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財務省、英国ロンドン駐在、そして現在は政府渉外に在籍する2人が解説! 政府の仕事のカラフルな側面とは

「政府で働く」とは、実際にどのような仕事なのだろうか?新卒から民間企業(コンサル・ファンド)を経て、財務省の理財局等で政策金融系の職務や内閣官房でスタートアップ政策に携わってきた片岡さん、新卒から空港での税関関係の仕事等を経て財務省の国際局で開発金融機関政策に長く携わってきた森嶌さんのお二人に話を聞いた。

<プロフィール>

片岡さん
大学卒業後、5年間、戦略コンサル及び投資ファンドでの実務を経験。経験者採用でご縁のあった財務省にて2012年より官民ファンド・政府系機関へのバックファイナンスを確定させる政府内外プロセスに従事。2014年より成長戦略ポジション検討の傍ら農業ベンチャー支援策の起案、2017年より新規事業を後押しする規制のサンドボックス制度の企画立案(英国UAE政府や起業家へのヒアリングと現状分析、審議会運営、政府内外プロセス、アクセラレーター向け説明等)を一気通貫で担当。2018年から3年間、財政・金融・関税周りの外交官として在英国日本国大使館(ロンドン)への出向経験もあり。主計局課長補佐を経て、2022年7月より米系事業会社にて政策・戦略・渉外を担当。

森嶌さん
大学卒業後7年間税関での現場勤務を経験。その後、2010年より財務省にて国際開発金融機関(IMF、OECD、米州復興開発銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)、アフリカ開発銀行)のポリシー・戦略に対する日本政府のポジション検討、各機関の支援プロジェクト方針等の審査に係る業務を担当。2012年末より約4年間、EBRD本部(英国)の日本理事室への出向経験もあり。2022年7月より、EBRD東京事務所にて渉外業務、広報・IR、採用活動等を担当。上智大学にて学士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(英国)にて開発学修士を取得。
※内容や肩書は2023年8月の記事公開当時のものです。



身についたのは構造読解力。官民ファンド/スタートアップ支援を政府の中から

政府(財務省)に入ってこれは面白かったという仕事について教えてください。また、政府業務ではどのような力が身に付きましたでしょうか。

(片岡)財務省で鍛えられた 、あるいは面白いと感じたことは多々ありますが、最も早く身につくスキルの例を挙げるなら、「構造読解力」です。ビジネス・経済情勢と密接な関係にある政策、そしてこの策定プロセスを通じた構造を読み解く力。 これは政策分野・事業分野を問わず新たな課題に対峙する時に役立つベーシックなポータブル・スキルの一つと言えるでしょう。

