新NISAが始まって株式市場に対する注目が日増しに高まっている2024年春ですが、いよいよ1-3月期(1Q)が終わり、日本では新年度がスタートしました。

大手ネット証券5社における新NISAでの2024年1月投資信託買付ランキングではオルカン(全世界株式)や米国の代表的指数の一つであるS&P500などに注目が集まっていると日経新聞が報じましたが、日本証券業協会が3月21日に1-2月における状況を公表しました。

1年前と比べてNISA口座開設件数、成長投資枠での買付額、つみたて投資枠での買付額がほぼ3倍前後に急増。

大手証券会社10社では成長投資枠を利用する割合が85%を占め、やや株式の割合が多い傾向にあったようです。

しかしこれは新NISAに合わせてこれまで課税口座で投資されていたものを利益確定し、それを1-2月に新NISAの非課税枠を利用して投じられた可能性があり、3月末などの配当や株主優待の権利確定日を過ぎてもこの傾向が続くかは未知数です。

また旧一般NISAでは国内株式・投資信託での割合がほぼ拮抗していたことを考えると株式の比重がやや増えた印象で、中でも国内株式へ投じる人が増えた傾向が見られます。

これらは外国人投資家と合わせて、1-3月における日経平均などの株価を底上げした要因の一つかもしれません。

アベノミクスを追い風とし矢継ぎ早に始まり、今回の旧NISA(一般・ジュニア・つみたて)への統合やつみたて投資枠・成長投資枠の併用実現などわかりやすくなった点も評価され、順調に株式市場にお金が流れる傾向は強くなってきていると言えます。

そんな中で日経平均が34年ぶりの最高値更新、一時4.1万円台の新値をつけたことは喜ばしい一方で、日本に限らず米国のハイテク株などへあまりに一部の企業に投資マネーが偏っていないかということに警鐘を鳴らす声が少しずつ増え始めています。

実はこうした声はかなり前からあり、近年でいえば2016年にトランプ大統領が誕生した頃にも指摘されて居ました。

この頃はリーマンショックから10年近く経って、株価が下落前の元の水準を超えていたこともあり警戒感がありました。

また米中貿易摩擦の激化が露呈した2018年、更にIntelやApple、当時世界最大のAndroidスマホを生産・販売していたサムスンなどの工場が中国での生産を支えており、米国のIT産業への打撃に対しても警戒されていました。

米中対立が激化すると米国による脱中国圧力と、中国も米国から半導体製造が引き上げられた時のリスクに対して中国版GAFAとされていたBATH*による独自OS開発や半導体の国内生産技術の蓄積・確立を急いできました。

中国版の巨大IT企業は米国NASDAQなどにも上場するなどして急成長を遂げてきましたが、中国政府によるIT産業およびゲーム、学習塾などへの規制強化と米国による中国企業排除の動きが加速すると上場廃止や株価下落に合い、欧米資本主義市場でも自国でも芽をつぶされかけた形になります。

株式市場は2020年のコロナ禍では一時大きな下落を経験しましたが、リモートワークなどの普及や新しい生活様式への移行でテクノロジー企業は更に収益を上げ株価はそうした割高感を払拭して上昇を継続。

ロシア・ウクライナ戦争が始まると経済制裁としてロシアからグローバル企業が相次いで撤退したりする動きもありましたが、いずれも一時的な下落に留まり、NYダウ・S&P500または先進国株式や全世界株式の指数はそれでも今日まで何度かの調整を経て最高値を更新し続けてきました。

日本アメリカを問わず、「今の株式市場は割高すぎる」という声はいつでも起こりえるとも言えますが、果たしてそう指摘する人たちは何をもって現在の企業の株価は割高だ、割安だと言っているのでしょうか？

この割安ﾊﾞﾘｭｰ株という考え方を確立したのは「バリュー投資の父」と呼ばれるベンジャミン・グレアムでした。

1950~70年代初頭まで「輝ける50銘柄ニフティ・フィフティ」と呼ばれそれまで米国株式市場をけん引してきた大手企業の株価が下落・暴落をしてなかなか回復しない「株式投資、死の時代」と呼ばれた1970年代…

グレアムの徹底した企業分析に、右腕チャーリー・マンガーが新しい視点を提供し、独自の理論を確立して莫大な資産を築いた投資家が「株式投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットです。

フォーブス2024によるとバフェットは世界第6位の資産家となり、5位ラリー・エリソン(世界第二位のソフトウェア会社Oracle創業者)、7位ビル・ゲイツ、8位スティーブ・バルマー(Microsoft2代目CEO)、10位ラリー・ペイジー(Google共同創業者)…これらの億万長者ビリオネアを抑えています。

しかし2024年初頭、そのバフェットでさえもが買いたいと思える投資先がないと、2024年2月22日に過去最大の現金を保有している状況が発表されています。

多くの新たに参加した個人投資家たちが株高に熱狂する一方で、億万長者ビリオネアたちはそれらとは少し異なった動きをしています。

また2024年3月時点のフォーブス2024における世界の億万長者第4位だったFacebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏は最近のMeta社の株価急回復をしていた途上の2023年11-12月で4.28億㌦(610億円)相当を売却。2年ぶりの自社株売却。

更にフォーブス2024で世界第3位はamazon.com創業者のジェフ・ベゾス氏も2024年2月には同社株を24億㌦(3600億円)相当を3年ぶりに売却などビリオネアたちが相次いで現金を作り出している点も気になります。

グレアムやバフェットが確立したバリュー株とは、いったいどういった考えに基づいて割安・割高を判断しているのでしょうか？

今の株高は長く続かないと警告されるのはどうしてでしょうか？
株価の下落、暴落時に強い投資先はないのでしょうか？

グレアムの考え方の全てを紹介することはできませんが、その考え方の基本的な部分を投資初心者の方向けに改めて解説しています。

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