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最新デジタル広告2021〜 ポストCookie 時代〜 | 株式会社デジタリフト(DIGITALIFT) 鹿熊 亮甫教授

今回は、株式会社デジタリフトの取締役 鹿熊 亮甫さんを教授としてむかえ、デジタル広告の最新情報を教えていただきました!鹿熊教授がビタミンゼミで講義してくれるのは今回が3回目。1回目(ビタミンゼミ第16回 広告の"超"最新トレンドを学んでスタートアップの広告戦略を立てよう!)2回目(ビタミンゼミ第21回 心理学的アプローチで成果が変わる!広告コピーの作り方)をご覧ください。

ビタミンゼミってなに?
ビタミンゼミについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

株式会社デジタリフト(DIGITALIFT)取締役 鹿熊亮甫さん

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株式会デジタリフト(DIGITALIFT)取締役 鹿熊亮甫さん(@kakuma3)について詳しく知りたい方は、ビタミンゼミ第16回の記事をご覧ください。

数字を「正しく」理解することは「難しい」

今回は、皆さんが信じている数字がとても曖昧なものであるという話をします。知っていると数字への向き合い方や考え方が変わると思います。

今日の話を知ったから、今何かするという話ではないです。知ってもらう事で「正しい」がとても奥深く、かつ不正確なものかということがよくわかると思います。自分たちの現状を鑑みながら今の数値は正しいのかなという観点でお話を聞いていただけたらと思います。

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現在、Cookieという技術を使って効果計測をしていますがこの仕組自体は20年程の歴史がある仕組みです。現在は、Cookieの制限が掛かかり広告の基盤の仕組み自体が変わっていこうとしているタイミングです。

そういう意味で10年、20年に一度の大きな変動タイミングです。

最近、マーケティングの相談を受けるなかで、そもそも計測が正しくないケースが散見されます。媒体側のコンバージョンが正しく設定ができていないケースやGA側の目標設定がされていないケースもあります。コンバージョン数が正しく計測できていない状態で、コンバージョン単価が良し悪しを判断し本当の成果地点でコンバージョン単価の認識をされていないケースもあったりします。

iOS14.5とは

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2021年4月末iOS14.5がリリースを聞いたことがある人は多いのではないかと思います。

FacebookがiOS14.5のアップデートに対して声明を出すなど、業界内で2021年で大きな反響を呼んだアップデートだと思います。

iOS14.5のアップデートAppleのTracking Transparency (ユーザーのプライバシーに配慮したAppleのフレームワーク)いわゆるIDFA(Identifier for Advertisers)の追跡許可を求めることがアプリに義務づけられましたことです。ここで歴史的背景について学んでみたいと思います。そもそもiOSとはApple社が提供しているものです。OS全体の話ですので、ChromeやFirefoxも含めて話をしないと話の真髄には行けません。

個人情報の規制強化の流れ

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まず2017年にApple社がITP1.0をリリースしました。2018年GDPRによって個人情報に関していろいろ取り出されるようになりました。

FirefoxもWeb上のCookieTrackingを自動でブロックすることになったのが2018年頃でした。2019年はSafariがITP2シリーズにより、Cookieの制御がかかりました。

2020年は、GoogleがGoogle Chromeにおいて3rd Party Cookieを将来的には廃止の方向にすると発表しました。業界的に3rd Party Cookie自体を規制していこうという動きが鮮明になってきています。

2021年にiOS14.5がリリースされデータの制御が入るようになりました。
ITPが何かというと、Intelligent Tracking Preventionです。簡単にいうとSafariのプライバシー保護を目的としたTrackingの制御を行う機能です。

例えばどういうサイトを閲覧したのかとか、どういうサイトで物を買ったのかというデータがCookie情報に入っていますが、そのデータをなるべく少なくして自分のプライバシーを侵されないようにする為に保管期間や有効期間の制御などで、情報が残らないよう制御してくれるのがCookieと言われている仕組みの中にあるSafariのITPという制御システムです。

3rd Party Cookieは自社外の情報などを格納しているCookie情報です。1st Party Cookie情報は自分たちのサイトに来ているようなユーザー情報などです。

1st Party Cookieがどんどん規制が入ってしまったのがITP2.0以降のお話です。

※詳しくはこちらの記事「Appleの新しいクロスサイト計測規制:Private Click Measurement(PCM)の内容と運用型広告に与える影響」をご覧ください。

いたちごっこみたいなところがあり、様々な技術に対して代替策や回避策があります。

例えば、ITP1.0では3rd Party Cookieは24時間利用不可にします。とAppleが言いました。回避策としてリダイレクトを使って1st Party Cookieを経由する事によって有効期限を伸ばし24時間の制御を回避しようとしているのです。