私の具体的な経験を2つ例としてお話しします。
 
入省してすぐ最初の2 年間は、理財局において官民ファンドのほか政府系金融機関などのバックファイナンスを策定するプロセスを担当しました。税ではなく、国債によって調達した資金等を原資に利用する「財政投融資」という分野の政策です。
政策の仕事がビジネスと異なる点は、違う方向性・違う優先順位を持つ関係者を多方面同時に説得していくプロセスが必要ということです 。私が担当していた財政投融資での投資計画は、まず政府案を決定した上で国会審議に進める必要があるため、自分の組織だけでなく、多様な関係者からの承認獲得 スケジュールを管理する必要があります。 例えば、1 月から始まる通常国会での財政投融資を含む予算案の審議は通常3 月頃までかかりますが、この予算の政府案の国会への提出は12 月下旬です。加えて、12月に提出する予算案提出前には、各省庁から予算の概算を要求するプロセスが8 月末にあり、その後財務省による査定が秋に行われています。国会審議に至るまでの各プロセスに応じて、政権与党関係者への説明、与党の政審等での審議、官邸への説明を順序正しく適切なタイミングに設計した上で、各位の疑問にお答えしながら予算案を端的に説明していくことが必要です。
上記スケジュールを設定していく上では、社内外の意思決定構造を把握することが重要です。しかし、政府のウェブサイトを一見しただけでは、意思決定のキーとなる各役職の方々がどういう役割やご経験をお持ちなのかわかりません。 私も 転職した際に戸惑ったポイントでした。例えば大臣 、副大臣 、政務官 は政治任用のため、それぞれ当選回数を含めた議員経験年数も異なる上、必ずしも自分の働いている官庁の業務に深い経験を持ち合わせていない場合もあります。どういう領域での経験をどのぐらいの年数経験されている方なのか、シンプルに研ぎ澄まして結論から説明するか、あるいは政策が必要となる背景の解説から始めるかなど、政策をご理解・ご了承いただくために聞き手のバックグラウンドに応じて最善の工夫をする必要があります。
また、事務次官 はその名前の響きに反して一般企業でいえば代表取締役社長CEOに当たり、官僚の最高位にあります。 しかし当然全ての業務を事務次官が 決断する訳では なく、相当量の業務はその下の各局長・大臣官房長(民間企業の取締役級以上)、又は各担当の次長・審議官・課長(民間企業の執行役員~部長級)へ権限移譲されています。自分の扱っている業務は官僚機構の中の誰の意思決定が最終的に必要なのか。その過程でどの程度の問いが発生し、 回答にどの程度の時間を要するのか。並行して扱う各業務毎にそれらを見極めることも重要なポイントでした。
更に政策の意思決定プロセスにおいては、与党における幹部(部会長や政務調査会長ほか)への事前説明、部会での議論といった様々な段階が存在するため、スケジュール感はなかなかわかりません。 実際に対峙しながらスケジュール構築力を身に着けていくこととなります。加えて この過程においては、政策担当者として「この分野には 自分が一番詳しい」という自負であらゆる質問に答える準備と気概が必要です。同時に 、高所大所から俯瞰して各政策を見るハイレベルな方へ、最小の分量で適切かつ簡潔に(時には1 分で)、 幹部を通して 説明してもらうための メッセージング を考える必要もあります。こういった 「説明レベルの構造化」に関する能力も身につけていくこととなるのです 。
私自身は、最初2年間の係長業務で上記プロセスを経験したことにより、政府機関における合意形成の方法に対する理解・解像度が格段に深まったことは非常に良い経験であったと感じています。また、民間企業(コンサル、ファンド)における「仮説を立ててから行動、検証、すぐ修正する」工夫で多くの事業分野に触れてきた経験が 非常に役に立ち、困難はあったもののキャッチアップに大きな問題は感じませんでした。

自身の官・民での経験を総動員した外交経験

他に面白かった経験としては、政府内出向で、農林水産省に所属したことです。企画官というポストで、攻めの農林水産業(成長戦略)の策定ほか多方面な仕事に携わる縁をもらいました。ここでは、農業政策に関わる個別事案を多くヒアリングし 、政府だけではなく、民間のステークホルダーも巻き込んだ政策形成を経験しました。例えば農業ベンチャー(Agri-Tech)から「 資金は十分だが知名度がなく、ユーザーが十分獲得できていない」という話を伺った際には、「地域毎の 信頼の厚いキーパーソン からの口コミにより知名度を拡大できるのではないか」という仮説を持ち、農水省内の有識者に当たっていきました。その結果、農業普及指導員という職種の方々が農家の方々に信頼されており、地域内での情報伝達に強い影響力を持っていることを探し当て、 上記農業ベンチャーと各地の農業普及指導員の方々をおつなぎする に至りました。また別件では農業ベンチャー全体の底上げとして、党の部会で有識者としてプレゼンしてもらう側面支援のほか、ベンチャー大賞という既に官邸・経産省 が運営していた表彰制度の中に「農業ベンチャー賞」を策定する道筋付けまでかかわったこともあります。 このようにアイデアと行動力から、予算ではなく 既存の政策・組織構造を活用するという観点も身に付けていく余地があります。
またその2年後、スタートアップ関連政策の立案及び海外政府接点と言う観点で内閣官房に政府内出向した際には、「規制のサンドボックス制度(新技術等実証制度)」の企画立案を担ったことがあります(2018年6月施行、30件約140社の活用実績があり現在では世界3番手に活用されている制度)。政府の成長戦略のタマとして企画段階から法制化していく中、1年という限られたスケジュールで、省内・党プロセス・官邸プロセスをクリアする必要がありました。同時に審議会に備えた国内外ユーザー企業ヒアリング、先行類似制度を展開する海外政府ヒアリングを行いました。政府ヒアリングにおいては、アポイントのとりにくいアラブ首長国連邦のアブダビ政府について、過去に関わった業界・中東駐在経験者などの知人、大使館、自分自身のLinkedin経由で四重にアポイントを取りに行き、カンファレンス登壇の場でつかまえるなど、民間企業経験を活かした粘り強さでものにした機会もありました。総じて、これまでの民間・国家公務員双方で得られたスキル・経験を総動員する思い出深い経験となりました。

