Hiroshi Matsuura

ファシズムや反ユダヤ主義、差別や偏見の問題を研究しています。『日本人の〈ユダヤ人観〉変…

Hiroshi Matsuura

ファシズムや反ユダヤ主義、差別や偏見の問題を研究しています。『日本人の〈ユダヤ人観〉変遷史』(論創社)、『ユダヤ陰謀説の正体』(筑摩書房)他論文などの詳細はフェイスブックに。尊敬する人物は、杉原千畝。好きな作家は、ジョルジュ・ベルナノス、音楽家はバッハ。

最近の記事

*「#松澤フミ と #杉良太郎 -- 寄留の異邦人と孤児を救え!」

… あなたの苦しみは私の苦しみ、あなたの受けた傷は私の傷。 〝平民宰相〟原敬は、幕末の南部藩に生まれ、戊辰戦争で敗軍となった東北で、親を失い泣き叫ぶ孤児の姿が忘れられなかった。 ロシア革命の混乱期にシベリアでたポーランド人孤児たちが孤立した、救済委員会が欧米各国に嘆願するも、各国は難しい外交関係に巻き込まれるのを嫌って拒否。 救済委員は、それまでほとんどポーランドと関係のなかった日本に最後の望みをかけた。 日本赤十字から連絡を受けた原敬は、ただちに閣議を召集し、「これは

    • *【#信仰】「イエスを裏切ったイスカリオテのユダに入った『悪魔』とは何か?」

      イエスがパンを浸し与える人物が自分を裏切るとし、そのパンをイスカリオテのユダに与えた」 … ヨハネ福音書は、そのとき「悪魔が彼の内に入った」の述べる。 この唐突な悪魔への言及は、ユダが会計係として不正を行った云々の通俗的説明と整合しない。ユダは、仮にもイエスが十二人の弟子として選ぶほど深い信仰を持っており、イエスを愛していたからこそつき従ったのだ。 ここでわれわれは、イエスを十字架につけたもう一つ別の説明が想起される。それは、マルコ福音書が「祭司長たちのねたみ」が原因だ

      • *【#名言】「生活のパンのかたわらには思索のためのパンが添えられて欲しい」(ヴィクトル・ユゴー)

        … 1848年11月11日のフランス国民議会での演説より。 「科学、文学、芸術関係の特別予算の削減案に対して、私は否定的な立場をとっています。財政的な観点に立つならば、それは無意味であり、その他のすべての観点に立つならば、それは有害だからです(…)現状で社会の大きな脅威になっているものはなんでしょうか?それは無知です。無知は貧困よりも深刻な問題です(…)もちろん私は、わが兄弟である労働者のためのパンを熱烈に求めています。しかし、生活のパンのかたわらには思索のためのパンが添

        • *【#人生】「死ぬこと以外はかすり傷」

          … 人生で真剣に問うべき唯一の問題は生と死をめぐる問題だ。 ローマ帝国は、民衆統治の要に「パンとサーカス」を置いた。 「パンとサーカス」とは、民衆を消費と娯楽に釘付けにしておけば、失政に対する非難のエネルギーを政権以外に向けられるということで、これは現在の自公政権と同じである。 それでは、「パンとサーカス」とは何か? それは、生と死の間に置かれたついたてであり、不安や恐怖を掻き立てる不可避の死から目を背けるための一時的な逃避所である。 作家の永井荷風は「#元来日本人

        *「#松澤フミ と #杉良太郎 -- 寄留の異邦人と孤児を救え!」

          *【#宗教】「いかがわしいセクト、危険なカルト宗教の見分け方を教え

          … 特に大学の新入生などは留意して欲しい。 あなたの人生を台無しにするインチキ宗教の特徴は、#自分の属する宗教宗派を特権視する ところだ。 例えば、昨年からずっと世間を騒がせている統一教会は、教会員以外を「サタン」と呼んでいる。 ◆ 愛は普遍的なものであり偏狭な考え方は間違い われわれが誰でも知っているマザー・テレサ(カトリック)、杉原千畝(正教徒)や中村哲(バプティスト派のプロテスタント)を考えればわかる。 マザー・テレサが尽力したのはインドのヒンズー教徒、杉原千

