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初を誇るな 消費者視点から紐解くビジネス

ネットの海の浅瀬でちゃぱちゃぱと股間に水をかけて睾丸を冷やして遊んでいると、よく見る文言がある。
「日本初」、「元祖」、「初代」……
SNSのプロフィールにそんな言葉を並べ立てて、あたかも自分がすごい人間であるかのように飾る魑魅魍魎たち。
おぉ、今日も誰も興味がない初を誇っておるな、なんて穿った目で流れてくる文言を睨みつけてみたりもする。
私はそんな初を誇るという行為が苦手なのだ。
ネットの顔出しイキリ睾丸洗い共が謳う初なんてもんは、大抵誰もが思いついて誰もがやらなかったことばかり。
レッドオーシャンの最初の一匹になったわけでもなく、死の海に漂う木片になりました! と誇っているわけだ。
今回は初を誇るという行為について、事例とともにビジネスでの成功•失敗を見ていきたい。

まずは成功から。
実はかの有名音楽ゲーム『太鼓の達人』は初を誇ってない。
誇りが生まれたのは家庭用の三本目。
あっぱれ三代目から。
三代目が会社を潰す、なんて言葉がある中で勝って兜の緒を締めよ、三代目から改めて自身を誇るその気高さ。
そんな気高い会社運営もあってか、太鼓の達人は二十年を超えて愛されるIPとなっている。
ちなみに私は太鼓の達人をたいたつと略す輩が嫌いだ。
ガンバの冒険をがんぼうと略す輩なんていないだろう。
たいたつは自然の摂理に反する。

さて、それに引き換え妖怪ウォッチよ。
妖怪ウォッチ2はバージョンごとにタイトルが「元祖」、「本家」、「真打」。
慎ましさのかけらもない。
かの化け物IPポケットモンスターでさえ、「金」、「銀」だ。
それがなんだ? 元祖•本家•真打だ?
恥を知りなさい。
見てごらんなさい。
ハッピーセットを侵略したジバニャン、今どこ行った?
子どもたちが親を巻き込んで必死に集めたメダル、あれどこやった?
元祖と書いてあるから1かな、と親戚の子どもに買ってやった妖怪ウォッチが2だったあの衝撃を私は忘れない。
あれ以来、私は妖怪ウォッチの敵となった。
我、汝の敵を打ち倒すもの也。

今回は初を誇らなかった事例と初を誇ってしまった事例を見ていった。
この二つの事例でも対照的な結末を遂げていることが見て取れるだろう。
初を誇るな。
誇っていいのは最初のキスの味だけだ。
最初で最後の口付けは、冷たい死の味がした。

さて、お迎えが来たようだ。
六文銭を握りしめて、賽の河原の石を蹴飛ばし、三途の川さえ飛び越えて、死の海で睾丸を洗う。
睾丸を今一度洗濯いたし申し候。

どりゃあ!