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君の名は希望(いま世界に必要なのはアンドレザ・ジャイアントパンダだ)

パンダはかわいくて、かわいいは正義で、大きくて強いも正義。パンダがかわいくて大きくて強かったら世界を救える、かまではわからないけど、確実に笑顔になる人がいる。

アンドレザ・ジャイアントパンダという体長3m、体重500kgのレスラーが上野にやってきたのは11月16日のことだった。

大日本プロレスファンである私のところには前情報が色々入ってきていた。「北海道にはとんでもなくでかいパンダのプロレスラーがいて、大日本プロレスの興行でアブドーラ小林と一戦を交えたらしい」「新根室プロレスという社会人プロレス団体らしい」「とにかくでかい」「かわいい」詳細はよくわからなかったので、画像を見て「ずいぶんでっかいパンダこさえたな、かわいい」程度の感想を抱いてTLを読み流していた。11月に上野にやってきてアブドーラ小林扮するスタン小林とシングルマッチ、という情報を目にしても「まあ見てみようかな」程度で流していた。

11月16日、上野大会。上記のスタン小林との決戦前夜。試合を観戦していると突然、でっかいパンダが現れた。
正確には、まず、アンドレザジャイアントのおどろおどろしい入場曲が流れ、マネージャーのサムソン宮本さんが笹を持って現れた。その姿はまるで、仮面ライダーの世界に突然現れた怪人のようで、これから何かとんでもないことが起こる!という恐怖と期待を体現しているかのようだった。
そして現れたのが体長3mの、噂のあのパンダだった。アンドレザ・ジャイアントパンダについてネットの情報だけでしていた想像がいかにちっぽけだったか、その時知った。びっくりした。実物はそれほどまでに大きくて、ものすごい存在感で、見ているだけでワクワクして、興奮した。

その日は通りすがっただけだったのに「いったいあれはなんだったんだ!?」というとんでもないインパクトを残し、興奮がいつまでも残っていた。「パンダが大きいと何故こんなにうれしくてワクワクして興奮するんだろう」と家に帰ってからもツイッターに書き殴った。


そしてスタン小林との決戦当日がきた。上野大会は最近毎回、毎日のように行っていたが今まで見たことがないほどたくさんのお客さんがいて、みんなパンダの話をワクワクした顔でしていた。

アンドレザ選手が入場した時の会場中のどよめきはちょっと忘れがたい。期待を超えたすごいものがやってきた、というどよめき。存在ひとつでここまで会場を沸かせるアンドレザ選手。そこに会場を駆け回りアンドレザ選手に奇襲をかけるスタン小林選手にブロディ秀樹選手と宇藤選手、全てが不思議な夢の中のようだった。

その後の試合についても、「ちょっと何が起こっているのか頭がついていかなくてうまく説明できないけど、とにかくすごいことが起こっている」「とてもいいエンタメを見ている」と思った。リングインする時に数人がかりで「たれぱんだ」よろしく平たくされているアンドレザ選手。スタン選手の攻撃を受けて顔がぐんにゃりしてしまうアンドレザ選手。スタン選手にヘッドバットをキメたらスタン選手の頭が顔にめり込んでしまったアンドレザ選手。いるだけで異常な存在感を放つアンドレザ選手。アンドレザ選手にボディースラムをキメるスタン選手。ハルク豊満さんの乱入。アンドレザ・プレスでスタン選手を圧殺し、勝利を祝福にきた彼女のティンティン(身長2.5メートル、スカートをはいている)と抱擁するアンドレザ選手。


(アンドレザ選手は見た目からは想像できない程スピーディに動けるし、独特の柔らかそうな質感を持つアンドレザ選手の動きは私の文章では到底伝えられないので、是非YouTube等で検索して見ていただきたい)

アンドレザ選手の試合を見てから1週間ほど経つが、ずっと頭の中がアンドレザ選手でいっぱいになってしまっている。当日買った「アンドレザ・マペット」に毎日手を通し、暇さえあればツイッターに「パンダ」と書き、動画を検索し、画像を眺めている。こんなにワクワクしているのは、もしかしてプロレスを好きになったばかりの頃以来、いやそれ以上かもしれない。

見ていると些細な嫌なことなどは吹き飛んでしまう。鬱屈を打破してくれる。アンドレザ選手を眺めていると元気になる。現実の嫌な部分をいっときどこかへ吹き飛ばしてくれる強い存在感は、テレビや映画の怪獣みたいだとすら思う。怪獣でもあり、ヒーローでもある。

「客寄せパンダ」アンドレザ・ジャイアントパンダ選手は客だけでなく力や希望も呼び寄せてくれる存在として、また私の前に現れてほしい。その日に備えて、まずはTシャツを購入することにします。


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