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製造業の生産工程のFA化

FA(ファクトリーオートメーション)化というのは、

主に工場における受注・生産計画・生産・出荷検査・梱包・出荷といった一連の工程を生産基幹システムや情報システム、ロボットや各種センサなどで自働化することを意味します。

1960年代からFA化が少しずつ世界の生産市場で進み始め、当初は生産性の向上に主眼が置かれていました。

現代においては、生産性の向上は基本的な前提条件となり、更には品質向上やフレキシブルな生産工程化、IOTとの融合など

現代の製造業が抱える品質や多品種大量生産への対応などの諸課題の解決策として活用されています。

で、こういう記述をすると至極簡単にFA化を実現できる、またはFA化すれば全て上手くいくような印象を受けてしまいますが、そんなことはありません。


まず、FAの導入時にシステム屋さんや製造コンサルの先生方が見落としがちなのは、生産工程のFA化も結局は、要素技術や製造技術等のノウハウや品質の造り込みがなされていない現場に導入しても、まず上手くいきません。

プレス加工やレーザー加工のノウハウを持たない作業者にNCレーザータレパンを使いこなせませんし、

溶接のノウハウを持たない作業者に溶接ロボットのティーチング(実際の溶接方法をロボットに教え込む)はできません。

切削やタッピング加工のノウハウを持たない作業者に高性能マシニングセンターのオペレーションはできません。

といった様に、様々な要素技術・製造技術なしには、どんな高性能なマシンとロボットやセンサ・情報システムを融合させたFA化を実現しても、それを上手く回せないのです。

品質的にも同様で、自動機は指示した通りにワークを生産し続けます。

ですので、発生が想定される不具合をオート加工前に自動機に教示し、センサーで不具合を検知すれば即時に加工を停止するシステムを確実に構築しなければ、材料費ロスのオンパレードとなってしまいます。

また、不具合品を大量に加工してしまう事にもなります。

では、要素技術や製造技術のノウハウを持たない作業者が、事前に素材の状態や前工程の品質バラツキを考慮して、発生が想定される不具合を未然に自動機に教示する事が可能でしょうか?

答えは当然NOです。

しかし、システム屋さんや製造コンサルの方はこうおっしゃるでしょう。

「細かな設備設計や製造に沿った運用方法は現場にお任せします」と。

大枠だけ整えて詳細は現場でとなるなら、現場に要素技術や製造技術のノウハウがなければどうなってしまうかは明白ですね。

結論は、生産工程のFA化は自社の要素技術・製造技術を鑑みて、強みのある部分を主軸に構築すべきという事です。

強みに特化した生産工程のFA化によって蓄積される、"FA化"のノウハウを社内形式知としてマニュアル化できる段階まで高めることができれば、

工場全体の生産工程のFA化も、ノウハウを保有しない技術分野においては、専門家に入ってもらいながら、FAを基にした生産システムを構築できるでしょう。

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