          *【#宗教】「いかがわしいセクト、危険なカルト宗教の見分け方を教え

          *【#何も学ばない国】「われわれは東日本大震災から安倍元首相暗殺事件まで何も学ばなかった」

          … 東日本大震災の大混乱の中では逸脱行動もあったが、それを超える多くの助け合いが見られた。 宮城県女川町にある佐藤水産の佐藤充さんは、日本に出稼ぎに来た中国人の女性たちに「津波が来るから高台に登れ」と呼びかけて救い、自らは逃げ遅れ返らぬ人になった。 大災害でそれまでの秩序や組織が崩壊したとき、人間は単に欲望に従い自分の利益を求めて合理的に行動するだけではなく、命を投げでしてまで人を救うことさえあったのだ。 われわれは、田中正造、杉原千畝や中村哲先生などの偉人たちを知って

          *【#何も学ばない国】「われわれは東日本大震災から安倍元首相暗殺事件まで何も学ばなかった」

          *【#宗教】「一神教と多神教の違いとは何か?

          … 多神教の〈神話〉は古代の王権を支える政治装置である。 ① その神々は、自然力の比喩(例えば、太陽神であるアポロンや天照大神等)。 ② あるいは、人間的諸力の外化(例えば、走力を喩えるアキレスや韋駄天等)である。 ③ アポロンがローマ皇帝の先祖で天照大神が皇祖と考えられていたように、人間の力では太刀打ちできないような自然力によって王権を権威づけ民衆を従わせる。 ④ もう一つの人間的諸力の外化は、自分の延長線上にあるナルシシズムを慰撫する。 ⑤ つまり、#民衆を権威

          *【#宗教】「一神教と多神教の違いとは何か?

          *【#歴史】「江戸時代の人々は今日が建国記念日などとまったく考えていなかった」

          … これくらいいい加減な発想でつくられた「祝日」もまれである。 周知のように、戦前の公式史観では、1940年(昭和15年)が、神話上の神武創業から数えて紀元二千六百年と想定されており、この年運転を開始した旧日本海軍のエース戦闘機が「ゼロ戦」(「零式艦上戦闘機」の略称)と呼ばれたのはあまりにも有名である。 この「紀元」とは神武天皇の即位「紀元」なので、この「紀元」なるものが悠久の昔から存在するように思われがちだが、そうではない。「紀元」という発想は、幕末の欧州留学生として、

          *【#歴史】「江戸時代の人々は今日が建国記念日などとまったく考えていなかった」

          *「日本の大学になぜ2年間の教養課程があるのか?」(児美川孝一郎/法政大学教授)

          *「日本の大学にはなぜ2年間の教養課程があるのか?」(児美川孝一郎/法政大学教授) 「しかし、これでは、教育課程としての教育上のまとまりがどう担保され、個別の科目ではなく、課程全体としてどのような学習成果を生むことになるのかは、はなはだ曖昧なのである。学生の側からすれば、テレビ番組を次々と見せられて、確かに幅広い情報を得ることはできるかもしれないが、番組どうしのつながりや脈絡はいっさい示されないといった状態である。番組自体の内容が特段に面白ければ別であるが、多くは、興味その

          *「日本の大学になぜ2年間の教養課程があるのか?」(児美川孝一郎/法政大学教授)

          *「#家族の肖像」

          ... 父方の祖父の松浦善之丞の出征時の写真。 日露戦争の最末期に補充兵として徴兵され満州に派遣された。 八人姉弟の唯一の男子だったので、「戦死すれば家が断絶してしまう」と曾祖父の良太郎は嘆き、身重の祖母といっしょに、宇和島から八幡浜の港まで見送りに行った。 祖父は、そこから船で大本営のあった広島に向かい、朝鮮に渡り、鴨緑江を越えて満州に入った。 陸海軍とも日本軍が優勢だったが、講和に持ち込むためには、満州における最終的な勝利が必要と考えられていた。 国民には知らさ

          *「#家族の肖像」

          *【#人生】「他にすべてを投げ捨ててただひたすらそれだけに心が触発される様な何か、そういう何かが存在しないものだろうか?」

          ... スピノザ『知性改善論』より。 「そう、もしわたしがそれを見つけて獲得したら、その先ずっと、永遠にわたる最高の喜びを味わえるような、そういう何かが存在しないものだろうか。これを一つ探求してやろうと決めたのである」とスピノザは続ける。 テレビから SNS まで、毎日毎日商品の広告で埋め尽くされている。 愚か者たちは「パンとサーカス」に惑わされ、流行に乗り遅れまいと腐心し、権力と地位の椅子取りゲームに振り回され、虚しい生を終える。 「他にすべてを投げ捨ててただひたす

