「新卒大量リストラ」株式会社fundbookに関する証言と考察(前編) | 崩壊の過程、詳細レポート
新卒を50人近く採用し、そのほとんどをリストラした「株式会社fundbook」(代表取締役CEO・畑野幸治氏)について、新たに大量リストラの詳細な証言を得たため当記事にまとめました。
(前回の記事はこちらです↓)
今回掲載する関係者からの証言は、告発者の特定を避けるため編集者による修正が部分的に含まれます。主要な箇所については証言に基づき高い確信を持っていますが、注意してご覧ください。
守られなかった「口約束」
fundbook社に入社した新卒社員は基本的にコールセンター部隊に配属される。コール部隊を社内では“インサイドセールス”と呼ぶ。職業に貴賎無しとは言うが、fundbook社ではこのインサイドセールスは「地獄」のように認識されていた。(会社側の見解は後述する)
新卒内定者は、内定承諾書に署名する前に口約束で「数か月から半年のコール経験を積んでからフロントのフィールドセールス(営業職)に昇格し、年収も倍になる」というような説明を受けていた。
しかしこの約束は、ついに果たされることが無かったのである。録音や契約書も存在していない口約束であるため、会社側が守る義理は無いのかもしれない。複数証言者がまったく同様の約束があったと述べていることから真実だと思われるが、現実は残酷である。内定時のおいしい話から二転三転する会社側の説明に新卒社員は翻弄された。入社してすぐに会社側は約束を曖昧にしはじめた。不信感がつのり、新卒社員たちはわずか2~3カ月ほどで1割が自主的に退職届を出した。
入社してすぐに退職を決断した新卒社員はまだ幸福だったのかもしれない。この後、今年2月に地獄のような「新卒大量リストラ騒動」がはじまったのである。
大量リストラは3段階に分かれていた
複数関係者の証言から、大量リストラは3段階に分かれていると考えられる。
・初期「辞めるかコールか」 <2月中旬>
コール部門で成績下位の新卒社員を対象に”自主的な退職の勧告”が行われた。人事部から個室に呼び出された新卒社員はこのように言われたという。
このリストラ初期組が最も厳しい言葉で自主退職を促されたという。
・中期「コール部門の消滅」 <2月下旬>
引き続きコール部門の新卒社員のリストラが進む中、フロントの営業社員にも退職者が続出したという。新卒社員が担っていたコール部門自体が解散になると発表され、つまり、苦労してフロントに昇格した営業社員たちが、いわば実質的に”降格”して、再びコール部門に逆戻りになることが確定したのである。
そして前述の、フロント昇格が約束されたわずか数人の新卒社員だが、当然その話も曖昧になってしまったという。リストラ初期組よりはいくらか柔和な口調だが、ハッキリと身の振り方を考えるように説得されたという。
これでもfundbook社の大量リストラは、まだ終わっていない。
・後期「社員数の3分の1」 <3月現在>
<3月18日>当記事を執筆している中でも、リストラに関する関係者からの証言は絶えない。3月に入ってからも1週間に数人のペースでリストラは続いているという。
fundbook社の社員数は2021年5月1日時点273人と記載されている。このうち、2022年に入ってから現在までに80人~100人ほどが退職したという。全社員の約3分の1を超える数字にまで退職者が増えている。そして今もリストラは続いているため果たしてどれほどの総数になるのか、まだ誰にもわからない。
次回・fundbook社の見解 <内部資料>
筆者からの質問状に対してはfundbook社は回答拒否のままであるが、筆者はfundbook社の内部資料を複数入手した。
自主退職か、退職勧奨か――「本当に悪質なリストラだったのか?」。これを定義することは難しく、fundbook社の見解もまじえなければいけないだろう。本当に、コール部隊は懲罰的な部隊だったのか?これは内部資料が明らかにしている。fundbook社は「インサイドセールス」を「地獄」のようだと認識していた。
畑野幸治CEOは全社員に向けてこのような厳しい言葉を投げている。成績不振の社員は「フロント(営業)からインサイドセールス(コール)に戻す」と。その通りにリストラ対象者は「辞めるかコールか」を選ばされた。新卒だけでなく在職営業社員も、中途社員も、総計100人ほどが「地獄行き」を宣告され、自主退職に追いやられたのだろう。
次回詳細は明らかにするが、fundbook社は情報を隠蔽している。
社内では秘密主義が徹底され、まったく説明が行われていないという。このまま真実が隠蔽されてしまった場合、誰もこの悲劇を知ることなく、再び悲しみが繰り返されてしまう可能性がある。だからこの真実は公表されなければならない。
次回はなぜfundbook社が大量リストラを行ったのか、いくつかの傍証と考察をまじえて続きを執筆予定である。極秘裏に行われた「言い訳のような説明」についても内部資料を入手した。表に出せていない資料も一挙公開し、畑野幸治CEOに関する「葬られた過去」も検証したい。
(続編は来週予定)
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