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【コロナと音楽〈中編〉】リスナーの変化と音楽の変化

「後編じゃないのか?!」

→ごめんなさい。二回じゃ書きたいこと書ききれませんでした。


1. 今回はなるべく非音楽業界的な視点で書き進めます。

さてさて、前回はコロナの及ぼした影響についてそれまでの流れを加味して業界側視点で書いてみました。

今回は音楽を享受する側、リスナーやアマチュア側視点でここ数年の流れと、コロナによって起こった変化を書いてみようかと思います。

※多少僕の主観も入ってしまうことが危惧されますが、そもそも書きたいことを書いているだけなので仕方ない、このシリーズはちょっと読者に優しくないシリーズになりそうです💦

コロナによって大きな変化が起きたのが音楽業界だけじゃないことは言うまでもありません。

音楽を聴く人たち、趣味でする人たちの生活のありようも大きく変化してしまいました。

どう変わったかを話していく前に、この現代で音楽というものが如何様に消費されていたのかを簡単に確認していきましょう。


2. 現代における音楽の社会的役割

まず現代における音楽の役割は娯楽(心を仕事から解放して楽しませ慰める手段)の範疇には収りません。

医療や福祉の面では、質病患者のリハビリテーションに用いられることがあり(音楽療法)、科学的な根拠不足は否めませんがヒーリングミュージック(一定周波数や揺らぎよる音楽)は心理的な安心感を与えると言われています。

教育の現場でも必修科目の一つとして扱われ、情操、身体を扱う技能、自己表現力を育む効果があるとされています。

さらには異国語、異国文化を学ぶ手段の一つとしても活用され、コミュニケーション手段としても扱われます。(「音楽とは、音楽語という言語である」と、私は解釈しています。)

そして何より、その性質ゆえ、各種商業との関わりも深いのです。
どんなお店でも、大抵は有線などで音楽がかかっており、あるいはテレビやラジオがあって、そこから音楽が流れています。

これはifの話ですが、ネットの世界ですら、音楽が消えたら各種動画サービスの利用者が減るのは想像に難くないと思います。

それこそ私の実体験なのでなんの参考にもなりませんが、
過去に自転車で本州を一周した際も完全に音楽のない街というのは見かけませんでしたね(笑)


つまり、これらは何かというと、
『音楽は当たり前に存在するものとして一般社会に受け入れられており、
それは演奏家か聴衆か、アマチュアかプロかすらも関係のない事実である』
という話です。

そしてその最大の供給者たる音楽業界が変容するのなら、リスナーの音楽生活が変化することは免れません。

供給形式が変わって需要は全く変わらないということは辻褄が合わない可能性が高いですし、そもそも今世の中で起こっていることは、
捉えようによっては「需要が変容した結果の供給の変化」でもあるためです。
(それこそ前回記事で書きましたように、テクノロジーの発達、社会の変化に呼応する形で業界は変容していますからね)


3. リスナーの生活の変化とアイドルの台頭。

近年のリスナー側の変化を、前回同様90年台後半辺りから遡りましょう。
(もう少し前から遡ってマルチメディア化現象について書いても楽しいのですが長くなるので今回は無しw)

まずCD全盛の時代、音楽は最大の趣味、娯楽でした。
そのことはCDの売り上げや当時トップアーティストのライブ動員数、楽器の製造数からも読み取れます。
(CD売り上げについては前回記事参照。ライブ動員数についてはGLAYの20万人ライブ(有料ライブとして現在もギネス記録)などが例に挙げられる。
楽器製造数については2001年からのデータではあるがこちらを参考にしていただきたい「全国楽器製造協会楽器生産統計調査票」

この頃をピークに、(携帯機器の普及に伴い)CDが売れなくなったというのは前回記事でも話しましたが、リスナーからしたら大きな変化はそれに限りません。

まず前述のCDバブルに伴い、多くの事業は音楽コンテンツビジネスへの関心を高めた結果、カラオケがより広く普及しました。
特に家庭用カラオケ機器の進化はインターネットの普及率上昇の影響も受けて90年台後半から加速化しました。
(こちらのページが参考になります「カラオケ歴史年表 - カラオケ事業者協会」)

カラオケは、今でこそワンコインで1時間以上楽しめるお店すら多くありますが、20年以上前では一曲歌うのにそもそもワンコインだったわけです。
価格帯も機器の性能や楽しみ方すらも変わってしまいました。

加えて前回も触れたように着メロや着うたによりCD売り上げも減っていきました。
CD売り上げについては、大きな決め手になっていると考えられるのはiPodが2001年に現れたことが大きいですが(ハードディスク内蔵って今じゃ当たり前だけどとんでもない技術革新…)、
その数年後にはiTunesによる音楽配信が始まっているのはそれ以上の決定打でしょう。(著作権使用料の推移がずっと右肩上がりだったのが複雑になったのもちょうどこの辺り)

