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24年加入選手紹介①


シーズンも終わり、何か出来ることはないかと考えて久しぶりに書いてみた。
J2リーグは最終節でプレーオフを逃す悔しさを味わいながら、ACLではグループステージ突破と最高の結果を得たシーズン。
主力選手の相次ぐ移籍もあり、辛いシーズンオフでもあるが逆に素晴らしい選手も甲府にやってきてくれている。
その中でまず今回は、来季ヴァンフォーレ甲府へ加入内定となっている井上樹選手について。

1.経歴

【名前】井上 樹(いのうえ みき)
【生年月日】2001年5月28日
【身重/体重】178cm/74kg
【出身地】山梨県甲府市
【ポジション】DF/MF
【利き足】右
【経歴】羽黒SSS(甲府市立羽黒小学校)→ヴァンフォーレ甲府U-12→ヴァンフォーレ甲府U-15(甲府市立羽黒中学校)→ヴァンフォーレ甲府U-18(山梨学院高校)→明治大学
☆羽黒小、羽黒中からは小林岩魚選手、一瀬大寿選手に続いて3人目のJリーガーとなる。
【代表歴】
U-15日本代表(2015〜2016年)
U-17日本代表(2018年)
U-18日本代表(2019年)

ヴァンフォーレU-12からヴァンフォーレでのキャリアをスタートさせた井上選手。
U-12、U-15では今年日本代表に選ばれた京都サンガ所属の川崎颯太選手と同級生であり、共にプレーしていた。

U-15日本代表にも選ばれていた中学3年時には既にU-18に混ざってプレー。
2015年に選ばれたU-15日本代表では遠藤光選手とも一緒にプレーしている。
私が初めて彼のプレーを見たのも中学3年の時であった。
2016年のJユースカップ1回戦愛知FC戦。

メンバー表を見る限りは4バックのCBでプレーしていたようである。
この試合の記憶はあまり無いが、これが彼を初めて見た試合のはずだ。

記憶に残っているのがその年のプリンスリーグ関東第17節山梨学院高校戦。
その時の山梨学院は高校サッカー選手権出場を決めた直後であった。
2トップは直後の選手権で優秀選手に選ばれた当時1年生の宮崎純真選手(ヴァンフォーレ甲府所属)とU-17日本代表の加藤拓己選手(清水エスパルス所属)と全国でも屈指のコンビ。
その全国レベルのアタッカー相手に堂々としたプレーをした姿を見て次の「4番」を背負うのはこの選手だと確信した。

順当にU-18に進学した井上選手は1年時からポジションを確保する。
3バックの中央でプレーしていた井上選手は、U-18日本代表にも選ばれトップチームに昇格した入間川景太選手や現在ヴァンフォーレ甲府に所属している山内康大選手と共に守備陣を牽引していた。
2017年のU-17W杯にはU-16世代から厳選され、トレーニングパートナーとして帯同。
この大会に選ばれた選手は全員プロ入りしており、谷晃生選手、鈴木彩艶選手、菅原由勢選手、中村敬斗選手、久保建英選手とフル代表を経験している選手が揃っていた。
その後もU-17、U-18と順当に日本代表のキャリアを重ねていく井上選手は2018、2019シーズンにトップチームの特別指定選手となる。
2019年には『NEXT GENERATION MATCH U-18 Jリーグ選抜』の一員に選出され、ゼロックススーパーカップの前座として日本高校サッカー選抜と対戦。
この時のチームメイトには松本凪生選手や土肥航大選手がおり、対戦相手には宮崎純真選手がいた。

トップチームへの昇格も可能な実力を備えていたかと思うが高校卒業後、井上選手が選んだ進路は明治大学への進学。
コロナ禍1年目の年に大学進学をした中で、1年生ながら日本屈指の名門ですぐに関東大学サッカーリーグの登録メンバーに選ばれる。
当時の明治大学は須貝英大選手がキャプテン、蓮川壮大選手や今オフ加入が決まった木村卓斗選手もおりヴァンフォーレ絡みの選手が多く在籍していた。
順調のように思えた大学でのキャリアだが、1年生の夏のトレーニング中に膝の大ケガに見舞われ、8か月近いリハビリを余儀なくされてしまう。
結果、明治大学での公式戦デビューは3年生まで待つこととなってしまう。
前年のインカレに登録はされたものの出場機会が無かった井上選手の大学サッカーデビューは2022年の関東大学サッカーリーグ第2節順天堂大学戦。
慣れ親しんだCBのポジションではなく、ボランチでの出場と驚きの起用であった。
木村卓斗選手と同期でコンサドーレ札幌に内定している田中克幸選手と中盤を形成。
余談だが、田中克幸選手は帝京長岡高校時代にヴァンフォーレの練習に参加し、獲得のオファーも出していた。

順天堂大学戦でデビューした井上選手は早速結果を残す。
田中選手からのコーナーキックを頭で合わせて明治大学に勝ちをもたらす。

ここから勢いに乗った井上選手は最初はボランチで、3バックにチームが変更後はCBでポジションを掴み、17試合に出場して2ゴールと飛躍の1年となる。
しかし、関東王者として挑んだ全日本大学サッカー選手権は初戦で仙台大学に敗れて全国優勝には届かず。

