”先読み!シリーズ⑨:怖れのメカニズム(4章より)”

人を巻き込んで、何かを実現していく時、必ず向き合わなければならないものが、この”怖れ”ではないかと私は思っています。

今回の本では、4章をまるまるこのテーマに割いています。それくらい重要なことだと私は思っています。

人間には悪く思われたくないという意識があります。悪く思われたら自分の居場所がなくなったり、自分は無価値な存在であるという痛みを感じなければならないと思い、怖れ を抱き、周りに迎合してしまうものです。

提案に限らず、何かをすることに躊躇してしまったり、そこから目をそむけたくなることの根底には、防衛本能の様なものがあると私は思っています。メンタルモデルと呼んでいます。

それはまるで、コンピューターのOSの様に、あるキーがインプットされると自動的にそのプログラムが発動するかのうように、痛みを回避しようと起動します。

『なぜ、弱さを見せ合える組織が強いのか』の著書の一人、ロバート・キーガン博士はこれを「免疫機能」と呼び、またU理論の提唱者オットー・シャマー博士は「3つの声(VOJ(評価判断の声)、VOC(皮肉と諦めの声)、VOF(恐れの声))」と呼んだりしています。

まだ自分では生き抜くことが難しい小さい子どもの頃は、周りの期待、たとえば親、教師、そのほか自分にかかわる大人の期待に応えることで、自分が存在していいんだという ことを確認しています。大げさにいえばそれが生きる術なんです。

そしてその体験から「○ ○でなければならない。そうでなければ価値がない、そうでなければ居場所がない」とい うメンタルモデルを形成していきます。それは大人になっても無自覚に自分の行動を制限します。もう、その観念は手放しても いいのに、手放せずにずっと抱きつづけているのです。 

冷静に見れば、本当はそんなに怖れる必要はないのに、観念を増幅させて自分を縛る鎖を無自覚につくってしまう。そんな固定観念が人には必ずあります。

固定観念というは思った以上にやっかいで、そもそも気づいていないし、仮に気づいたとしてもじゃあ簡単に手放せるかというとこれが中々難しいものです。

「細いロープにつながれた象の話」を聞いたことがあるでしょうか?  

 サーカスの象は細 いロープにつながれているだけなのに逃げ出そうとしません。その力をもってすれば簡単 にちぎれるようなロープなのに。それは子象のときに鎖でつながれ、引っ張ってもちぎれ ないどころか、痛み感じる経験をすることで、「どうせ引っ張っても逃げられないし痛い 思いをするだけだ」というメンタルモデルが生まれるからです。そうすると、ロープを引 きちぎる力が身についていても逃げようとしなくなる。これが怖れのメカニズムです。

私は、認められたい、優れていると思われたい、一目置かれたいという思いがものすごく強い人間でした。

ダメなやつだと思われたくない、軽く見られたくない、期待外れと思われたくないという思いから、それを回避しようとします。

それが、自分の能力を高めるという側面はもちろんあるのですが、一方でそんな自分を絶対見せてはいけないとチャレンジを躊躇してしまったり、失敗を必要以上に怖れたりもしていました。

少し抽象的な表現ですが、評価が気になってしまうという人の多くは「期待に応えられ なければ自分は無価値で無能な存在だ」という無自覚なメンタルモデルを持っています。 それを象徴するような言葉があります。それは「使えない」という言葉です。耳にしたり 口にしたりすることはありませんか?

「あいつは使えない……」「自分は使えない……」と発する言葉の根底には、このメンタルモデルがあるのです。私も無自覚によく自分が心の中で、あるいは口に出して使ってい ることに気づきました。この言葉の怖さに気づき、今では使いません。

私は「自分に特別な何かがなければ、人は自分と一緒にいる価値を感じてはくれない」という観念(あえて言葉にするとこんな感じ)が、怖れの源として自分の根底にずっとありました。

今、こうした怖れからだいぶ解放されている感覚が自分にはあります。解放の鍵の一つは、「心からそれをする意義を感じること」に出会うことだなって思います。

そこから自分を解放するには、自分が本当に創り出したい状態、それが実現できたら本望だと思えることは何かを考えることです。「自分がどう思われるか?」ではなく、自分 がすることの意義と価値、「自分の内から湧き出る、それをする意味があると思えること は何か?」というインサイドアウトにフォーカスするのです。

周りの期待に応えることが最重要であった自分が、ある時「本当にこのままでいいのか?」という危機感を感じ、「この人生で何が実現できたら本望なのか?」と考えた結果出てきたのが、「一人でも多くの人が自分のビジョナリー・ワークを生きる」ために自分の命を使いたいというものでした。


「自分はもちろんのこと、これを求めている人ってきっとたくさんいる」


まさに、インサイドアウトがアウトサイドインと重なった感覚がありました。

「人にはいろんなものの見方がある。そこに一喜一憂していてはキリがない。自分は、自分にとっても誰かにとっても価値があると感じるものをただ追求してやるだけ。」こんな感覚に、自然となれたのです。

本書のストーリー部分で、このあたりの思いを、登場人物の言葉に重ねてかったりもしているので、ぜひぜひ読んでみてくださいね。

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鵜川洋明

一人でも多くの人がビジョナリー・ワークを生きる世界をつくるというビジョンを持って生き、はたらいています。代々木八幡のVisionaryWorkGarageという未来デザイン工房でワークショップやら何やらいろいろ実験しています。詳しくは→ https://www.meraq.net
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