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トイレットペーパー・クライシス

私が最後にドラッグストア等店頭でマスクを見かけたのは1月31日。祖父を見舞う(2月に他界)には介護施設、医療機関ともに〈マスク〉必須とされていたために、必要にかられてちょうど買いたしにきたところであった。

そこから、とんとマスクが無い!

日本がおかしな方向にますます進むと勝手に感じた私は、次にドラッグストアに立ち寄るときにはミネラルウォーターやティッシュペーパー、もちろんトイレットペーパーも普段の買い物の頻度に合わせて、〈プラス1個〉コツコツと備蓄を始めた。決してお店の棚を買い占めるでもなく、店頭に十分並んでいるなかから、少しずつ購入させてもらった。

オイルショックによってトイレットペーパー争奪戦となった時代にはまだ私はこの世に生まれていない。ただ、地元が災害の直撃を奇跡的に免れても、災害の影響で物流が止まった。それまでモノに溢れる日本に生きてきたが、空っぽのスーパーやホームセンターの棚を見たことは強烈なインパクトであった。だからもし、私の嫌な予感が外れても 防災用品としての備えになると考えていた。

Twitterから海外情報を集めていると、そのうちに香港、シンガポール、イタリア等のスーパー買い占めパニックが起こったという記事が見つかった。理由はそれぞれ異なるはずだ。都市封鎖される前の本当に必要な買い物だったりもするので、それを揶揄したり非難するのは違うと思う。

加えて国内でも名古屋の高速料金所を人不足で封鎖せざるを得なくなったことも報道された。

ここまでくると日本でも同じことが起きるであろうと、ほぼ確信した。国内配送物流が破綻するか、転売屋の買い占めか、デマによるパニックか。予想される原因はどうでもいい。身近な人を守らねば。

あまりTwitterで不確実性の高いことをツイートして世の中をさらなる混乱に巻き込むのは本意ではなく、実家と妹夫婦だけに、少しずつ買えるときに買っておくようアドバイスした。これが2月中旬の頃。

今回に限っては私は親族身内を、持ち前の〈ウルトラ悲観的思考〉を活かしてトイレットペーパーの危機から救うことができた。

テレビ報道では、〈トイレットペーパーは中国で生産していてこのたびの騒動で輸入が追い付かなくなるから店頭から消えるというデマを信じた人〉の愚かさをどこか上から目線で伝えるのが主流らしい。ただ、サンデーモーニングは、パニックを予見する人の動向分析もされていた。

報道が本当のことを伝えられなくなり、この国に生きる人達が何を信じてよいかすらわからなくなっているような気がする。人々の不安やパニックがトイレットペーパー買い占めによって一時的に可視化されたに過ぎない。

いつも当たり前にあると思っていたのに〈ある日突然無くなる〉という経験はいつかまた姿カタチを変えてやってくると思う。

たかがトイレットペーパー
されどトイレットペーパー

当たり前は、当たり前に成り立つわけでなく
有り難いものであることに

感謝

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