VISIONが重なる

キングダムと”意味”の重なり

相手を巻き込む伝え方の中に、伊川のこんなセリフがあります。

「人はね、自分がやろうとしていることに、意味を感じるとすごく強いエネルギーが湧いてくるんだ。そしてそれを聴いた相手もまた、そのことに意味を感じるとまるで自分ごとの様になる。意味とは簡単に言えば“それをやりたい!”と思える理由ということかな」

ビジョンを描き語っていると、ある時それが誰かのビジョンと重なるような時があります。それは個人と個人という場合もありますし、組織と個人という場合もあります。

たとえばその組織の代表が語るビジョンが、自分の描いているイメージと重なり、この組織で仕事をする意味を強く感じるという経験をもっている人も少なからずいると思います。これはビジョンが重なり、それをすることに互いに意味を感じている状態です。

この状態になると、その組織のエネルギーは×2どころではなく×10、×100にもなっていきます。そして共鳴し合っている相手は単なる仕事仲間ではなく、もっと深いところでつながるような同志になります。

しかし、それは出会った最初からそうなのか?というとそういうわけでもなかったりします。互いに様々な経験を重ねていくうちに、ある時それがまさに1つに重なるような瞬間が訪れる。

キングダムの中に、まさにそんなことを象徴するシーンがあります。

それは、かつて趙の三大天と呼ばれた廉頗率いる魏軍との対戦後の、政と信の間に起こります。

秦軍が魏軍に勝利した後、廉頗と信のやり取りがあります。「お前を超える」と豪語する信に対し、廉頗は「それは無理だ。」と言い放ちます。

なぜなら、すでに廉頗たちの作り上げた時代と、これから信たちが迎える時代は比較のしようがないからです。

しかし、そんな時代の違いを越えて、廉頗たちを超えたことを証明する方法があると言います。それはまだ誰も成し遂げたことのない世界を実現させること。つまり「中華統一」です。そしてそれを成すためには、”凄まじい武の力”と”それをふるい、受け止める器をもつ王”の出現が必須条件です。

ともにその場で、この廉頗の言葉を聞いていた蒙恬は「そんなことは無理だ」とつぶやきます。しかし信の中ではある男の言葉と姿が瞬時に浮かびます。そう政の言葉と姿です。

この瞬間、信の「天下の大将軍」というビジョンと、政の「中華統一」というビジョンが重なる、つまり二人の「意味」が重なったのです。

もちろん、それまでも信は政とともに歩むという想いはあったし、政は信のことを頼みにしている部分も当然あったと思います。しかし、このビジョンが重なった瞬間、二人のそれぞれのビジョン、自分にとっての意味は、同時に相手のビジョンの実現、互いにとって意味のあることになり、より深く結びついたのです。

チームってなんだろう?仲間ってなんだろう?ってよく思います。単なる仲良しでもないし、かといって単に成果に向かって必要な能力を持ち合わせた集団というわけでもない感じもします。

そんな時に、このシーンを見ながら、ビジョンや意味が重なったと感じる相手とともに何かを目指している時、そこにチームや仲間という関係が生まれるんだとあらためて再認識しました。

チームには、それがチームと呼べるための必須3条件があります。

・共通の目的
・協働する意思
・コミュニケーション

これがなければ、その集団はチームと呼べません。ビジョンや意味が重なり、互いの能力や個性の違いを、ビジョンを成し遂げるために必要な価値と認め合い、尊重し合いながら、ともに歩んでいく時、それはまさに真のチームと言えるんじゃないかって思います。

『相手を巻き込む伝え方』1章のストーリーの中にこんなシーンが出てきます。

僕は話終わると2人の顔をあらためて見た。

2人は、しばらく無言でいた。
「そうだよね、やっぱりちょっと難しいよね…」と僕は2人が口を開く前に先回りして自分でそう言った。

すると、多花世が口を開いた。「創太さん! それ面白いかも! SDGsとの連動で持続可能な開発や、環境問題へのポジティブな貢献もできるし、すごく価値を感じる」

「えっ!」と僕は驚いたような声をだしてしまった。

多花世は、賛同してくれた。“私にとってもそれはやる意味があると感じる”とも言ってくれた。

「俺の家は、おふくろが1人で3人の兄弟を育ててくれて、すごい感謝をしているんだ。だから俺にとって家族は一番大切なもので、家族が笑顔でいることが俺にとっては本当に大切なことなんだ。創太の親父さんもきっと自分の会社の従業員を家族のように思っていて、彼ら彼女らのことを大切に思っているだってことがすごく伝わってきた。おれもお前の親父さんの事業再生を手伝いたいって思ったよ!」熱美先輩もそう言ってくれた。

その言葉には熱美先輩の思いがこもっているのを感じ、僕は嬉しくなった。

まさに、3人の意味が重なった一つのシーンだと思います。

ビジョンを描き語る時、「そんなことしてどうするの?」「そんなの無理無理」「夢ばっかりみてないで現実をみろよ」などと思われたり、言われたりすることもあると思います。

そして、それを味わいたくないがゆえに、描き語ることそのものをあきらめてしまうこともとても多いんじゃないかって思います。かつての私もそういう感じでした。

しかし一方で、ビジョンを描き語ることは、仲間と出会い、チームとなって今していることに強い意味を感じながら、ともに歩んでいける、人生や働くことの喜びもまたもたらしてくれるんだと思います。

ぜひ、ビジョンを描き語ってください。描き語り方は『相手を巻き込む伝え方』を参考にして(笑)

<キングダム23巻より引用>


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鵜川洋明

一人でも多くの人がビジョナリー・ワークを生きる世界をつくるというビジョンを持って生き、はたらいています。代々木八幡のVisionaryWorkGarageという未来デザイン工房でワークショップやら何やらいろいろ実験しています。詳しくは→ https://www.meraq.net
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