見出し画像

【スタッフ紹介】2つの金融機関を経験し、very50に再びjoinする理由

2022年1月より新しくvery50に加わりました、ノルウェー在住の稲垣雛子(くまこ)です。
very50にjoinした理由は「面白い仲間とワクワクする仕事がしたかったから」に尽きるのですが、長期的には自身の志や夢を見つめ直すきっかけにしたいと考えてます。
今回はそう考える背景を、自己紹介とともに書かせて頂きます。

●国際協力ど真ん中、インドのボランティア活動に熱中した大学時代

大学生の頃は、インドの教育支援を行う学生団体の活動に全身全霊を注いでいました。「生まれた国が違うだけで、教育を受けられない子供がいる世界は間違っている!世界の貧困是正!」と、ふつふつと湧き上がる、強い正義感をもっていました。
毎年のように支援先であるコルカタの小学校やシェルターを訪れ、その度に彼らの役に立ちたい、という想いを強くします。しかし4年間の活動の末感じたのは、「草の根的な慈善事業は必要。でもボランティアだけでは世界は変わらない」ということでした。

画像1

毎年訪れていたインドのシェルター

●生煮えの就職活動

上記理由から、インフラ開発の側面から途上国支援をする、という軸で就職活動を行い、三菱UFJ銀行に内定を貰います。第一志望ではなかったものの、ファーストキャリアとしては無難そう、財務の知識は転職しても役立つだろう、と考え就職を決めます。
これは今だから言えますが、当時は「なんとなく途上国支援に関われそう」という文脈から流されるように大手企業を受け、さほど真剣に、主体的に、キャリアについて考えていなかったのだと思います。

●vey50との出会い

very50と出会ったのは、ちょうど就活が終わった大学4年生、2014年の春のことです。「国際協力 スタディーツアー 社会起業家」とでもググったのでしょうか、very50のウェブサイトからMoGを見つけます。ベトナムでハンディキャップをもった子供たちが描いた絵をデザインにとり入れ、オリジナル雑貨を販売する、Toheのプロジェクトです。実践的に学びながら、ボランティアではなくビジネスの観点から途上国支援に携われる点がとても新鮮で、面白い体験でした。そこからMoGに参加→菅谷さんに傾倒→インターン懇願という、歴代のインターン生と同じ(?)流れを辿ります。

●4年半の銀行勤務で感じた、やりがいと倦怠

2014年に三菱UFJ銀行に入社し、法人営業、新卒採用、国際企画業務を経験します。入社当初の目標欄に「プロジェクトファイナンスを通じて、途上国の貧困を解決することが夢です!」とバカ正直に書いたら、上司からやんわりと「模範的な目標ではないね」と、大いに赤ペンが入った記憶があります。形骸化したルールや謎の慣習も多く、新人芸を2ヶ月間全力で準備する、印鑑の押し方ひとつで何度も注意される、シュレッダーしたゴミカスの中から書類を探すといった、銀行業界の定番も漏れなく経験します。
とはいえ、様々な失敗や成功を積み重ねるうちに、段々とやりがいは得られていきます。特に日本橋支社で営業担当だった頃、何百年も続く老舗企業の社長から「息子の嫁に来てほしかったよ」と言われた時は、仕事ぶりが評価された気がして嬉しかったです。ちなみに3年間で3社の社長から同じことを言われました。

画像2

同期との集合研修

●段々と薄れゆく夢

しかし、銀行でやりがいが得られるのと反比例するように、途上国に貢献したいという想いは徐々に薄れていきます。このままでいいのか?という疑問から、社会人3年目となる2016年に再度MoGに参加しました。実はそのMoG、以前と同じToheのプロジェクトでした。同じ起業家でも、もう一度MoGに参加したい!と思ったあたりに、我ながらvery50への期待と愛を感じます。魅力あるメンバーに恵まれ、恒例のモヤモヤfeat.達成感もあり有意義な時間でしたが、キャリア再考までは至りませんでした。