          *【#人生】「他にすべてを投げ捨ててただひたすらそれだけに心が触発される様な何か、そういう何かが存在しないものだろうか?」

          *【#政治】「ノン・エリートの地下アイドルだった安倍元首相」

          … お世辞とわかっていても『頭悪い・勉強出来ない・漢字読めない』と子供時代からバカにされ続け来た安倍氏のような人物は褒められればうれしい。 そこで「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」のように、大資本と周辺人を結び付ける岸信介流のポピュリズムを推進する。 つまり、高学歴のエリートに反発するノン・エリートの怨恨感情を利用して政権奪取のカタパルトにしたわけだ。 ◆ 大資本と落ちこぼれの後ろでの同盟 それは、ネトウヨからカルト宗教、極右の学者やジャーナリストなど社会のメイ

          *【#政治】「ノン・エリートの地下アイドルだった安倍元首相」

          *【#チンピラに上品も下品もない】「西部邁の周辺の高等批評はアベノミクスの共犯者」

          … 竹中平蔵、橋下徹、三浦瑠麗やホリエモンや小林よしのりなどが量産したネトウヨなどのと違いは、「あんな無教養で下品な連中とは違う」というスノビズムだけ。 一方には、ルサンチマンをため込んだ『ナニワの金融道』、カネと暴力だけがものを言う下層社会のモラルがある。 そして他方には「日本会議」「新しい歴史教科書をつくる会」からモラロジーに至る、戦前の修身を思わせる道徳主義がある。 この両者は一見真逆に見えるがそうではなく、互い補う関係にある。 ◆ 英国の新自由主義的構造改革の

          *【#チンピラに上品も下品もない】「西部邁の周辺の高等批評はアベノミクスの共犯者」

          *【#政治】「野党の指導者たちはなぜ自分たちが不人気なのかわかっていない」

          … それはその〝学級委員的〟な言動が嫌悪されているからである。 かつてヒラリー・クリントンとトランプ候補が接戦だった米大統領選があった。 日米の評論家たちは、「さすがに粗野なトランプに対してヒラリーが勝つだろう」と予想したが結果は違った。 選挙戦の最後で、ヒラリーは中西部の貧しい白人に対して「哀れな人々」という失言をし、トランプはこの失言を見逃さず、南部で「私は低学歴の人が好きだ」と演説し喝采を博して当選した。 これは、共和党が長らく練り上げて来た選挙戦略の勝利である

          *【#政治】「野党の指導者たちはなぜ自分たちが不人気なのかわかっていない」

          *「〝新しい資本主義〟とは使い捨ての部品としての人間を作ること」

          … マルクスの貢献は、商品や貨幣の物神性の神秘によって、人間も含めたすべての事物を貨幣価値によって値踏みすることによって事物同士の生活関連を分断しすべてのものからその内在的価値を奪う #物象化現象 を明らかにし、資本主義の脱神話化をしたことである。 ところが新自由主義的な構造改革は、この物象化を推し進め、人間疎外をさらに推し進めることさえ礼賛する。 かくして、結婚は「源泉徴収票の交換」にとってかわり、教育は「将来の見返りを期待した先行投資」と見なされ、医療や介護は経費の問

          *「〝新しい資本主義〟とは使い捨ての部品としての人間を作ること」

          *【#人生】「地獄とは、もはや愛さないということである」

          … ジョルジュ・ベルナノス『田舎司祭の日記』より。 生死に関する考察なしに充実した晩年などない 加齢と共にひどく性格が悪くなる人がいる。 それは「自分が死ぬ」という強迫観念が、周囲の活力や若さを嫉妬させるからである。 それまで、財産や地位や学歴などつまらないものに依存してきた者の晩年は悲惨である。 人間を外から飾るものをすべて喪失し、素の自分の直面したとき、その内面的支え、例えば知や徳や愛のない者は、ただ周囲を妬むだけの俗物として朽ち果てる。 「一人で生まれ一人で

          *【#人生】「地獄とは、もはや愛さないということである」