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噓日記 3/3 自作で楽しむ雛祭り

今日は三月三日、雛祭りだ。
雛祭りを楽しんだことが人生で一度たりともない。
女児が楽しむ日なんだから俺が楽しめる道理が一切無いのは理解できるが、楽しんじゃいけないわけではないだろう。
ということで人生で初めて雛祭りを楽しむことを決意し、朝から行動を開始した。
雛祭りといえば雛人形をイメージする人がほとんどだろう。
実際俺がイメージしたのも雛人形。
ただ女児でもないし女児がこれから誕生する予定もない限界独身男性からすると、たった一日のおふざけのために雛人形を一式買うのは気が引ける。
ということで自作する。
通販会社のロゴが入った薄い段ボール、捨てる前でよかった。
ダンボールにプリンターで印刷した赤い紙を貼ってボードを作る。
そのボードを切って貼ってを繰り返し、三段の雛壇を作成した。
小学生の頃の図工の授業を思い出す作業。
周りの音が全部聞こえなくなるような深い集中、自分の呼吸だけを意識していつの間にか動いている手。
工作っていいものだ。
そんな深い集中故か、全て忘れていたのだが雛壇だけ作っても置くものがない。
しょうがないので近所のスーパーへ。
桃色に輝くひなまつりの特設エリアで菱餅とひなあられを手に取ってから、お菓子売り場へ。
卵形のチョコレートの中にフィギュアが入った人気菓子を5個適当に手に取ってレジへ。
限界独身男性のできる一番キモい買い物がこれだ。
その後真っ直ぐ帰宅して、急いで開封する。
メンタリティが子どもと同じだ。
おまけ付きのお菓子は帰宅した瞬間に開封する。
そうやって生きていく。
卵を割って中から出てきたのは五個買ったのに三種類。
しかもなんか安いから適当に買ったけどフィギュアが恐竜だった。
人ですらなかった。
チンタオサウルス、オウラノサウルス、プシッタコサウルス×3。
恐竜界が教室だったら確実に掃除ロッカーの前あたりに屯している根暗恐竜たちばかり当たる。
プシッタコサウルスなんてフィギュアにするなよ。
とりあえず三人官女はプシッタコサウルスで決まりだ。
チンタオサウルスとオウラノサウルスは男雛・女雛として配置するが、正直もうどっちがどっちでも変わらないので深く考えず配置。
菱餅、皿に盛ったひなあられを並べて雛壇と一緒に写真を撮る。
限界独身男性が限界独身な理由が全て揃った写真が撮れた。
どこからどう見ても雛人形ではない。
何かしらの霊を降ろそうとしている。
セントロサウルスの降霊術にしか見えない。
そんで降ろすのも根暗恐竜なんかい。

どりゃあ!