画像3

2度目の参加となったToheプロジェクト

●NYで人生最大の負の3ヶ月を経て、再就職

その後2018年に、夫のNY駐在に同行するため銀行を退職し、アメリカへ引越します。そこで待ち受けていたのは、優雅な駐妻生活とは似ても似つかない、人生で最悪の3ヶ月でした。自分を形成していた仕事、家族、友人、趣味などから離れ、「誰にも必要とされていない」という錯覚や「生産性がなく、経済的に自立していない自分に価値はない」といった考えに陥ります。アイデンティティ・クライシスというものです。人生の優先順位を考えた結果なので、渡米した選択に悔いはありませんでしたが、その期間は辛いものでした。
そこで、社会との繋がりを復活させるため、アメリカでの労働許可を取得し就活。DBJ Americasという日系の政府系銀行で、管理部門のアシスタントとして働くことに。居心地良い職場で、ワークライフバランスが充実した生活を送ります。

画像4

毎日通勤していたGrand Central Station

●ノルウェーへ引越し

NY生活に慣れたのも束の間、夫に転勤の辞令があり、2020年にノルウェーへ引っ越します。2年で2回目の大陸をまたぐ転居に加え、生活基盤や人間関係の再構築、日照時間の少ない北欧の冬との闘いやコロナ禍でのロックダウンと、メンタルの強靭な私でも心が折れそうに、というか半分くらい折れてました。マズローの五段階欲求(最下層の生理的欲求から順に、最高位の自己実現に向かっていくという理論)は、低次元の欲求から確実に満たすことが大切だと、体感しています。
またノルウェーでは、自然との近さ、ゆるやかな時間の流れ、知足精神、子育てに関する姿勢など、日本では得られない暮らし方のヒントも多く、生活観にも変化がありました。

画像5

ノルウェーの雄大なフィヨルド

●そして今、very50で働く理由

そして今、学生時代には明確だった「おばあちゃんになったら社会起業家になって途上国の教育支援に携わりたい」という夢は、急速に輪郭を失っています。格差に対するかつての使命感もどこへやら。
だからこそ、再びvery50に関われたことは、ここ数年くすぶっていた、志や夢を見直すチャンスだと捉えています。

もちろんjoinすることに、少し躊躇はありました。very50って、「100%がんばって夢を追いかけている自分」でなければ関わってはいけないような、そんな勝手な思い込みによるものです。
以下の図を参照頂きたいのですが、当時大学生の時のDREAMERから、自立した優しい挑戦者になるどころか、大企業に数年勤めたもののこれで食っていける!という程の専門知識やスキルが身についたとは自信を持って言えず、志だけは低下し、一番次元の低い、PARASITEに片足突っ込んでいるのでは?と思ったり。そんな状況で、very50に関わっていいのかな、と。

画像6

自立した優しい挑戦者をあらわすマトリクス

ところがそんな葛藤を打ち消すように、very50の職員やインターンはアットホームな、変わらない空気感で迎え入れてくれました。
もし同じように夢や志が迷子になっていたり、キャリアに対してモヤモヤを抱えている方がいれば、どうぞ安心してvery50に戻ってきてください、と言いたいです。

この1ヶ月で、自身の成長や志の探求という観点からも、よい変化に繋がりそうな学びや気づきが沢山ありました。例えば「情熱がなければ、育てればいい」、「小さな一歩を踏み出すのが何より大事」という考え方。これらはこの春の高校生向けMoGの要旨ですが、改めて納得し勇気をもらった考え方の1つです。
もちろん、職員やインターンから受ける日々の刺激は言うに及びません。特に副代表を務める谷弘とは、同じ時期にvery50でインターンをし、卒業後それぞれ別の企業を経験して、また一緒に働くという再会を果たしています。彼がvery50で活躍する姿はとても励みになっていて、期待を裏切らないようにしっかり貢献しないとな、という想いが強いです。

長くなりましたが、これからはvery50の「自立した優しい挑戦者を増やす」事業に貢献しながら、自身の志や夢を模索したいと願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。

very50のHPへ

認定NPO法人very50
2008年創業、高校生から社会人までを対象に社会問題を解決しながら学ぶ実践型プログラムを提供
Mission▶︎自立した優しい挑戦者を増やし、世界をもっとオモシロク
Webサイト▶︎「very50」で検索
Mail▶︎info@very50.org