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「入管業務」が行政書士試験合格者のやりたい業務だって???

この標題のうわさを聞いて、思ったのは、こうです。

「マジか!」

このような、驚きを隠せない実務家の方々の叫びが、聞こえそうな事態かもしれません。

まさに『姉さん、事件です。』というドラマのHOTELのオープニングの声が聞こえてきそうな感じがします。
(例えが、誰にも刺さらないですね…)

なにか、外国人との業務だから華があるんでしょうか?
行政書士といえば、イミグレーションローヤーだろうという漠然としたイメージなのでしょうか?
日本で心細くて困っている人たちを助けてあげたいという崇高なボランティア精神なのでしょうか?

その理由については、研究のしがいがあるかもしれません。
ただ、実務家として、始めての業務として「入管業務」を選ぶためには知っておいて欲しいことがあるということです。


以下、徒然なるままに、書き記して、「入管業務辞めようかな」という人を増やし、「それでも、私は突っ込みます!」と決心を新たにする人を増やしたいと思います。

入管業務においては、『熱いか、冷たいか(by 新約聖書)』しかありません。
生ぬるいものは、業界から吐き出されていまいます。

ですから、熱く業務する人と、冷たく撤退する人に分かれることこそが、このnoteの目的です。

(ちなみに、私は何でも疑いの目で見る懐疑心が旺盛なタイプなので、そうとうネガティブなことだけを言っています)


1、「郷に入れば郷に従え」・・・なんて嘘!


入管業務というのは、外国人ありきの業務です。

日本人が依頼人としてやって来るケースは、例えば、外国人を雇用した日本人の会社、外国人と結婚した日本人などですが、これらにおいても、そこには必ず外国人がいます。

たった一つ、入管業務っぽいもので、日本人だけで完結するのは、日本人のパスポートの取得業務だけです。
もちろん、これは最近オンラインで完結するように整備されるため、そのうち業務としては駆逐されるでしょう。

外国人が依頼人である限り、外国人というものを知っていないと、この業務は成り立ちません。


ですから、人生において、誰一人として外国人の友人・知人はいなかったという方は、そもそもスタートラインに立っていないことを認識すべきです。


私たちが外国に行ったとき、その外国での文化に驚きカルチャーショックを受けるのと同じで、外国人が日本に来た時もカルチャーショックを受けます。
幸せな人たちは、日本の文化への溶け込みが成功して「郷に入れば郷に従え」という状態になります。

しかし、残念ながら、このような成功的な外国人は、ほとんどいません

考えてみてください。

ある国では、どのような属性であれ、お金を出し役人を買収すればパスポートを取得することが出来ます。
ある国では、お金さえ出せば、大学の卒業学部を変更することが出来ます。

このような例は、悪い方に偏っているものを出してきているわけですが、大なり小なり、違う文化・思想に外国人は立っています。
別の世界観の中で生きていると言っても過言ではないでしょう。

そのような方々が、日本における常識、法的な倫理、コンプライアンス意識、文化などに従えるか?といえば、とても疑問です。

これは日本に入る外国人を責めているのではありません。
どのような人も外国に行けば、相当な努力をしない限り、異質なまま異文化圏で生活することになります。


入管業務は、全く違う世界観で生きている人と、在留資格という法的な相談をしなければなりません。

「入管法ではこうなっています。入管ではこうします。」

といっても、「私が持っている知識は違う、友だちは違った」等々の、世界観の違いが認識されていないことから来る誤解が融けない方も多々いらっしゃいます。


ですから、まず、対面している外国の方は、自分とは文化も言葉も宗教も伝統も倫理観も常識も違う方なのだという意識が必要です。

そして、これはただ知識的に知っているというだけでは足りず、やはり場数による経験知が必要となってきます。
何人か外国人の友だちとの付き合いや、ビジネスでの付き合いがあるならば、そのような経験によって、肌感覚で外国人の考えそうなことが分かってきます。