海外で会社法・ビジネス法研究者達の学会での一コマ(片岡)

G7他国のカウンターパートと水面下の交渉など、民間企業では得難い経験

財務省での国際経験といえば、本丸はG7カウンターパートや開発金融に関わるラインですね。森嶌さんがとてもよい経験をされているとお聞きしました

(森嶌)担当する開発金融機関が年1回開催する株主総会(年次総会)を始め、様々な国際会議に参加する機会がありました。 普段なかなか行けないような国に出張して現地の様子を自分の目で見られたこと、会議の準備過程で昼夜を問わず関係者(特にG7他国のカウンターパート)と水面下の交渉を行ったことは、今でもその一つ一つを鮮明に思い出せるほど興味深い経験です 。また、大臣レベルの面会・会議への同席も貴重な経験でした。ハイレベルになればなるほど、関係者が多くなればなるほど調整事項も多く、強いプレッシャーの中で仕事をする必要がありました。 その渦中にいる時は「もう嫌だ」と感じることも多かったわけですが、終わってしまうと達成感の方が大きく、更に時間が経つと、こうした一連の出来事が自分のキャリアにとって重要な要素だったと改めて気づかされます。

そのような特殊な環境は、民間企業から来た方でもすぐにキャッチアップできるのでしょうか?

霞が関には特殊な用語やいわゆるお作法(霞が関独自の仕事の進め方)のようなものもあるので、正直に申せば最初は少し戸惑うことがあるかもしれません。ただ、新しい環境で戸惑うことがあるのはどこに行っても同じだと思いますし、基本的な仕事の流れに大きな違いはありません。 霞が関特有の事情に慣れてしまえば、全く問題なく溶け込めると考えています。むしろ、長く同じ環境にいると考え方が凝り固まったり、つい守りに入ってしまったりということもあります。 外部から新しい風が入ることは、霞が関の人たちにとっても重要なことだと思います。G7カウンターパートの中には、社会人1年目から政府関係の仕事をしていた人ばかりではなく、民間企業で働いていた人、自営業で生計を立てていた人、NGO・NPOで働いていた人など様々なバックグラウンドを有する人がいました。 実際に、役人的な思考で議論が行き詰りそうな時、こうした人々の民間での柔軟な経験が議論に風穴を開けることがありました。多様性に富んだ「カラフル」な人材が多い方が、組織としても魅力的ではないでしょうか。

キャリアの希望を言い続け、ついに叶えた英国駐在

そういえば、お二人とも英国ロンドン駐在だったそうですが。海外だからこそ得られた経験はありますか

(片岡) 私は「業種や収益性を問わず様々な事業を応援することで日本を元気にしたい」と志して役所に入りました。 企業の悩みを聞いて寄り添い、目の前の政策立案に一生懸命取り組みながら海外駐在の希望を言い続けて いたところ、入省7年目にロンドンでの駐在機会を いただきました。
政府(外務省)の各国情報収集先である大使館は、さながらミニ霞が関のように各省庁からの政府内出向者が集まり 、様々な分野で任地国政府渉外や任地国日系企業支援に取り組んでいました 。私自身も、 銀行・証券・保険 、日本酒等流通/観光事業者、英国政府各所 、在英の各国外交官など様々なステークホルダーと情報交換していくための関係構築に尽力しました。こういった方々は、こちらから有益な情報を提供できない受け身の状態では、一度会えても二度目が続きません。 相手の関心のありそうな日本の財政/経済/税関情勢のほか、自身の務めてきたスタートアップ支援政策などのプレゼンを繰り出して相手の懐に飛び込んだり、時にはレセプションを企画主催してご招待・短時間キャッチアップするなど、最初の1年半で名刺1,500枚を消費するほどに交流を続けました。この他にも、知り合った 各国外交官・国際機関・アカデミア教授陣の背景を理解するため、プライベートでも欧州の 40以上の都市・離島を訪れました。時に自らを売り込み、4か国でFinTechカンファレンスに登壇したり、挑戦を続けたことが今も財産になっています。良質な情報収集や政府渉外に繋がるのであればと自由な行動を許し奨励してくれた精神的余裕のある上司、幅広い政策分野・セクターを一人で担当する書記官という役回りの特徴 、同僚とお互いの仕事をカバーして休暇を取りやすくする制度など、在外公館の環境があればこそ実現できたことで、民間では得難い経験でした。