1st Party Cookieが継続期間を短くするという話がありCookieも使えなくなりそうだからローカルストレージを使う話が出たり、ローカルストレージはCookieに似ているがCookieではないので規制の対象外ということで使っていましたが、それも使えなくなったのが2.0の話でした。ローカルストレージも即時削除するとのことで、CNAMEという代替案が出てきたりもしました。

いろいろ抜け目を考えてきた業界ですが、それもうまくいかなくなったところが実情だと思います。

これらが関係あるのはアプリのみと思われがちですが、広告をやる以上Webにも関わります。今までは、先ほどのいたちごっこでなんとなく回避されていたものがiOS14.5からはしっかり計測しないといけないですよというお話です。

なぜアプリからWebまで規制を受けているのか

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iOS14でATT(App Tracking Transparency)と言われているものでアプリのトラッキングを規制するものとして打ち出されています。

PCMというのはATTの仕組みをブラウザに適用するものです。PCMは測定対象外がありますがアプリからWebコンバージョン測定というところが対象になります。Instagram、Facebook、TwitterなどのアプリからWebのサイトに飛ばしたときにTracking規制がかかり計測の難易度がかなり上がってきます。

クロスドメインという複数のサイトをまたがる計測というものがWebであろうが難しくなるというお話です。

皆さん使っているApple製品に適用されているわけで、つまりGoogle ChromeとかをiPhoneで使っててもこのPCMの影響を受けます。「うちは
Safariのユーザー少ないから大丈夫です」とか言われるケースがありますが、これはOSレベルの話になっています。

Googleなどはwbraidパラメータを使って回避策を作ってたり、Facebookは合算イベントというものを導入していたり、全部が全部影響を受けているわけではありません。なぜここまでiOSについて騒いでいるのかというと、日本は世界の中でもIOSのシェアが高い国でもあります。日本は66%の人がiphoneを使っています。なので日本のマーケターにとってはとても重要な情報なのです。

この後起きる業界の流れと未来の取り組み

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この先どんどんデジタル広告が進化していきます。今までの取り組みでは、過去に興味関心を示した人へのリーチや顧客にとって有利な広告配信、コンバージョンを目的とする広告の最適化、キャンペーンの成果の正確な測定とレポート、これらを実践するのが困難になっていくと予想されます。

そもそも消費者がプライバシーへの意識が高くなっているので、広告業者が意識していることは、利用者の意向を最重要視し顧客データを保護する事であったりデータ規則への準拠、必要に応じて同意を得ることで利用者の選択の尊重、1st Party Cookieデータに基づいて永続性のある基盤開発への取り組みを自分たちの持っているデータで完結するというのが今意識している所です。

計測が正しく取れないことを頭に入れ目指す目標や予算の変動をすべきかどうかを考えるべきです。なぜなら先ほどから言うようにiOSのアップデートにより正しく計測ができないので広告数値のみでの判断が難しいからです。マーケターにとって凄くいい機会でもあります。プライバシーに関する課題を消費者の信頼を高める機会として考えていただきたいからです。

各社の未来

例えばGoogleは広告主が手間なく変化の影響を最小限できるソリューションをこれまで提供しています。推定コンバージョンによるコンバージョンが自動で導入される。拡張コンバージョンやサーバーを使った計測が出ています。

各広告社はリマーケティングに変わるターゲティングの手法というものを用意し、例えばGoogleのファインド広告は過去にこういうキーワードを検索にかけたユーザーを明確に定義できるようになったのでそこのキーワードを設定して広告を打てるようにしました。

Google内ではありますがYouTubeやGmailに広告が打てるようになりました。

まとめ

・計測を鵜呑みにしない事
・できる限り正しく設定を試みる事
・いろいろなデータを参考にして複合的に数値を捉える事
・CVデータは既に類推のCVが入っている
・データの計測はサーバーのサイトに移っていく可能性がある事
・一次情報を確認する事

こうなってくると、過去の経験がとても生きる時代になるとも言えます。成果がなくても立ち換えてみてログをとり参考にするのがベストだと思います。

今後やった方がいいこと

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サーバーサイドGTM、GA4、GCPは使えるようにしておくこと。将来的にトレンド先度りできるかもしれません。広告周りのアップデートが激しいのでエンジニアと連携をよくとりましょう。

正しい設定か確認しましょう。変数の書き方など間違っていることもあるので皆で協力し確認しましょう。Cookieは規制されますがまだ使えます。今はCookieを使いながらビジネスを伸ばしましょう。技術難易度が上がるということは、それだけできない人が増えるということ、これを理解している人にとってはチャンスになります。

この業界トレンドの変化は最先端を取り組んでいく人にとってチャンスでしかありません。

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