それがないのであれば、土俵が違う場所で相撲を取るような相談や依頼の受任をしかねません。

『外国人との付き合いを人生経験として積んでいるのか?』

今一度、考えていただきたい場所です。

2、悪質なブローカーと怪しいコミュニティがうようよしてる


入管業務といえば、やはり、悪質なブローカーの存在が考えられます。
FF的に言えば、一歩進むごとに、敵にエンカウントするみたいなもんです。

聞くところによれば…。
ペーパーカンパニーに就職したように見せかけて就労系在留資格を取らせるとか、
日本人にお金を払って、入籍だけしてもらい、紙上での夫婦として身分系在留資格を取らせるとか、
外国人から30万を終活の準備金としてもらっておいて、在留資格が絶対出ない就職先を紹介し、就職後、在留資格を失い帰国させるとか、

もう、枚挙にいとまがないくらいに、沢山の悪質ブローカーがいます。

つい最近も、京都で職業紹介事業が在留資格不正取得罪で捕まり、その中に行政書士もいました。
この方は2018年登録の方だったので、本当にひよこのときにやられたとしか考えられません。

外国人をもののように扱う業者はたくさんいるわけで、まさに現代の奴隷商売がここには展開しています。

入管業務をやっていく上では、このような人たちと戦っていく必要があります。


さらに、外国人の中には、怪しいコミュニティが存在します。

これは友人だけであれば、まだいいのですが、例えばフェイスブックグループなどにおいては、日々、在留資格の相談が飛び交っており、入管法的に間違った情報が、ガンガン流れます。
聞くところによれば、どこかのコミュニティでは、難民申請を推奨していて、これにより団体で難民申請をしに来ている等の情報もあります。

もし、自分が、海外にいって住んで、外国人だらけの状況で、日本人がそこに居たら、どうでしょうか?
とりあえず、信頼度が上がった状態で付き合い始めるのではないでしょうか?
これが間違った方向へ行ってしまえば、実はこの人は詐欺師なのに、同胞だということで信じてしまい、騙されてしまうのです。

とても悲しいことに、現地の正しいことをいう違う国の人(つまり、私たち)より、同胞の間違ったことをいうコミュニティの人(つまり、友だち)の方が信頼が高いことがあるということです。

こうなってしまうと、私たちがどんなに「それはまちがっている」といっても、聞いてくれなくなってしまいます。

入管業務をやっていく上では、このようなコミュニティの存在とも戦っていかなければなりません。


もし戦いに敗れて、悪質なブローカーや怪しいコミュニティ側の人間になってしまえば、利用されてポイ捨てされるでしょう。

残念ながらそういう人たちにとって、
ピンクカードを持ったひよっこ行政書士は、まさに「カモネギ」なのです。

入管業務は、いつでも捕まる可能性をはらんでいる危険業務であることを認識する必要があります。


3、それでも立ち上がるものたちが、やればいい(なぜか、上から目線です。すいません。)


さまざまなリスクがありながら、それでもこれに使命感がある人が、入管業務をやったらいいと思います。

外国人との付き合いが少ないなら、日本語を学ぶコミュニティに突撃してみるとか、友だち作りから始めればいいと思います。

また、相談できる先輩実務家を確保しておくなどの、自分を身を守る防御策も非常に大切になってきます。

なにより、入管法知識を深めるということが攻撃であり防御です。


絶対に、入管業務で申請書の空欄を穴埋めだけする、「穴埋め行政書士」になってはなりません。

具体的な防御策、初心者おススメの業務は何か、という点については、2月22日のオフラインGYMでも語っていきたいかなと思います。

今回のオフラインGYMのテーマは「0→1」です。

しかし、入管業務においては、「-1」からのスタートとなります。

これを「よっしゃやってやる!」という方は、どんどん参入してください。
これを「まじか~」という方は、違う業務を探しましょう。


P.S.

言い過ぎたところもありますが、かなり真実に近いことです。
このダークファンタジーにもめげない人が、入管業務において、日本の未来を担えるのではないかと思います。

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