(森嶌)私は中学生の頃から「国際協力・途上国開発に関わる仕事をしたい」と思っていました。話すと長くなるので省略しますが(笑)、紆余曲折あって新卒では税関で働くことに。ですが国際協力への 思いは変わらず、社会人8年目で税関から財務省に出向することになった当初より、「留学したい、国際機関で働きたい」という希望を出し続けていました。人事担当からは、「財務省に来たばかりなんだから目の前の仕事に集中しなさい」とよく怒られたものです(笑)。
結局、その後 ロンドンでの大学院留学、そして駐在機会を頂くことになりました。 駐在時の私の出向先は開発金融機関である欧州復興開発銀行(EBRD)の日本理事室でした。EBRDは各国政府の出資金を原資としており、重要な政策判断は株主に相当する各国総務で構成される総務会が行います。日本国総務は財務大臣ですが、財務大臣が日々の会議対応をするのは不可能なので、代わりに日本代表理事を指名します。その理事を政策・ロジなどあらゆる場面でサポートするのが私の仕事でした。2週間に一度、総裁以下の幹部と各国理事が一同に会する理事会という協議の場がありましたが、実際にはこの理事会前に方向性が決まってしまうため、理事会に向けて本国(財務省)と対応を相談し、その指示を受けて他国理事室や事務局と交渉を行う必要がありました。欧州の影響が強いEBRDでは、第2位の株主である日本もマイノリティであり、いかに有益な情報を入手し、いかに味方を作って議論を水面下でリードするかが重要で、それを実行する高い交渉力・政治力・調整能力が求められました。
仕事は大変ながらもそれなりに充実していましたが、仕事ばかりしていてはロンドンにいる意味がありません。 ある時、「今しかできないことをやろう」と思い立ち、EBRDの支援対象国を一つでも多く回って、現地の状況を自分の目で見ることに決めました。そう決心してから、最終的に52回渡航し、30か国以上を訪問しました。ほとんどが週末を利用した弾丸旅行だったため全く見足りない感じでしたが、それでも百聞は一見に如かず!この時、五感を通して感じたことは今の私の大きな財産になっています。

出張先での一コマ

政府渉外の仕事で活きている経験

(片岡)現在は、財務省を辞して、売上約7 兆円規模の米系事業会社の日本法人政策部門ディレクターを勤めています。今どきの政府渉外は当局への陳情ではなく、「技術変化の速いプロダクトの供給、ユーザーの需要、現状の政策の3 点におけるギャップを埋めるための複雑な多方面交渉」や、「人手不足が律速要因となりがちな政府側の政策立案過程の側面支援」、「 市場ドミナント(高シェア)なプロダクトの市場規模拡大を政策部門発の経営戦略で目指す」など大きく様変わりしてきています。供給が限定的なプロダクトについて他国にとられるか日本で確保できるか、ゼロか100億円規模かというヒリヒリする局面の対応や、G7/G20等の国際的な動きに合わせた提言 、日本政府が世界に対する功績として誇れるかつ実現可能性のある政策案のドラフト作成など、政治と経済は密接な関係にありますし、企業における経営企画という現在の仕事にも財務省での勤務経験が大きく活きています。

