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ライブに行かなくなった話


私は音楽を聴くことが好きだ。

特にロック。
もちろんロックならなんでも聴くわけではないが、有名バンドから誰も知らないような海外アーティストまで色々と聴く。

好みのアーティストを片っ端からお気に入り登録していたら、気づけばspotifyのお気に入りが500組を超えていた。

コロナも明け、社会人になって自分でお金を稼げるようになってからはライブハウスにもよく行くようになり、去年は大体月1頻度で何かしらのライブに行っていた。

しかし今年になってライブハウスに行くことはなくなり、特に行きたいという気力もなくなった。(友人主導でチケットをとってくれた緑黄色社会とmiletのライブは行き、しっかり楽しんだが)

もちろん資格の学校に通うことになり忙しくなったことや、どうしても行きたいアーティストのライブには一度は参戦したため熱が冷めたという説もある。


しかし、一番の原因はそこじゃない。

自分の気持ちに嘘をついていたこと
そのライブが好きなのではなく、ライブに行っている自分が好きなこと」に気づいたからだ。


このロック界隈、少々特殊で、アイドルのように特定の推しを作る文化ではなく、界隈のバンド全体を満遍なく推していくスタイルが基本だ。

例えば、乃木坂の〇〇ちゃんが好き!というよりも乃木坂もAKBも欅坂も、ももクロもperfumeも全体的にオタクをするイメージ。

とはいえ、ジャンルが同じであれどやはり好みはあるもので、同ジャンルのAとBとCというバンドがいた場合、Aは好きだが、Bは好きではなく、Cは3曲しか知らないといった具合になってしまう。

ライブに通うことで知人も増え、話をしていく中で、Aが好きなら当然BとCも好きだよな、という話になる。

そこで周りに合わせて私も「BもCも最高だよね!」などと言ってしまう。
SNSで「Bのライブ、マジ震えたわ」などと書き込みをしてしまう。実際にはそこまで震えていないというのに。

なんということだろう。
ファン同士の暗黙の了解に屈してしまっているのである。


仕事ならともかく、プライベートにおいてもなお、空気を読んで周りに意見を合わせるなど自分の個性と気持ちを何より大事にしたい私にとって言語道断である。
(エニアグラム診断4w5であったのも納得だ)


加えて、「このバンドの素晴らしさがわかる俺たち最高だわ」というファンであることの誇りというか、選民意識のようなものを抱いてしまったことも理由だ。

ファン同士で繋がり、「俺たち最強」のような空気感が自然と形成されてしまったのだろう。

別にそれ自体悪いことではないが、私自身、集団に属しているというだけで、優越感を感じるというマインドがあまり好きではない。

自分とその集団を同一化させて自分が強くなったと勘違いしているように見えてダサいと思ってしまうのだ。

まるで束にならないと自分が自分であることを主張できないようではないか。


私は一人であろうと集団であろうと、偽らずに好きなものを好きだと言えるようになりたい。

集団の結束を確認するべく、お金を払ってライブハウスに行き、共通の価値観を共に叫んで気持ちよくなり、ただ一方で自分の本心に嘘をついているときもある、、。

これではわけがわからない。
生の演奏を聴いて楽しむという本来の目的から大きく外れていることにお金を使い、なりたくない自分になっていくなど自分の美学がそれを許さなかったため、自ずとライブハウスへ行こうと思わなくなった。


なお小学生時代からクラスの運動会や文化祭などで熱心に活動する人の気持ちがわからなかった。

「僕たちのクラスは一つだ!」みたいなことを言う人が時々いたが、個人的には「一つじゃねーわ。なぜなら俺がこのクラスのこと好きじゃないもん。俺の存在がクラスが一つじゃない何よりの証拠だよ」となんて思っていた。(性格ひん曲がりすぎ)


こんなことばかりを考えているから友達が少ないのだろうし、部活や会社などでしばしば不適合を起こすのだろう。

人は一人では生きていけないのだから、なんらかの集団に属し、その文化に染まることは社会人として必要なスキルだとは思う。

ただ一方で個人的には、その集団の価値観が当たり前となり、それを盲信することにより自分の頭で何かを考えられなくなることが少々恐い。

当たり前に囚われたくないし、多様な価値観を受け入れられる人になりたい。
また自分の想いは最優先でいきたい。

そのためには定期的に人間関係や所属している集団を断捨離し、その時その時の自分に相応しい環境に身を置くことが大事だと思っている。

いつでもどこでもこの思考を持っていくと、「我儘だ」と言われるし、自分もしんどくなってしまうが、せめてプライベートだけでも、この思考でやっていきたい。

ライブはまた行きたくなったら一人で行ってみるかな。

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