料理を食べなくても合うドリンクやワインを選べるってどうしてなのか、教えて欲しい。

「料理を食べなくても合うドリンクやワインを選べるってどうしてなのか、教えて欲しい。

プロからすると当たり前のことなのかもしれないけど、プロじゃない人達は、なんで?っておもう。

プロがドリンクを選ぶときにどんな風に選んでいるのか?なぜ食べずして選べるのか?そういう部分聞きたいんだけど」

今日聞かれた言葉です。

そんなこと考えたことなかった。笑
というか文字にしたことなかったんですよね。なので書いてみようかなって思ってスマホを握っています。

ワインで知った味の構造と構成

正直、感覚というか、子供の頃からご飯の時に飲む飲み物って味噌汁とか水ぐらいだったし、ジュースとか飲みながらご飯って単純にイヤだった。

でもワインを知るようになってからは食事と飲み物の関係って大切だし、それでしあわせな気分になれるものなんだ。って思ってからは本を読んだり、実際に料理を作ったり、色々な料理を食べながらワインを飲んだりしました。ワインは食中酒だと知ったから。

そうすると、段々と見えてくるもの感じるものがありました。

食べなくてもわかる理由を一言で言うと、味の構造と構成がわかればいいんです。


ワインと料理の味をバラして、1つのまとまりある味に構成し直すってこと。編集作業のような感じ。

伝わってますかね?難しいですよね。笑

例えばワインを選ぶ時はまずブドウの構造を知るんです。

ブドウを作っている産地(気候、風土、土地の質とか)、造り手の方向性も必要です。それである程度ワインの香りや味の構造はわかるんです。(もちろん例外もあります)。

そして料理は、食材、調味料、調理方法(ソースがある場合はソースも)がある。食材の味、調味料がもたらす香りや味、料理方法がもたらす食感、ソースがもたらす香りや味。

これらの構造を知って、味を足せるのか、引くことが出来るのか、と構成し直す。端的にいうと、ワインを料理の調味料やソースだと考えてみる。

美味しいものと美味しいものを合わせたから美味いわけじゃなくて味のバランスをとるってことですかね。

味の体験を増やす

ビールは基本何にでも合うじゃないですか?あれはビールの個性が穀物だし、ほろ苦いからなんですよ。

穀物にはおかずが合うし、ほとんどの食べ物にはほろ苦さがないから、一緒に食べ物を食べても合う。複雑なものは"美味しい"に大切なひとつの方向です。味の要素が膨らむ。味同士に喧嘩するものがないっていうのもポイントです。

でもビールとコンビニの魚肉ソーセージやチーカマとは一見合いそうですが、全く合わない。一緒に食べるとゴムを食べてるみたいになります。旨味を打ち消し合う味の組み合わせなんですね。勇気ある方はやってみてください。笑

そしてこういうご飯の時のジュースとかビールと魚肉ソーセージの体験もボクのソムリエとしての要素として生きています。合わないものを知るのも大切です。

だから「なぜ出来るの?」って聞かれても、「味」というものに興味をもって色んなものをたくさん食べてきたからって言ったらそれまでですけど、味のプロとして、食べてるものの味の構成を常に考えて食べてるからだと思います。

ボクは辛いものや匂いのキツいものが嫌いです。みんな同じだと思うけど、辛いものも臭いものも嫌いなものって食べたことがあるからだと思うんです。その結果、好みじゃないってこと。

でも味の構成はわかるじゃないですか、例えば強烈な香りのチーズに蜂蜜をかけて食べるのは、香りを程よくマスキングしてくれてチーズにない甘みを少しだけ足し、チーズの旨味を引きだしてくれ、その味の組み合わせでより複雑な味の体験にしてくれる。

食材がわかって主となる味の構成がわかれば誰にでも出来ることだと思っています。

誰に届けるのか?

あともう一つ大切なのがお客さまを観ることです。

ボクが「おたる政寿司」さんと不定期でやっている"寿司とワインの会"も8割〜9割はリピーターです。

それもはじめはみんなふんぞり返って「寿司には日本酒でしょ?」って人たちばかり。まるで合わないことを確認しにきてるみたいに。

そりゃそうですよね、日本の食べ物なんだから。(基本的に土地の食事と土地のお酒は合います。この話は長くなるのでまた今度。)

でもそんなお客さまにでもわかるように聞き手の興味のある言葉やわかりやすい共通の認識を使って伝えることが大切です。

ワインの知識はどのくらいあるのか?食と飲み物に興味があるのか?どこに注意して味を感じてほしいのか?こういうことを考える。

もちろん食べてもらえば一番わかるのでその体験が評価につながりますが、段々前のめりに寿司とワインを口に運ぶ姿になってくると「きちんと伝わったな」と思う。
そして今では寿司とワインの虜で、みんなリピーターになって下さっています。

そして面白いのが、お客さんも段々組み合わせがわかるようになってきています。「これとここを合わせたんでしょ?」って。ボクの説明を聞いてくれて、意識して食べてますから。

まぁ、なので若干やりにくくなってきましたけどね。笑

編集するには情報が大切

遠く離れたお店からワインリストを作ってほしい。そういうお仕事を頂くことがあります。

もちろんお店に行って、料理を食べられることが1番の情報ですが、その時も同じように情報をたくさん頂きます。

「それってワインリストに必要なの?」って質問を受けるような時もありますけど、そのワインリストを通じてお客さまに喜んで頂くための要素だからほしいんです。

オーナーの思いやお店のこと、シェフの思いや、お客さまのことがわかれば出来ます。編集という仕事だから。

今までもこの15年ずっと旅館やレストラン、ワインバーなどで沢山の料理やワインを編集して
飲料の売上を上げてきたから。

ボクのもう一つのお仕事、販促のお手伝いだって同じです。自分たちの価値を伝えるためには

誰に、どんな体験を伝えるのか?

ってことを考えること。師匠である藤村正宏先生から学んで実践してきたことです。

そのためには、自分たちのこと(ワインや料理のこと)、相手のこと(お客さま)を知らなければきちんと価値を伝えることが出来ない。

一度バラバラにして「何のために」とか「誰のために」とか「誰が喜んでくれるのか?」ってことを考えて、編集することは、味に向き合うことや、価値を伝えることに大切だなぁと改めて思いました。

そんな質問をくれた友人に感謝です。

賑やかな店内のコーヒーショップでコーヒーを飲みながらそんなことを思っていました。

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鵜沼 聡志

たまにするワインの話

自分がソムリエだということを忘れてしまいそうになることがあるので、ワインのことやフリーランスのソムリエとして思う色々なことを徒然なるままに
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