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"濡れ衣"のコスカシバ(植物にとっても暑かった夏)

毎年のように『記録的な猛暑』と伝えられていますが、今年は「本当に暑かった!!」と声を大にして、何度でも言いたくなります。
私たち外仕事の人間にとって、今年の夏は未だかつてないほどハードなものでした(ここ数年は毎年思っていますが…)。そしてそれは、樹木にとっても同じだったようです。

7月の終わりに「シダレモモから樹液が滲み出している」と連絡を受け、何かの食害だろうか?と思いながら現場へ向かいました。
原因としてまず最初に浮かんだのは、虫(コスカシバ)による食害でした。
コスカシバはウメやモモ、サクラなどの害虫として知られます。

樹木は自分自身を守るため、コスカシバをはじめとした虫が樹皮をかじって侵入してくると、樹液を出して自身の身を守ろうすることがあります。
現場に到着すると、樹皮から樹液を出した、痛々しいシダレモモの姿が…

至るところから樹液を出しているシダレモモ
(幹や枝のあちこちについている、茶色い塊が樹液です)

殺虫剤を虫穴に噴霧しようと樹液を取り除いてみるのですが、どの樹液部分にも侵入痕跡がありません。
ないぞ?と思いながらも、樹液が出ているあたりにシューッと殺虫剤を吹きかけ、土にも殺虫成分の入った市販の粒剤(オルトラン粒剤)を散布しました。
それから2週間ほどしてまたこちらのお宅に立ち寄ったのですが、樹液はまだ滲み出しています。
初日に感じた違和感も蘇り
「やっぱり何か違う!」、そう思って調べ直すことにしました。

1つの仮説として行き着いたのが、樹脂病という病気でした。

樹脂病は、幹の日焼けやカミキリムシの食害などで樹勢が衰えると、傷口から病原菌が侵入して発生する、果樹がかかりやすい病気です。
この"傷口"からのちに黒点病菌に感染するので、対策としては殺菌剤を散布することになります。
樹脂病に登録されている農薬はありませんが、黒点病に効く殺菌剤を撒くと良いようです。
もし初期段階で「これは虫ではなく病気かも」と気づいていれば、もう少し違う対応が出来ていたな、と反省しました。

この樹脂病について調べる中で『干ばつストレスが一因』という記載を見つけました。
樹木も猛暑でストレスを感じているんだという発見と、反省をした次第です。

その後に近所の植木市場や、剪定で伺った別のお宅でも、シダレモモの樹液が出ているのを発見しました。『干ばつストレスが一因』というのは、あながち間違いでは無いように思います。

これほど暑い夏が続くのであれば、今後お庭づくりにおいても、選ぶ樹種や配置をさらに熟考しなくてはいけないのかなと思います。なんとも複雑な心境です。
気候やお庭の環境に柔軟に対応しながら、お庭ごとに合った樹種をご提案して行こうと改めて感じる出来事でした。

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