見出し画像

UXデザインのフレームワーク、ダブルダイヤモンドモデルとは?

ユーザーによりよい体験を提供するプロダクトは、優秀なフレームワークに基づいて制作されているケースが多く見受けられます。UXデザインの思考を取り入れるために、フレームワークを学ぶことは有効な手段となるでしょう。そこで本記事では、UXデザインコンサルの株式会社VARSAROCがUXデザインのフレームワーク、ダブルダイヤモンドモデルを解説します。


そもそもUXデザインとは?

UXデザイン(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)は、製品やサービスの使用者が経験する感情や反応、挙動を改善し、ユーザーにとってよりよい体験を提供するためのデザインプロセスです。

UXと似た言葉にUI(User Interface:ユーザーインターフェース)しばしば混同されることがありますが、それぞれ異なる概念です。簡潔に言えば、UXはユーザーの経験全体を考慮するものであり、UIはその経験を支える視覚的な要素に焦点を当てたデザインを指します。

身近な例として、スマートフォンのUXとUIの違いを確認していきましょう。

スマートフォンの天気予報アプリを考えてみましょう。このアプリのUX(ユーザーエクスペリエンス)は、アプリの使いやすさやユーザーがどれだけ効率的に情報を得られるかに焦点をあてています。たとえば、アプリを開くとすぐに、ユーザーの現在地に基づいた天気予報が表示される。さらに、ユーザーはお気に入りの場所を保存することができ、それに基づいてカスタマイズされた通知を受け取ることができる。これにより、ユーザーは必要な情報を簡単かつ迅速にアクセスできるようになります。

一方で、UI(ユーザーインターフェース)は、アプリの視覚的な側面とインタラクションに関わっています。天気予報アプリのUIは、清潔で直感的なデザインを持っている必要があります。色彩やタイポグラフィは、情報を明確に伝え、ユーザーの目を引くように選ばれます。さらに、気温や降水確率などの重要な情報は、ユーザーがすぐに見つけられるように、アプリの画面上で目立つ場所に配置されます。ボタンやスワイプなどのインタラクションも、ユーザーがアプリを簡単にナビゲートできるように設計されています。

このように、UXはアプリの使用全体を通じてユーザーが抱く経験と感情に焦点をあてており、UIはその経験を具現化し、視覚的に魅力的かつ効果的に情報を伝える方法に関して焦点をあてています。

ダブルダイヤモンド(Double Diamond)モデル

ダブルダイヤモンド(Double Diamond)モデルは、UXデザインにおいてよく使用されるデザイン思考プロセスを視覚化したものです。このモデルは、デザインプロジェクトを4つの主要なフェーズに分割しており、それぞれのフェーズは「ダイヤモンド」形状で表現されます。以下に、ダブルダイヤモンドモデルの4つのフェーズを説明します。

  • 探索(Discover):問題を理解し、ユーザーリサーチと市場調査を通じて情報を収集

  • 定義(Define):収集した情報を基に、具体的な問題を明確に定義

  • 展開(Develop):問題解決のためのアイデアを創出し、プロトタイピングとテストを実行

  • 提供(Deliver):最終解決策を実装し、ユーザーに提供し、フィードバックを基に改善

それぞれの工程をかんたんにチェックしていきましょう。

1. 探索(Discover)フェーズ:調査・共感

探索(Discover)フェーズは、デザインプロセスの第一段階であり、この段階では主に問題の探求と理解が行われます。具体的には以下のような活動が含まれます。

  1. ユーザーリサーチ:エンドユーザーとのインタビューやアンケートを通じて、ユーザーのニーズや痛み点を理解します。

  2. 市場調査:競合他社の製品やサービスを調査し、市場のトレンドや状況を把握します。

  3. 問題の定義:収集した情報から、解決すべき具体的な問題を明確に定義します。

  4. ステークホルダーとのコミュニケーション:ステークホルダーとの対話を通じて、プロジェクトのビジネス目標を理解します。

このフェーズの目的は、問題を深く理解し、プロジェクトの目標と方向性を明確にすることです。デザインチームはユーザーとビジネスの両方に価値を提供する解決策を展開するための強固な基盤を築くことができます。