最終学年となる2023年に入り、井上選手は古巣であるヴァンフォーレ甲府のキャンプに参加する。

シーズン開幕前には関東大学選抜Bにも選ばれ、デンソーカップチャレンジサッカーに出場する。
ヴァンフォーレのキャンプ参加、関東大学選抜での活動を終えて明治大学に戻った井上選手は名門明治大学のキャプテンに就任する。

そして4/18にヴァンフォーレ加入内定の一報が入る。

順風満帆なスタートを切ったかに思えた井上選手の最終学年。
関東大学リーグ、天皇杯、アミノバイタル杯、総理大臣杯、全日本大学サッカー選手権を掲げて挑んだシーズンだが5月に入り、東京都天皇杯予選決勝でクリアソン新宿に敗れて、1つ目のタイトルを失ってしまう。
その直後に衝撃のニュースが飛び込んでくる。

開幕から無敗をキープしていた明治大学だが、勝ち点を全て剥奪されてしまう。
それでも着実に勝ち点を増やしていく明治大学は夏の全国大会である総理大臣杯の予選となるアミノバイタル杯に臨む。
しかし、この大会でも初戦で城西大学に敗れてしまい目指していた5冠の内3つのタイトルを逃し、リーグ戦も勝ち点剥奪もあり絶望的な状況となってしまう。
結果的にリーグ戦は3位に終わってしまうが、冬の全国大会である全日本大学サッカー選手権への出場権は確保する。

2回戦から登場した明治大学はJリーグ内定選手を5人擁する関西学院大学を5-3の打ち合いで制して初戦を突破する。

3回戦の相手は前年の大会で敗れた仙台大学。
仙台大学もJリーグ内定選手を5人擁するチームであったが、井上選手を中心に完封して退ける。

準決勝の相手は関東王者の筑波大学。
シュートを1本しか打てず、押し込まれる試合となるが関東王者を3回戦に続き完封して決勝進出を果たす。

決勝の相手は京都産業大学。
東京ヴェルディ内定の食野壮磨選手を中心とした強力な攻撃陣を擁する関西王者相手にこの試合も完封して日本一を達成する。

昨年の水野颯太選手に続いての大学王者からの加入内定となる。
明治大学のキャプテンとして苦しんだシーズンだったかと思うが、結果的にタイトルを取り日本一のキャプテンとして育ったクラブへの帰還となった。
「紫紺の漢」から再び「青赤の漢」へ。
今度は甲府の象徴となれるか楽しみだ。

2.特徴

赤が起用されるであろうポジション

井上選手はキャプテンシーとクレバーさを兼ね備えたCBとなる。
小学、中学、高校、大学と所属した全てのチームでキャプテンを務めて来たようにDFリーダーとしてだけでなく、チームを引っ張る将来のキャプテン候補の1人としても期待できる。
身長は178cmとCBとしては小柄な井上選手だが、背丈が無くとも明治大学進学後に身体の厚みは増しており、ひ弱な印象は受けない。
ただ、身体能力で勝負する選手ではなく予測や技術で勝負できるクレバーな選手である。
冷静なプレーを持ち味としながらも熱いハートの持ち主でもある。
チームを鼓舞する姿はまさに闘将。
試合を見ていると井上選手がチームメイトを鼓舞する声が良く聞こえてくる。
また、時折質の高いロングフィードも見せるが展開力を武器にしていると言える程の武器ではないと思う。
この点は伸び代でもあり、将来的には武器にも出来る可能性は秘めているのではないかと思う。

明治大学進学後はCBだけでなく、SBやボランチとプレーエリアを広げていったが適正ポジションは3バックの真ん中かと思う。
U-18でも明治大学でも一番輝いていたのは3バックの真ん中でプレーしていた時である。
だが篠田監督は4バックを採用しており、現状のチームで最大の力を発揮することは難しいかもしれない。
適正ポジションが無いため、即戦力にはなりにくいのかなというのが素直な感想。
ただ実力が無い訳ではなく3バックを採用していれば即戦力になれる実力者だと考えている。
来シーズンは若手の頃の山本英臣選手のようにSBやボランチで経験を積みながら力を蓄えていくのがベストかもしれない。

また、井上選手は明治大学への進学で一番成長した点は人間性だと語っている。
井上選手の人となりも以下のブログから感じていただければと思う。

3.まとめ

井上選手が高校生の頃から将来の4番を背負うことに期待していた選手の帰還は本当に嬉しい。
明治大学への進学は選手としても人間としても大きく成長するきっかけとなったかと思う。
同じ山梨県の出身で明治大学から加入してキャプテンを努めた須貝英大選手やプレースタイルの似ている山本英臣選手と目標とする選手はいるかと思うが自分らしくプレーして欲しいなと思う。
次の4番を背負って欲しいとずっと願っているが、山本英臣選手にはなれない。
だが、山本英臣選手を超えることはできる。

また、アカデミーの選手に希望を与える選手になりたいとも語っているが背負い過ぎないで欲しい。
年代別代表に選ばれて名門明治大学に入学してキャプテンを務めて日本一になっただけでも十分過ぎる功績。
明治大学時代のインタビューを読んでも人一倍想いを背負ってプレーする選手だと感じていた。
それも井上選手の魅力であるが、彼らしくプレーしていれば勝手に憧れられる選手になると思う。
それだけの魅力がある選手だから。

2024シーズンは井上選手のユニフォームを私は着ようと思っている。
それだけ待ち望んだ男の帰還。
井上選手の活躍を温かく見守ってくれたらと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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