私とWake Up, Girls!について

2019年3月8日にWake Up, Girls!というグループが解散した。

まずWake Up, Girls!(以下WUG)とは何かを説明しておかなければならない。

WUGとは、アイドルがテーマのアニメ(2014年開始)、及びその声優ユニット(2013年4月に結成)である。東日本大震災の発生を受け、仙台を主な舞台とし、震災復興にも焦点を当てている。

私がWUGに初めて興味を持ったのは2018年初頭、WUG(アニメ)内の別ユニット"I-1 Club"の『君とプログレス』という曲をサブスク配信でたまたま聴いてからである。

当時私は国内外のインディー音楽を中心に聴いていたが、正直なところそれらの音楽の違いが見いだせず、何が良い音楽なのかという自問自答に陥り苦しみながら音楽を聴いていた。

そんな時にこの曲を聴いたのである。アニソンとしてのキャッチーさはもちろん、ミニマルな音構成、ジャズ/フュージョンのような展開が重なり、当時の私にはとても輝いて聴こえた。(余談ではあるが後述するカップリング曲の『Jewelry Wonderland』も素晴らしい曲である)

そしてこの曲がWUG(アニメ)内の曲だと知り、WUG(ユニット)の曲も当然の流れで聴くこととなった。WUGの曲も素晴らしい曲ばかりである。アンセム曲はもちろん、脇を固める楽曲達もかなりの強度である。いくつか曲を載せておく。


WUGの曲は、MONACAという音楽制作集団が主に製作している。所属している作曲家で有名どころだと『もってけ!セーラーふく』(らき☆すたOP曲)等を作曲した神前暁氏がいる。他にも田中秀和氏、広川恵一氏等の作曲家が所属している。アイカツシリーズやアイドルマスターシリーズ等にも楽曲提供をしている。

さて、今現在WUGは私にとって重要な部分を占めるようになったが、言ってしまえば解散新規の私がなぜこの文章を書き起こすほどの熱量を持つまでに至ったのか。

2018年6月にWUG(ユニット)が2019年3月8日のさいたまスーパーアリーナ(以下SSA)でのラストライブをもって解散することが発表された。私がその報を知ったのは2018年晩秋頃だったと思う。

近年、隆盛を極めているアイドルアニメ(ラブライブやアイマス等)の声優ユニットのライブに私は行ったことが無かったので、時勢を知るにはいい機会と思い、行くことを前向きに考え始めた。しかし一人で行くのは些か心細い。そこで誘ったのが、以前私が通っていたアイドルライブで知り合った某氏である。氏は、上で少し触れたI-1 Clubの『Jewelry Wonderland』という曲を2018年のフェイバリットとしてブログで紹介していたので声がかけやすかった。快諾を得ることができ行くことを決めた。縁というのは大事である。


私と某氏は結果的にラストライブ当日までにWUG曲を相当量聴き込むことができた。それもWUGの曲がかなりの楽曲強度を誇り、聴き込むことが全く苦痛でなかったからこそ成し得た業である。

このままSSAでのラストライブについて書きたいところだが、私はWUG(アニメ)を観ていなかったので、ラストライブの前週末にまとめて観た。劇場版1作目→TV版1期1クール→劇場版2,3作目→TV版2期1クールの編成である。お世辞にもあまり良い出来とは言えないアニメではあったが、私としては結構楽しめた。TV版2期最終話は非常に秀逸な出来だったので、そのためだけに全期観て良かったと今では思える。何より、アニメを観ないと把握しきれない曲の文脈もあったので、無理矢理にでも観て後悔は無い。

そしてラストライブ当日、ライブ開始は18:30で物販開始が12:30であった。私は新幹線に乗り現地に着いたのが14時前だったが、なんと物販が全商品完売していた。如実に経験値の足りなさが露呈してしまった。反省である。後日、事後受注販売が決まり助かったが、この時は冷や汗ものだった。急いで近くのアニメイトに代わりのペンライトを買いに走ったのも、今となってはいい思い出である。

そして某氏と合流し、SSAに入場した。私達の席はステージ横のスタンド2階席上方で、それなりに観やすかった。

いざライブが始まると、皆がペンライトを灯し、己自身とステージの世界へと入ってゆく。ここで私が驚いたのは、お客さんの民度が高く、いわゆる厄介行為(奇声をあげたり自分勝手な振る舞いをしたりetc)をする人がほぼ居なかったのである。失礼ながら私は声優アイドルユニットのファンについてあまり良い印象を抱いていなかったので、良い意味で意外だった。

途中のMCで「今日初めてWUGを観に来た人いますかー?」という問いに対し、かなりの人数(半分近く?)が手を挙げていて、自分達のような人がたくさんいるのだとホッとした。

そして瞬く間に時は過ぎ、トリプルアンコール含め、3時間半で34曲を彼女達は歌い上げた。持ち曲はほぼ全てやっているので、セットリスト上での不満も一切無い。

パフォーマンスや曲自体の感想は、まだまだ考察が足りないためここでは割愛させていただくが、今回のライブで私がまず感じたのは"愛"と"感謝"である。

以前の私はペンライトを持つことやマスゲーム的なノリをライブでするのに嫌悪感があった。なぜみんなで合わせる必要があるのか。それぞれが自由に動いて踊ったほうが楽しいに決まってる。そう思っていたのである。

小〜中規模(〜1000人規模)のライブハウスならそれでも良いかもしれない。演者から客一人一人の姿が確認できるから。

しかし大規模なライブだとそうはいかない。みんなが同じ色のペンライトを灯し、同じように動く。

WUGにPolarisという曲がある。

この曲の歌詞にこんな一切がある。

" 奇跡が永遠に続くならば 振り返らず進むだけでいい だって君も僕を照らすPolaris "

Polarisとは北極星という意味である。この歌詞は演者と客、また他にも繋がりを持った全ての人それぞれが北極星となって一方通行ではなく互いに照らし合うことができるというものである。

このライブではそれが体現されていて、演者7人、客全員それぞれが多くの星となって輝いていたのである。(客数は13,000人ほど入っていたらしい。客席も上段までほぼ埋まっていた。)

この光景を目にして私は言葉では表せないくらい感動してしまった。「これもライブにおける"愛"の形か」と。

このことを教えてくれたWUGには、最上級の"感謝"を伝えたい。ただただ曲が良いという要素だけで興味を持ったこのコンテンツであったが、最終的にその何倍もの良さを受け取らせてもらった。

6年間のWUGとしての活動を終え、今後の彼女達のキャリアが新しいスタートを切ることで、人を幸せにし、また彼女達自身も幸せになれるようになることを願っている。

ありがとう。



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