではなく、明らかに誤った情報が溢れかえっているので論理的にそれらを訂正していこうという趣旨の記事になっております。


1. 腹式呼吸についての誤解と訂正

大体の方は
「腹筋を使う呼吸でしょ?」
「横隔膜で吸ったり吐いたりする呼吸!」
「鼻から息を吸う呼吸のこと!」

ちょっと詳しい人だと
「(胸からお腹にかけて)圧をかける呼吸!」
「吐いている時はお腹をへこませ 吸っている時は膨らませる呼吸!」
「胸郭を動かさない呼吸!」

挙げ句の果てには
「全集中の呼吸!!」
「波紋の呼吸!!!」
とか言うんです。

そして残念なことに
上記の全てが正確ではなく、間違っています。


正確な意味で腹式呼吸とは、横隔膜を引き下げることによって胸郭を全体的に使い呼気を取り込む呼吸のことなんです。

※ちょっと長くなりますが、上記の誤解を一つずつ全て訂正していきますね。

「腹筋を使う呼吸でしょ?」
→腹直筋や腹斜筋、腹横筋は補助筋として使われますが重要なのは肋間筋ですし、一般的な腹筋トレーニングで鍛えられる箇所とは別物を求められます。

「横隔膜で吸ったり吐いたりする呼吸!」
→横隔膜の運動は吸う時に起こり、吐くときは反作用的に勝手に動くだけですので「横隔膜を使って声を出す」と言うのは嘘です。

「鼻から息を吸う呼吸のこと!」
→鼻から吸わなくても腹式呼吸はできます。なので「鼻から吸う呼吸≠腹式呼吸」です(やりやすいやりにくいと言うのはあります)。鼻から吸うメリットはフィルターとしての役割(健康法的なもの)か、余分に息を吸いすぎないと言うところくらいでしょう。歌では普通は両方使います。

「(胸からお腹にかけて)圧をかける呼吸!」
→呼吸の圧は「かけるもの」ではなく「結果的に一定量かかるもの」。歌の中で100%以上の呼気を取り込むことは、普通の歌ではまずあり得ません。(ほとんどの場合、肺活量は多く求められていません)

「吐いている時はお腹をへこませ 吸っている時は膨らませる呼吸!」
→息を吸った際には、お腹に限らず胸郭全体が均一に膨らむ感覚が正常なので、背中や腰回りまで膨らみます。吐く際にはそれが反作用的に収縮していくのでイメージとしては膨らませた風船の口を閉じずに離すのが近いです。

「胸郭を動かさない呼吸!」
→ググるとそうやって出てくるのですが、胸郭は空気を取り込んで肥大、放出して収縮しているので動いています。(ていうか胸郭が動かない呼吸ってなんだろうw)
よくいう胸式呼吸のわかりやすい例が「肩を動かして胸郭を上下させるもの」だから、それに対して動かしていない様に見えることでそう言われているのだと思われます。

(波紋の呼吸や全集中は論外です!転龍呼吸法も同じくw)


要するに。

一般的に言う腹式呼吸とは、
過度の服意識呼吸であって正確な腹式呼吸とは別物の理論なのです。



2. 腹式呼吸の効能についての誤り、誤解の訂正

先ほどあげた効能の例も上の項目のように一つ一つ解説したいところなのですが、発声そのものについての解説は非常に厄介(ボリュームを抑えるのが大変)なので、なぜ

・音程が良くなる
・音量が上がる
・長いフレーズが歌いやすくなる
・声が通る様になる
・高い声が出やすくなる

と言うのが腹式呼吸で改善されないのかを簡潔にお話ししましょう。


まずはわかりやすい例からあげます。

現在オリンピックが開催中なわけですが、スポーツ選手の方は並大抵の身体能力ではないでしょう。
腹式呼吸なんてできていて当然でしょうし、筋持久力は一般人と同じなわけがないと思えるはずです。

…ではスポーツ選手の皆さんは圧倒的な歌唱力をお持ちなのでしょうか??

音程がよく、声量があり、高いフレーズも苦なく長く歌え、音質もいい?

…そんなわけがありませんよねw

歌の上手い人がみんなスポーツ選手ばりの運動神経の持ち主なのでしょうか??

そんなわけがないと誰でもわかるでしょう??

単純なことです。腹式呼吸一つで歌が良くなるのなら運動神経のいい人はみんな腹式呼吸ですし、歌唱力抜群じゃないとおかしいし、歌の上手い人は老若男女問わずみんな並外れた身体能力の持ち主ということになってしまいます。


これだけでも伝わったと思うのですが、敢えてもう少しダメ押しをしましょう。
発声には4段階あるという話です。

発声は、

①呼吸
②原音発声(声帯原音)
③共鳴
④調音(わかりやすくいうと滑舌)

の4段階を踏みます。

初期の段階にある「呼吸」は発声の基礎基盤になるのでもちろん重要な事項ですが、それだけができればそれ以降の段階がほとんど上手くいくというのは大嘘です。
なんなら呼吸の量や圧が強すぎることにはそれぞれ弊害がありますし、小さな子どもの歌が大人より上手い場合はどう説明するのでしょうか?
(肺活量が大人よりあるなんてことは絶対にないのに!!)



3. 正しいメリットと意識の仕方

改めて腹式呼吸とは何かという話をしましょう。

横隔膜を主としてその他多くの筋肉を連動させ最小限の負荷で最大限の効率で行う呼吸が腹式呼吸なのです。
(横隔膜呼吸、あるいは胸腹式と言った方が正確かもしれません)


つまりこれは、
大変な思いをして習得、常中させるものではなく、
楽をして無意識レベルで扱い、効率よく最大の効果を得る呼吸なのです。

その結果として音量や音程のコントロールが良くなったり、長いフレーズが安定して歌えたりするのです。
通る声等言うのはまた話が違ってきますが、腹式呼吸ができるに越したことはないでしょう。
高い声というのも腹式呼吸ができるだけでは出ませんが、ファルセットのコントロールは少しずつ息を流す筋力(補助筋による腹圧のコントロール)も必要でしょうし、ベルティング(アペルト)をするのには最低限以上の呼気圧も必要になってきます。



まとめ

基礎の基と言うのは事実ですが、それほど過度に意識して行う様なものではないんです。

歌の上手いプロの方の歌唱動画なんか見てもらえるとわかると思うのですが、楽な発声をしています。呼吸も然りです。

楽にやれるレベルになるのには多少の努力は必要不可欠ですが、過度に意識して身につける様なものではないのですよ。

どうやって身につけるかって?

ちゃんと教えられる人を見つけて習ってください。
常識として語られていることがいかに怪しいものか、ネットの情報が不確かか…
独学の危険性はおわかりいただけるかと思います。

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