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行政書士(個人事業主)の資産運用:後編

3、中小企業共済

これは個人事業主版の厚生年金のようなものです。

詳しくは以下のホームページをご覧ください。シュミレーションのページもあります。

http://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/index.html

月1千円~7万までの掛金をかけていくと、廃業のその瞬間まで中小機構が運用してくれます。

また、掛け金の全額が所得税から控除されます。
ゆえに、7*12=84万円が最大控除です。

もし、IDECOと共に最大控除額まで使うと、165万程度の控除を受けることが出来て、莫大な節税効果となります。

受け取りに関しても、退職金として一気にもらうか、もしくは、10年分割、15年分割を選ぶことが出来ます。

中小企業共済の最大の特徴は、加入月をコントロールできることになります。
IDECOは60歳までという年齢制限によりストップしてしまうのに対して、中小企業共済は廃業するまでとなっています。

ゆえに、自分が元気に75歳まで廃業しないで個人事業を続ければ、ずっと加入し続けることが可能です。

よって、退職一時金としてもらう時の、退職所得控除の額をコントロールしやすいという利点が生じます。

退職所得控除は、

20年以下であれば、(40*加入年数)万
20年以上だと、(800+70*(加入年数ー20))

ですから、例えば、50歳で加入したとしても75歳まで廃業しなければ、25年の加入となり、1150万の控除が受けられることになります。

なので、一刻も早く、月1000円でもいいので、中小企業共済に加入することをお勧めします。
そうすれば、退職所得控除の控除額を大きくしていくことが可能となるからです。

10年か15年の分割の場合は、年金所得となり、年金所得控除を考える必要が出てきます。

これも、出口戦略をどのようにするかを考える上で、非常に重要な戦略となります。

ちなみに、シュミレーションによると、年率3%程度で増えていくことが予測されていますので、割と成績がいい投資先です。

4、出口戦略について

4-1、つみたてNISAの出口戦略
ドルコスト平均法による投資で、非常に重要なポイントは出口戦略です。

株価というのは日々変動しますので、下がっている時に売ってしまうと損をする可能性が高いのです。

もし、つみたてNISAでコツコツと貯めたとしても、出口の時点で、リーマンショックのような株価大暴落が起きていたら、損をしてしまうリスクが高くなります。
ですから、なるべく出口の売却するときも、リスクを分散させる必要があります。

ではどうすれば良いかと言うと、ドルコスト平均法で積み立てたのですから、ドルコスト平均法で売却すれば良いということになります。

つまり、20年間積み立てた株を、10~20年かけて一定の期間で、一定の株数を売却していくという方法を取ることになります。

ここで注意したいのは、20年の積み立て時の値段より、売却時の値段が上がっている場合、その分の2割が税金として取られます。
もちろん、利益は20年の積み立てが終わったときに一度確定しているので、税金分を損することはないのですが、もし、売却の途中でリーマンショックなどが起きると、財産は目減りしますので、注意が必要です。

現状では、19年後の2038年まででつみたてNISAは終わりですから、この時点で自分が何歳となっていて、働いているのか、引退しているのか、金銭が必要なステージにいるか・いないか、予測することが重要です。

引退しているならば、年金のように少しずつ売却して良いです。
もし、株価が非常に好景気にあるなら、売却額を増やして、その時にも行われているだろう普通のNISAへ年間120万ずつ、更に投資するという方法もあります。
または、孫がいるならば、孫のためにジュニアNISAに年間80万ずつ、投資しても良いと思います。

4-2、IDECOと中小企業共済の出口戦略
これは、ご自分のライフプランに依存することになります。

もし、投資された金額が、退職所得控除の範囲内であるならば、退職所得を用いて、一気に貰ってしまい、NISAや通常の投信へ投資してさらに増やしていくという戦略をとるのが、良いと思います。