結果、業界的にはCDを売ることよりもコンサート規模の拡大やグッズ販売、メディアミックス展開などによる音源以外の事業拡大が余儀なくされたわけですが、
これにより、
リスナー側の関心がそちらに移っていった結果、音楽に出費しているつもりが音楽的側面以外の商業に出費する傾向が生まれたわけです。

→結果、資金力&広告力など音楽力以外の強みがあるアイドル業界が力をつけていったのではないか?
というのが私の考えです。

CDが売れても売れなくてもアイドル業界には凄まじいグッズ収入、タレントとしての収入があり、CDですらもチケットの応募券をつけて売ってしまうというチートっぷり…
本当にビジネスがうまい( ̄▽ ̄;)

とにかく売れるべくして売れているのです、
そしてそれはリスナーの関心が音楽的な本質から離れているからこそ成り立っているのです。
本当にいい音楽が売れるのなら、音楽に一番費やしている(タレント活動などしている暇のない、或はそもそも音楽に特化して音楽以外の表現活動に向いていない人々)の音楽ばかりが街に溢れているはずなのですから。

まぁ、実は溢れていますがね。裏方として、名前も知られずに活動されている方が世の中にはたくさんいるわけで。

私がアニメ音楽を好きな理由の一つでもあります。


4. アニメ業界の進化による音楽の成長

普通に流れているポップスよりもより個性的で、より自由なんですよ。
他にも何年か前、音楽好きな友人から熱弁されたのですが、
ゲーム音楽(特にいわゆるエロゲソング)は音楽家としてオタクじみた作曲者が自由にやりたい放題する結果、とんでもない良曲が生まれやすくて面白いのだとか(笑)

私の肌感覚ではありますが、確かにいい音楽が多いです。
それゆえと感じているのですが、2000年代はアニメタイアップをきっかけに有名になったアーティストが特に多かったのではないでしょうか??
昔に比べオタク文化が受け入れられたこと、海外でも強い人気が得られたことは音楽カルチャーにも確実に影響を与えました。
「有名バンド、だいたいアニメ・ゲームタイアップしてる説」で記事書きたいくらいです(ワンオクですらゲームタイアップやっていたんですが意外と誰も知らないw)

普段アニメを観なかった人たちは気付きもしていませんが、アニメ音楽がチャートトップに躍り出るなんてしょっちゅうあること、「街でよく聞くあの曲が…」「有名アーティストのあの曲は…」自分が好きだって言っている音楽が実はアニソンだということに気づかない方達がたくさん。
(小泉元首相が聞いていますなんて言っていたあの「Forever Love」すらアニソン)

要するにメインストリームから外れたところで強くなっていた音楽もあるわけです。その代表格が「アニソン」だったのです。

※アニソンそのものをジャンルとして定義することはできませんが、それはアイドル音楽とて同様なので今回は同じ括りにまとめます。

(2000年台のアニソンの成長はJUMPアニメのおかげもだろうな…これもいずれ記事を書きましょうw)

多くの一般人がアニメを見るようになったおかげというのもなんですが、アイドル一強は崩れていきました。


「音楽以外の収入源があることによって成り立っているってのはアイドルみたいなもんじゃないか!!」と思われる方もいるでしょうけれど、
…いえいえ(笑)
歌を歌っているのはあくまでアーティストの方なので。
この場合は商業回るのならアーティスト的には最高でしょう😂

※まぁ、2.5次元に関しては同じ気がして複雑な心境があるのを否めません、あくまで声優は声優、歌手は歌手として声のプロではあっても別物なのをわかっていただきたくはあります。
(μ'sが紅白に出たときは冷や冷やしましたが、割と好きです。
アイマスもアニメは全部観てるし、アイドルそのものは多分嫌いじゃないです)


このような流れによって更なる激変の起爆剤は設置されていたのでしょう。

トリガーは「コロナ」と「鬼滅の刃のヒット」でした。

この二つには切っても切れないつながりがあります。
(これについてもいずれ記事を書けたらと思っています)

そして現在、一番売れている音楽の一つとしてアニメソングは台頭したわけです。

これらは時代の変化、リスナーの変化ゆえ導き出された帰結ですのでまぐれではなかったわけです。

これがこれからの音楽にどう言った影響を与えていくのか、単に市場が拡大された以上の効果があるのですが、今回はここまで(笑)

長くなりすぎてしまいましたwww

次回はさらに具体的にどういう生活の変化が起こっていくのか、これまでのマクロ視点からミクロ視点へと移っていきます。
無事に次回で完結できるのか?!!

次回の記事でまたお会いしましょう(笑)
お楽しみに!!ありがとうございました!!

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