(森嶌)現在は 財務省からの出向で、欧州復興開発銀行(EBRD)の東京事務所で政府渉外・広報・採用に関する業務を担当しています。 EBRD設立当初からの役割であるビジネス開発(日本企業とEBRDの協働促進)に比べると、私の担当業務は比較的新しい機能です。そのため受け身の体制ではなく自ら仕事を創り出すことが期待されています。前例を自ら作るのはなかなか大変なことですが、私は元々自分でアイディアを出してそれを形にするのが好きな方ですし、財務省でこれまでやってきたことが100%活かせる環境なので、むしろ今はワクワクしながら仕事をしている状態です。日本政府への話の入れ方、日本政府の希望を踏まえたEBRD側との交渉はまさに財務省での経験があってなせるものですし、財務省時代のネットワークも非常に有効です。昨年12月、EBRD・財務省共催で400名規模の対面のフォーラムを東京で開催しましたが、フォーラム準備段階では、財務省時代の国際会議対応の経験を大きく活かすことができました。

「自分は何が得意なのか」気付くきっかけを得られた。 意外にキャリア選択も柔軟

いま、企業で働く若手中堅の方々に向けて、財務省のお仕事/政府の仕事の魅力について一言お願いします。

(片岡)政策・政府渉外の仕事はエキサイティングであるとともに、あらためて政府自身の仕事の奥深さと幅広さを感じる機会でもあります。霞が関はいわば日本最大の政策シンクタンクです。私自身、入省して最初の2 年間で、骨太の方針、成長戦略、あるいは経済対策などが様々議論され閣議決定されていくプロセスを見ることができました。 その際に身近にあった膨大な情報量、ありがたみもよくわからず通り過ぎていたものが、いざ民間企業側に戻ると極めて断片的にしかアクセスできず、入手コストのかかるものだったことに気づきました。 越境転職をされた方は、あらゆる情報が政府の意思決定構造の理解に繋がる意義のあるものであったのだと、後々必ず気が付くと思います。
20代のころからボランティアで「政府の仕事」に関心を持つ民間勤務の方々 の個別キャリア相談によく乗っています。政府の仕事は異動も多くて専門性がつかないのではないか、との問いもよくあるのですが、凡人の私からすれば、その多くの異動の中で自分は何が得意なのかを体感しながらキャリアを積んでいける貴重な機会です。 ですから逆説的に、自分の専門が悩ましいと思う人にこそ政府の仕事は向いていると思います。私自身もまた霞が関の仕事を受けるかもしれません。それくらい魅力のある仕事・キャリアであると思っています。
専門性という言葉からは、「何々の業界が長い」という産業軸ばかりイメージされますが、財務省をはじめ政府のナカの仕事でこれまでやってきた「(利益を上げるための何々という前提が揃わない)価値観の異なる他者との対話交渉経験」、「課題を聞き、白紙から対処方針案ドラフトを書いて、具現化する経験」、また、「期待と現状のギャップを埋めていける調整力」などのポータブル・スキルという軸も専門性のひとつで 様々な方面からの需要があったりするものです。このあたりはVOLVEさんとの対話でも気付かされました。
10 年間で4 省7ポスト10官職など、飽きる暇のない政府勤務での多様な経験。 そして、共に働く先輩・同僚・後輩皆に頭脳明晰で、議論・相談のひとつひとつが学びになる。結果としてすべて繋がっているのを感じます。私自身はこの経験を通して自分の強み、専門性に新たに気づくことができました。

(森嶌)政府に関わる仕事は、例えば売上げをいくら伸ばしたというような目に見える成果が見えにくい仕事かもしれませんが、利益を追求する感覚で業務効率性を高め、社会を取り巻く環境が少しでも改善されるためにはどうすべきかを検討・模索するやりがいのある仕事だと思っています。ただ、理想だけでは社会を変えることはできませんし、知識だけの頭でっかちな政策では社会を良くすることはできません。これはあくまで私の考えですが、政府の仕事に関わる人ほど様々な角度から柔軟に物事を考える必要があり、そのために多様な経験を積むのが望ましいと考えています。
企業で働く若手中堅の皆様には、ぜひ政府での仕事を今後のキャリアの選択肢の一つとして考えて頂けると幸いです。皆さんが想像されるお堅い役所のイメージも残ってはいるものの、政府に関わる仕事は実際には多種多様で、一つの仕事をある程度長く続けるか、様々な仕事を経験するか、それも個人の選択です。ちなみに、税関、財務省、国際機関と私はこれまで3回転職したような気分ですが、全てが繋がっているのを感じています。

ありがとうございました。

【編:大屋佳世子】


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