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料理のいらない素敵な食卓

全くの予告なく、総勢8名の晩ごはんが始まった。
最近、こういう襲撃を何度か受けている。

【本日の参加メンバー】
23歳:長男
22歳:長男の彼女
22歳:長女の彼氏(ビデオ参加)
21歳:長女
19歳:次男
18歳:次男の彼女。
+オトンとオカン

何でも、次男と彼女は今日で「お付き合い7ヶ月記念」だとかで、二人でリッチなランチを楽しんで来た。

メキシカンレストランだったそうで、特製タコスにサラダ、コロッケ、メインはヒレ肉のカレーソース仕上げ。

(カレーソース?メキシカンとちゃうん !?)

とツッコミたいところだけど、この日のために1ヶ月も前にお店を予約をした彼女と、デレデレの次男が可愛くて笑ってしまった。

彼らの向かい側には長男と彼女。彼らは付き合ってもう3年になるのかな? 二人ともまだ学生で経済的にペーペー(お金がないんです)状態で、それぞれ親の脛を齧りながらお互いの家を行ったり来たりして楽しんでいる。

今日は晴天の下、長男の友達数人と一緒にパエリアを作って食べた二人は、揃って日焼けをした顔をほてらしている。

次男達が行った不思議なメキシカンレストランの話に始まって、パエリアが水が多くてビチョビチョだった話、幼馴染に久しぶりに会った話なんかを肴にみんなで食卓を囲む。

何しろ、突然だったもので、料理は、「適当にその辺にあるもん」「冷蔵庫の中で見つけたもん」「昨日の残りもん」でチャッチャと作ったものばかり。皆で手分けしながら用意したテーブルには、なぜかポテトチップスも乗っかっている。もちろん、私たちのワインは必須。

宴会がスタートして15分ほどすると、偶然、フランス人の長女の彼氏からネット通話が入った。

日本で建築の勉強中の彼だが、南米の国に1年留学していたので、日本とスペイン語はなんとなく通じる。

「ハ~イ!ベイビー!」
「ハロ〜!」
「あら、元気~?」
「オラ〜?!」
「ボナペティ!」
「ナマステ!」

と、これまた突然の参加に、みんな妙にハイテンションで何を言ってるのかよくわからないけれど、息子たちの彼女も笑いながら参戦。

毎日恒例の家族揃っての晩ごはん。子どもたちが小さい頃から、たとえ遅い時間になってもいつも守ってきた習慣。「子どもは9時には寝なさい」「毎日、絵本を読み聞かせましょう」という育児書の内容を完全に無視した、とんでもない育児だったと思う。

その日にあった出来事を中心に、ジョークやら失敗談、悩み事を話してきた。会話がオーバーヒートして、寺内貫太郎一家になるかとヒヤヒヤする時もあった。ちゃぶ台でなくて本当に良かった。

料理というのは、調理法、食材、食器、盛り付けなどいろんな構成要素がある。もちろん、料理人の腕も重要なのだけれど、視覚的には計算された光や角度、色合いを調整した映画の中のワンページのような写真があれば、料理が視界に飛び込んで来て最強の要素になる。

対して、食卓に一番大切な要素は、一つのテーブルを囲む家族や仲間、一緒に分かち合う時間、会話なのだと思っている。料理も構成要素に必須なのだけれど、例え、料理が失敗作であっても、会話の溢れる美味しい食卓はいくらでも創ることができる。逆に、ミシュランの五つ星レストランの高級料理を一人で食べても美味しくも何ともない。

美味しい料理やワインが食卓に潤滑油となるのは言う間でもないけれど、いくら潤滑油があっても、実際にその上を転がってくれる物がないと役には立たない。

スペインの言い回しで、美味しく楽しく食べられる家族がいることを「素敵なテーブルだね!!」と言うことがある。大好きな言葉だなぁ。

子どもたちが成長した今、それぞれの彼女や彼女と一緒に食卓を囲む。彼らは食卓の楽しみ方を知ってくれている。とっても、とっても嬉しい。

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