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第1回建築洋書紹介 Jan Kaplicky drawings

最近、本の価値とは何なのだろうかと考える事があります。大学を卒業して2年経ちますが、あの頃は研究室、大学図書館と本に囲まれた幸せな生活をしていました、、、
現在は、色々あって本と接する環境にあり、学生時代には感じなかった本の魅力を感じる毎日です。


建築を勉強している人にとって作品集は設計課題、プレゼンボード、ポートフォリオの参考として使っていると思います。その中でも洋書は日本でまだ紹介されていない建築や情報を得れるという点で魅力的だと思います。一方で、値段が高かったり、日本で売ってなかったり、ネットで情報も無かったり、英語が読めない!とか、中々手が出せないのではないでしょうか。ここでは、私の蔵書の中から魅力的な建築洋書を紹介して良い本との出会いのきっかけとなればいいなと思っています。

第一回目は Jan Kaplicky drawingsを紹介します。さて、Jan Kaplickyはご存知でしょうか? 私は、この本を買うまで知りませんでした。恐らく大学生年代の人は殆ど知らないのではないのでしょうか。Kaplicky(1937-2009)はFuture Systemsという建築事務所をイギリスで主宰しており、有機的、未来的な建築で有名です。今回はDrawingにフォーカスした作品集なので実作の方はあまり触れませんが実作も中々面白いです。

さて、この本ですが、まず装丁がカッコいいです。Hard cover版はプラスチックカバーで、本体表面はシルク製?にHouse for a Helicopter Pilotのエレベーションがカラー印刷されています。

内容としては、実施、未実施を含め初期のNASAとの共同プロジェクトから最後の作品まで45作品が紹介されています。Drawingsと題名にあるように実物の写真は一枚もなく、彼の特徴でもある変態的な書き込みをしているアクソノメトリックやコラージュといった表現でその魅力を伝えています。時折挿入されている2/3程のサイズのスケッチ用紙状のページには水彩スケッチが載っています。

Futurer systemsの作品集は今まで、4冊ほど出ているかと思います。その内の2冊はKaplickyのインスピレーションの源泉(More for Inspiration only 1999/for Inspiration only 1996)とComprehensiveな作品集2冊(Future Systems 2006/ Future Systems 1999 )が出ていますが、ここまでKaplickyのパーソナリティーがわかる作品集は初めてだと思います。あの有機的な建築からは想像できなかったのですが、彼がアメリカから受けた影響(ケーススタディハウスやイームズ)など新発見があり、今後まとめて書いていきたいと思います。


この本が見たい方は国立新美術館の図書館に行くとソフトカバーバージョンが読めます。ただ、ハードカバーのカッコよさは段違いなので是非購入してみてください。


今後も洋書紹介や論考等、アップしていこうと思いますので気になる方はチェックしてみて下さい。それでは✋


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