その時、少し気をつけたいのは、IDECOを退職所得としてもらうために、その時点からさかのぼって14年間、退職所得をもらっていないことが前提となります。
逆に、中小企業共済においては、退職所得をもらう時点からさかのぼって5年間、退職所得をもらっていないことが前提となります。

ということは、もし、中小企業共済を先にもらうと、そこから14年間はIDECOの退職所得控除を使えません。
IDECOは60歳で終わるのですから、これは非常に厳しいことになります。

もし、両方を退職所得としてもらうのであれば、ほぼ必ずIDECOを退職所得でもらって5年以上経ってから、中小企業共済を退職所得でもらう必要があります。
こうすれば、両方ともに退職所得控除を使うことが出来て、莫大な退職所得控除金額となることになります。

両方ともに、退職所得控除の中で収まるのであれば、IDECOを60歳で退職一時金で、中小企業共済を70歳くらいで退職一時金でもらい、それをさらに投資するという方法がいいでしょう。

また、年金としてもらう場合は、年金所得控除を考えなければなりません。年金所得控除は、

65歳未満で年間70万まで、65歳以上なら年間120万までです。

例えば、夫婦で子供が扶養に入ってなければ、自分の所得税控除は少なく言って基礎控除と配偶者控除で48+38=86万あります。
ということは、年金だけの収入だと、(正確ではありませんが)65歳未満では136万、65歳以上では206万までは所得税がかかりません。

国民年金は、65歳からもらうと年78万、もし70歳に繰り下げると年111万ほどもらえます。

IDECOと中小企業共済からもらう年金+国民年金の額 < 136(65歳未満) OR  206(65歳以上)

としなければ、余計な所得税がかかります。

ですから、IDECOを60歳から10年でもらいつつ、もらいきってから、廃業して、中小企業共済をもらうという手もあります。
この辺りは、IDECOと中小企業共済の掛け金がどのくらいで、どのくらいの資産となっているかをきちんと計算する必要があります。

で、掛け金を決定するには、老後にどのくらいの資金が必要であるかをライフプランニングする必要があります。

このやり方は、FPの教科書とかを見ると、必ず載っていますので、去年のものとかは、アマゾンとかで1円で売られていますから、購入してみて見て下さい。

例えば、私の場合は、75歳まで行政書士の仕事をして、私は85歳まで妻は90歳まで生きると仮定して計算すると、全体で3000万ほどの資金が必要となります。

それで、つみたてNISAで1000万、IDECOで1000万、中小企業共済で1000万を作ろうと計画しています。

つみたてNISA分は非課税なのであまり考える必要はありませんが、IDECOと中小企業共済は、もらう時期が重要となります。
私の試算ではIDECOを60~70歳までもらって、国民年金を70歳まで繰り下げて、中小企業共済は75歳から15年でもらおうとしています。
これで、所得税をかけずに、何とか90歳まで生きることが出来る計算です。
健康状態を考えながら、つみたてNISAの売却を行っていけば良いということです。

もちろん、病気で75歳まで働けないとか、途中で死亡するとかのリスクはありますが、それを一旦おいて計算するのが私のやり方です。

5、まとめ

さて、ここまで様々な制度の説明と、出口戦略で注意すべき点をお話ししましたが、自分の稼いだお金をどのように運用しようとそれは自由です。
どうすれば、資産を守ることが出来るとか、リスクが低いとか言うのはありません。

ただし、最もリスクが高いのは、
何も考えずに貯金するという行為です。
これは最も危険です。

ですから、せっかく稼いだお金なので、ご自分でどこに貯金し、また、どこに投資するのかを考えながら、ご自分のライフプランニングをしてみてはいかがでしょうか?

普通の会社員より、かなり自由にライフプランニングをすることが出来るのが、個人事業主の良いところです。
しかも、行政書士は、体さえ元気であれば、何歳になっても業務を続けることが可能な職業ですから、非常に恵まれています。

このアドバンテージを最大限生かすようなプランニングを追求することは、人生を楽しむことに繋がると考えます。

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