2. 定義(Define):とくべき課題を定義

「定義(Define)」フェーズは、デザイン思考プロセスの中で特に重要な段階です。このフェーズでは、初期の「探索(Discover)」フェーズで収集された情報やデータ、インサイトを基に、デザインの方向性を定めるための具体的な問題の定義が行われます。

まず、収集した情報を整理し、ユーザーのニーズや課題、痛み点を明確にします。その後、これらの情報を基に、解決すべき核心的な問題を特定します。この問題は、デザインチームが解決すべき明確で具体的なゴールとなります。

また、このフェーズでは、問題の優先順位付けも行われる可能性があります。すべての問題が同時に解決できるわけではないため、どの問題を最初に取り組むべきか、どの問題がプロジェクトの成功に最も影響を与えるかを評価します。

さらに、問題定義は、ステークホルダーやチームメンバーとのコミュニケーションにも役立ちます。明確な問題定義があれば、チーム全体が同じゴールに向かって効率的に作業を進めることができるからです。

3. 展開(Develop):アイディアを出す

「展開(Develop)」フェーズは、デザイン思考プロセスのクリエイティブな段階です。このフェーズでは、前段階で定義した問題に対する解決策やアイデアが創造されます。最初に、ブレインストーミングセッションが行われ、チームメンバーは自由にアイデアを出し合います。このセッションの目的は、可能な限り多くの視点や解決策を探ることです。

その後、スケッチングやワイヤーフレーミングを通じて、アイデアが視覚的に表現されます。これにより、アイデアがより具体的になり、チーム内での共有や評価が容易になります。このプロセスを通じて、アイデアは詳細化され、リファインされ、問題解決のための具体的な形に進化していきます。そして、最も効果的と考えられるアイデアが次の段階へと進みます。

4. 提供(Deliver):確かめてみる

「提供(Deliver)」フェーズは、デザイン思考プロセスの最終段階であり、ここでは具体化されたアイデアや解決策が実際の製品やサービスとしてユーザーに提供されます。この段階では、展開された解決策がテクニカルな実装を経て市場にリリースされます。

製品のローンチ後もプロセスは続きます。ユーザーからのフィードバックを積極的に収集し、そのフィードバックを基に製品の改善や更新を行います。また、製品の使用状況をモニタリングし、ユーザーの行動や反応からさらなるインサイトを得ることも重要です。

このフェーズは、製品がユーザーの手に渡り、実際に使用される場です。そのため、リアルタイムでの反応やフィードバックに迅速に対応し、ユーザーエクスペリエンスを継続的に最適化していく必要があります。これにより、製品は市場での成功を確実なものにし、ユーザーに価値を提供し続けることができます。

ダブルダイヤモンドモデルは反復的なプロセス

ダブルダイヤモンドモデルは、ひとつずつ工程を進めていくような線形なプロセスではなく、反復的かつ動的なプロセスを視覚化するものです。探索、定義、展開、提供の各フェーズが一度限りのステップではなく、プロダクトの展開過程で何度も繰り返される可能性があると考えてください。

反復する事例を2つご紹介します。

探索フェーズと定義フェーズの反復

最初に問題を発見し定義する際、新たなインサイトや情報が得られるたびに、再度発見のフェーズに戻り、問題の再定義や調整が行われます。

展開フェーズと提供の反復

展開フェーズで生成されたアイデアや解決策は、実際に提供されフィードバックを受けることで、さらに改善や進化が求められます。このフィードバックは、再度展開のフェーズに戻り、アイデアの再評価や調整を行う基盤となります。

このように、ダブルダイヤモンドモデルは反復的なプロセスを通じて、プロダクトが常にユーザーのニーズや期待に適合し続けるよう促します。これにより、最終的なプロダクトは、市場での成功と持続的な価値提供の可能性が高まります。

まとめ

今回は、ダブルダイヤモンドモデルのプロセスを簡単に解説しました。ダブルダイヤモンドモデルでは発散と収束を繰り返し、時にはプロセスを反復しながらプロダクトの制作を進めていきます。各フェーズにもそれぞれ重要なプロセスや思考が存在するため、反復の中でも発見をと改善を繰り返すことができます。

弊社ではUXデザインコンサルのご相談をお請けしております。お気軽にお問い合わせください。

株式会社VERSAROC
代表取締役 江渕大樹
hiroki_ebuchi@versaroc.co.jp

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?