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マンガの紹介・感想を自由に書いていく(その4)

この記事では、好きなようにマンガを紹介したりその感想を書いていきます。
作品の新旧に関わらず、その時紹介したいものを紹介します。

今回は4作品を紹介します。


踊るリスポーン / 三ヶ嶋犬太郎(全8冊)

◆どのような作品か

死んでも最後に寝ていた場所に復活するリスポーン体質を持つ高校生の壇ノ浦調子(ちょうし)と調子に対して重すぎる愛情を注ぐ少女の山崎声(あん)を始めとして、やたらアウトローな気質の仲間たちが織り成すバイオレンスなラブコメディ。

◆ポイント

いわゆる"ヤンデレヒロイン"である声を話の基軸としたラブコメディですが、主要人物の多くが学生であるわりには社会的に際どすぎるキャラ設定や過激なやり取りが多いブラックコメディでもあります。

基本的にはコメディとして笑いながら読むタイプの漫画だとは思いますが、一方で作品全体として一貫して表現しているのは既成の倫理観や常識を超越した多様な人生観や愛情の形です。

普通に主人公を殺害するヒロイン、死ぬことに慣れ過ぎている主人公、当たり前のように話に関わるヤクザの人たち、日常会話の中でさらっと示唆される幼少期の虐待、基本的に利己的な言動しかしないモブなど社会的によろしくない要素がてんこ盛りですが、その全てが前述した多様な人生観や愛を描くためのリソースとなっています。

注意点としては、セリフの量が多い上に話の展開がかなりスピーディーなので、読むのに集中力が必要です。気楽に流し読みするのが好きな方にはおすすめできないかもしれません。

地雷なんですか?地原さん / りょん(既巻3冊)

◆どのような作品か

その風貌や醸し出すオーラから「地雷っぽい」と噂される地原さんと、初めて隣の席になった地味な男子の主人公・黒木によるハラハラなラブコメディ。

……という感じのPRをされていることが多いが、実際の内容としては常軌を逸したド天然マイペース少女の地原さんと、地原さんほどではないけどまあまあ天然の黒木によるかみ合わなさすぎるやり取りをひたすら描く学園コメディである。

◆ポイント

地原さんという強烈なキャラクターを芯に添えたあっさり目のコメディで、少ない登場人物によって淡々と進むエピソードが多いです。

ヒロインの地原さんはかなり独特な対人コミュニケーションを行う不思議女子で、傍から見ると不条理に思える言動が多いです。しかし、いずれの行動も彼女にとっては明確に動機づけられていることが作品を読んで分かるように描写されています。

天然なヒロインは古くから色々なラブコメ漫画で登場し様々に表現されてきましたが、この作品はかつてないほどに天然の描写がリアルで絶妙だと個人的には感じています。

スイカ / 森とんかつ(既巻2冊)

◆どのような作品か

オカルトな噂が多い曰くつきの高校、丑光高等学校に赴任した教師の園(その)が出会う、得体のしれない少女スイカや周辺で起こる様々な怪事件をコミカルに描いたホラーギャグ漫画

◆ポイント

とんでもなく癖の強い作品です。

往年のホラー漫画を思わせる黒色の割合が高い作画にアメコミのような大胆な書き字の表現、オカルトを通り越して不条理ナンセンスとも言うべきシュールな展開、コテコテの関西弁教師園によるハイテンポで鋭いつっこみなど複数の癖要素が悪魔合体した結果、唯一無二の突き抜けた作風を形作っています。

近年の日本の漫画界のトレンドを気にも留めないような孤高の奇作です。まだ既巻2冊と少ないので、今後の展開も楽しみにしようと思います。

月曜日の友達 / 阿部共実(全2冊)

◆どのような作品か

舞台は海の見える田舎町。中学生になってからの周囲の人間の変化に戸惑い窮屈な想いを抱えていた水谷茜と、寡黙で妙な噂もささやかれている不可解なクラスメイトの月野透の二人は、毎週月曜の夜に二人で会う約束をする。

子供と大人の狭間でもがく少年少女による刹那の輝きを描いた物語。

◆ポイント

阿部共実先生が2017年頃に連載していた作品で、連載の順番としては「潮が舞い子が舞い」のひとつ前にあたります。氏は独自性のある絵柄と文章表現を用いて、少年少女や若者による人間模様をノスタルジックに表現したお話を多く手掛けています。

その中で、この作品は阿部共実先生のひとつの到達点というべき内容です。氏が描いてきた若さゆえの葛藤や衝突、そして救いといったテーマが、ひとつの漫画作品としてかつてなく洗練・完成された形でまとめ上げられています。

絵については特に徹底的なこだわりが感じられ、水滴の一粒一粒をあたかも時を止めて接写したかのように細やかに描写したカットやコントラストを大胆に誇張した夜のカットなど、印象的な場面は枚挙にいとまがありません。

また、単行本においては幕間のページも含めた全体構成が綿密に整理されているのも特徴的で、おそらく全2冊の漫画作品としての完成形のイメージが最初からある状態で執筆されていることを伺わせます。

もちろん、本記事では深く触れませんでしたがストーリーもエモの塊です!

締め

今回は以上の4作品を紹介させていただきました。みなさんのマンガ選びの参考になれば幸いです。

マンガ紹介の記事は以下のマガジンにまとめられています。
よかったら是非他の記事もご覧いただければと思います。

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