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リトアニア出版協会おすすめの児童書と児童文学作家6選(+おまけ)

2022年10月26日(水)に東京の駐日リトアニア大使館で行わついてれた「Creative リトアニア: Milestones」にて、リトアニア出版協会のルタ・エリヨシャイテエテ・カイカレ氏が「リトアニアのイメージ力」という題でリトアニアの児童文学を紹介するプレゼンを行いました。この記事では、プレゼンにおいて紹介された本をそれぞれご紹介します。

(この記事は元々次の記事に掲載していましたが、分かりにくいので分けました。)

„Akmenėlis(小石)“

プレゼンテーションは、„Akmenėlis(小石)“(文:マリウス・マルツィンケヴィチウス、絵:インガ・ダギレ)の紹介から始まりました。

当日会場で撮影したスライドと発表をするルタ・エリヨシャイテエテ・カイカレ氏

この絵本は、第二次世界大戦中にゲットーに住むひとりの少年を描いたものです。少年の明るい日常、刻々と恐ろしいものがやってくる描写、そして未来へと記憶が引き継がれていく様子が描かれています。作者は、リトアニアの特別な出来事ではなく、「ヨーロッパのどの都市にも起こりえた」物語として書いたとのこと。「小石」というタイトルは最後に回収される伏線になっています。

„Akmenėlis(小石)“表紙(筆者蔵書)
„Akmenėlis(小石)“裏表紙(筆者蔵書)
„Akmenėlis(小石)“扉ページ(筆者蔵書)

既にいくつかの国での翻訳出版がされているとのことで、日本でもぜひ読んでほしい物語だと語っていました。
翻訳者の木村も版元の編集者のダイヴァ・ルディーテさんから出版当初の2020年に送ってもらって読んでいて、既に筆者が翻訳原稿を作ってあります。
版元のウェブサイト

イラストレータのラサ・ヤンチャウスカイテ

続いて、イラストレータのラサ・ヤンチャウスカイテさんを紹介。

当日会場で撮影したスライドと発表をするルタ・エリヨシャイテエテ・カイカレ氏

ラサ・ヤンチャウスカイテさんは、開催されることのなかった2020年のボローニャ国際児童図書展のヴィジュアル・アイデンティティを務めました。
当時の様子を記録したウェブサイトはこちら:

ラサ・ヤンチャウスカイテさんが絵を手掛けた作品はすでに日本で出版されており、会場ではルタさんがその本を手で持って紹介していました。それがこちらです。

「ちいさな ちいさな みんなとあそぶリトアニアのしのえほん」(表紙)
「ちいさな ちいさな みんなとあそぶリトアニアのしのえほん」(リトアニア語版)

木村が翻訳した「ちいさな ちいさな みんなとあそぶリトアニアのしのえほん」(詩:マリウス・マルツィンケヴィチウス、絵:ラサ・ヤンチャウスカイテ)です。気になった方は、ぜひお手に取ってみてください。
日本語版版元オンラインショップ:

アマゾン:

ラサ・ヤンチャウスカイテさんによる作品で未邦訳のもののうち、木村がおすすめするのはこちら、„Ypatingas(とくべつ)“。

„Ypatingas(とくべつ)“表紙(筆者蔵書)
„Ypatingas(とくべつ)“扉ページ(筆者蔵書)

心臓が胸の外にとび出ている、という他の子とは違う「とくべつ」な主人公ユオザパスの物語。彼は「ふつうになりたかった」と願いながらも、自分の「とくべつ」と向き合って共に生きていこうと決意するまでを描いています。
(既に筆者が翻訳原稿を作ってあります。)

„Sibiro haiku(シベリアの俳句)“

続いて、「簡単なことだけではないとしても、物語を伝えることは重要」であることの例として、„Sibiro haiku(シベリアの俳句)“を紹介。

当日会場で撮影したスライドと発表をするルタ・エリヨシャイテエテ・カイカレ氏

こちらの翻訳は今年、花伝社から出版されています。

「シベリアの俳句」(表紙)
「シベリアの俳句」(リトアニア語版)

日本語版版元オンラインショップ:

アマゾン:

„Laimė yra lapė(しあわせはきつね)“

そして、リトアニアで最も「売れている」絵本として、„Laimė yra lapė(しあわせはきつね)“を紹介。

当日会場で撮影したスライドと発表をするルタ・エリヨシャイテエテ・カイカレ氏

この本は、既にリトアニアで3万部刊行(リトアニアの人口は280万人)されている他、10か国以上の言葉に訳され、アメリカの最も優れた翻訳の児童文学に贈られるミルドレッド・L・バチェルダー賞を2019年に受賞しました。今回のリトアニア出版協会イチ押しの本です。

この本も、既に翻訳者の木村が翻訳原稿を作ってあります。というよりも、木村がリトアニア語を真剣に習得してリトアニアの本の翻訳しようと志したきっかけの一冊です。

„Laimė yra lapė(しあわせはきつね)“表紙(筆者蔵書)
„Laimė yra lapė(しあわせはきつね)“裏表紙(筆者蔵書)
„Laimė yra lapė(しあわせはきつね)“扉ページ(筆者蔵書)
„Laimė yra lapė(しあわせはきつね)“本文(筆者蔵書)

„Chameleono sapnai(カメレオンの見る夢)“

さらに、自然についての絵本を紹介。

当日会場で撮影したスライドと発表をするルタ・エリヨシャイテエテ・カイカレ氏

ここでは、『シベリアの俳句』作者のユルガ・ヴィレによる動物の生態をテーマとしたシリーズの一冊„Chameleono sapnai(カメレオンの見る夢)“を紹介しました。カラフルなカメレオンの夢の世界とモノクロの現実の世界を交互に美しく描いた本です。

„Chameleono sapnai(カメレオンの見る夢)“表紙(筆者蔵書)
„Chameleono sapnai(カメレオンの見る夢)“裏表紙(筆者蔵書)
„Chameleono sapnai(カメレオンの見る夢)“本文(筆者蔵書)

版元ウェブサイト:

作家トーマス・ディルゲラ

最後に、リトアニアの児童文学界のロックスターこと作家トーマス・ディルゲラを紹介しました。

当日会場で撮影したスライドと発表をするルタ・エリヨシャイテエテ・カイカレ氏

大人気シリーズ„Domas ir Tomas(ドーマスとトーマス)“ほか、絵本も手掛けています。ファンと積極的に交流することでも有名であり、読者からのファンレターには自身のFacebookページで公開返信しています。

木村の手元にある本は、こちら、„Mano tėtis rašo knygą(ぼくのパパは本を書く)“という、トーマス・ディルゲラが自分自身をモデルにした絵本です。この本は2020年のヴィリニュスブックフェアで買い、本人からサインをもらいました。

„Mano tėtis rašo knygą(ぼくのパパは本を書く)“表紙(筆者蔵書)
„Mano tėtis rašo knygą(ぼくのパパは本を書く)“扉ページ(筆者蔵書)

20分という限られた時間でしたが、リトアニアの児童文学の魅力をたっぷりと伝える内容のプレゼンテーションでした。


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