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xRの将来を考える!スタートアップ・トレンド【イベントレポート】

5月16日、東京都の創業支援施設 Startup Hub Tokyo(スタハ)にて開催されたセミナー スタートアップ・トレンド に、モデレーターとしてVERSUS代表取締役の山口哲一が参加しました。VR・ARなど、新しい表現技術をめぐって熱い議論が交わされた当日の様子をレポートします。


2026年には、約342億円にまで成長すると予想されているAR・VR・MR市場。

この3つの技術群は、まとめてxRとも呼ばれますが、今回はそんな大注目市場であるXRの分野の第一線で活躍する専門家3名から、貴重なお話を伺いました。


1. xRとは?エンタメ事例紹介 (森 真吾)


まず登壇されたのは、Microsoft MVPとしても知られる森 真吾さん。


森さんによれば、まずxRとは、

学術上はARもVRも複合現実感(MR)連続体に含まれる概念であり、最近はひとくくりに「xR」と呼称されることが多くなっている

とのこと。


その上で一般的には

VR:バーチャルに没入する体験

AR: 現実に重畳する体験

MR:現実とバーチャルの混合体験

と分類されているとして、それぞれの具体的なエンタメでの活用事例をご紹介していただきました。


気になる森さんのプレゼンについては、以下に(ボリュームたっぷりの)資料がアップされているので、ぜひご参考にしてください。特にxRエンタメで起業を考えている方、必見です!


AR/VR/MRとは&エンタメ寄り事例紹介

https://www.slideshare.net/ShingoMori2/arvrmr-146186097

https://twitter.com/morio36/status/1129240590720221184


また、プレゼンの最後には

ユーザーに何を提供したいかによって、AR・VR・MRのどれを選択するかが異なる
現状のxRの場合はデバイスが必要になるため、ユーザーが「そのデバイスをわざわざ買ってくれるか?」というのは大きい問題。実施前に「デバイスを買ってくれるほど強力なコンテンツにできるか」を深く検討する必要がある
一般的に、エンタメに人が使う時間は1日4時間しかないと言われている。エンタメ・ビジネスはそれを奪い合うレッドオーシャンだと考えて行うべき

という指摘があり、実際に現場でxRのビジネスを行っている方ならではのご意見を聞くことができました。


2. ハードウエア視点でのVR・MR (湯浅 浩一郎)


続いて登壇されたのは、株式会社瀬戸内未来デザインの湯浅さん。


ハードウェアから見るVR・MRということで、まずご紹介いただいのはご自身も携わっていたというLenovoのジェダイ・チャレンジ

https://youtu.be/sPXJhHURfj4

※30秒あたりからVR体験が始まります


発売当初は大きく話題となり、体験会も満席続出だったというこちらの商品ですが、湯浅さんいわく「実際の販売には苦労した」とのこと。


主な問題は当初の価格と、デバイスの汎用性とのことで、xRのハードウェアを販売する際には


・15,000円ぐらいの手頃な価格帯であること

・(ハードウェアとしてヒットした)Nintendo Switchのように、他のゲームなども楽しめる汎用性が必要


とのお話がありました。



また、現状のxR普及の問題点としては「回線の問題が大きい」と話し

ハードウェアと回線のクオリティが整えば(コンテンツとして支持を得て)普及するはず

との展望を語りました。


また、実際に現在GoogleやFacebookなどの大手IT企業がVRに力を入れているのは5G以降を見据えてのことであり、3Dデータとして撮影されたものがすぐに他のデバイスや2Dで見られるようなクラウドの仕組みが既に整えられてきている、という興味深いお話を伺うことができました。


3. サービスとしてのVRの可能性 (渡邊 信彦 )


そして最後に登壇されたのはVRプラットフォームSTYLYで知られる渡邊さん。


先に登壇された二人の「xRの普及が難しい」という意見を踏まえつつ、渡邉さんは「スマホの次はVRとMRである」として

空間を作ることを民主化する

というVRプラットフォーム・STYLYについて語っていただきました。


このSTYLYはVRに対応したPCや、プログラミングスキルなしでVRを制作できるツールなのですが、背景として


VRは質の高いコンテンツが圧倒的に足りていないので、皆が作れるようにしないといけない


という問題意識があるとのことで「walkmanが日常的に音楽をまとう世界を作り、iphoneがインターネットを日常的にまとう世界を作ったように、STYLYは日常的に空間をまとう世界を実現する」ものだと語り「今まで3ヶ月かかっていたVR配信までの作業を、3分でできるようにする」ことを可能にするツールだと話されていました。


また、実際の制作事例として


■音楽と空間をかけ合わせたVRの例

https://gallery.styly.cc/densuke28/ef659b06-f4ad-11e7-af2f-fb1a918a0060


■STYLYを使用して作られたバーチャルアイドルのライブ

https://gallery.styly.cc/jojomon/98ba3dcc-1f35-11e9-b34d-4783bb2170d0


などが紹介され、クオリティの高さに会場からは驚きの声があがっていました。


4.ラウンドテーブル 

3人のトークセッションの後は、登壇者を囲んだラウンドテーブルを実施。

来場者からは多くの質問が飛び交っていましたが、中でも面白かったものをいくつかピックアップしてみます。


■xRの現場で実際に働く中で「xRは今後もっと普及する」という実感はあるか?

(森さん)VRが普及するためには『VRでなければ提供できない価値』が必要だと思っている。現時点では自分はHoloLensを中心に扱っていることもあり、MRには企業の人がかなり興味を示してくれていると感じている。

具体的には企業研修の分野だ。教科書読むより3次元で体感する方が学習効果高いため、研修としてHoloLensやARはニーズがある。また、一人の熟練工がいろんなところに行くには限界があり、時間的にも金銭的にもコストがかかってしまうが、xRであればあらゆる場所で研修や支援ができるため、コスト削減として取り組むところも多い。

現状では、新しいことをやりたいという企業よりもコストカット・投資として導入したい製造業からの実ニーズによる引き合いが強い印象がある。


(渡邉さん)世間的には2020年には普及すると言われていたし、自分もそう考えていたが現状では難しいだろう。投資家の世界では2024年と言われており、そうなって欲しいと思う。


■ヘッドマウントディスプレイを使ったVRでは「VR 酔い」などが起きやすいが、こういった体調不良に対する対応はされているのか?

(湯浅さん)昔よりも撮影方法が変化しつつあり、だいぶ改善されてきている。例えば、VRの撮影では横に振るような動画撮影はしない方が良いが、そういった撮影技術のクオリティが上がってきている。「デバイスに合わせてコンテンツを作る」というやり方が浸透してきつつある。


■ハードウェアの重量などは今後改善されるのか?

(湯浅さん)改善されるはずだ。現在のヘッドマウントディスプレイは、半導体がスマートフォンと同じものを使っているが、今後はヘッドマウントディスプレイ専用の半導体になっていくだろう。それに応じてデバイスの軽量化なども進んでいくと思う。


■過去に撮影された2Dの動画をVRに変えることは可能なのか?

(渡邉さん)2Dの動画をVRにかえる、つまり空間をつくることができるのかということだと思うが、どれだけの動画データがあるかにもよるが難しいと思う。現在フォトグラメトリーという、写真を何枚も撮って、視点を移動した時に見える画像をマッピングして3D空間を作る技術があり、これが普及すると空間製作は大きく変わると思う。


5. おわりに

今回のイベントでモデレーターを努めたのは、こちらのお二人。


VERSUSでは、今後もこういった起業を志す方に役立つイベントや情報を発信していきます。気になる方はぜひ、noteやTwitterをフォローしてみてください!

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