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特撮コレクター・関智一に聞く!ピープロ写真の価値とは!?【連載第二回】

クラウドファンディング「『ライオン丸』『タイガーセブン』『ザボーガー』昭和特撮フィルムを後世に残したい!」でデジタル化された、『快傑ライオン丸』(1972)、『風雲ライオン丸』(1973)、『鉄人タイガーセブン』(1973)、『電人ザボーガー』(1974)の4作品の商品を展開する「ピープロアーカイブストア」がオープン!

本企画の応援隊長を務める声優・関智一さんに、ピープロ作品への想いを語っていただきました!

【第一回はコチラ


──関さんはフィギュアの原型もご自分で作られていますが、お話をうかがっていると特撮ファンとしても造形面での関心が特に高いように思います。こうした造形に対する興味というのは昔からおありなんでしょうか?

 そうですね。僕が昔住んでいた近くに茅場町という駅があるんですけど、そこに海洋堂さんが「ホビーロビー」というお店を作ったんですよ(1984年開店。当時の名称は「海洋堂ギャラリー」)。僕が小学生の頃かな。オタクの友達のワタナベくんという子が「ガレージキットというのがあるんだよ」と教えてくれた。「ガレージキットってなに?」「普通じゃ売らないものを作って模型にして売っているんだよ」「ええ?」みたいな。「茅場町にお店があるから行こうよ」と言われて、それで自転車で行きました。
当時はゴジラとか仮面ライダーとか、あと『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)のフィギュアとか、そういうものの完成品がワーッと並んでいました。奥にカウンターがあって、そこに何人か居たスタッフの中にフィギュア原型師のBOME(ボーメ)さんも居ました。

──BOMEさんは海洋堂のフィギュア造形作家で、現在では美少女フィギュア原型の第一人者ですよね。世界的な評価も高く、2022年には文化庁長官賞も受賞されました。

 まだ大学生ぐらいだったのかな。BOMEさんが原型などを作り始めていた頃でした。他にも、もう亡くなっちゃったんですけど安良ひろちかさんとかもいて、「ガレージキットとは何なのか」を教えてくれたんですよ。
「これはみんな、元は紙粘土とかなんだよ」「君らも紙粘土を買って持ってきたら、作り方を教えてあげるから」と言っていただいたので、「ファンド」という石粉粘土を文房具屋さんで買って、何かを作ってBOMEさんと安良さんのところに持って行きました。お二人とも結構スパルタで「人間の足の筋肉はそんなふうに付いてない」とか言われましたね。

──小学生相手なのに本気の指導ですね。

 そうなんですよ。「いい? 君が作ってきた足の筋肉は下の部分がちょっと盛り上がっているけど、普通は上が盛り上がるんだよ」「ちょっと削るね」と言って、もうガリガリガリ!とナイフで削られていく(笑)。そこを安良さんが粘土で盛って片側だけ作ってくれて「これを見ながら反対側を作っておいで」と言われて、それで持って帰って作って……みたいな。「上手にできたら海洋堂が販売してくれるから」とも言われて、「みんなで海洋堂からガレージキットを出そう」って盛り上がりました。

──本日は関さんのコレクションから、『風雲ライオン丸』のライオン丸の刀とブラックジャガーの短刀を持参していただきました。こうした本物のプロップの収集や復元などもされているんですね。

関さん秘蔵のライオン丸の刀とブラックジャガーの短刀、その入手経緯の詳細はコチラ

monoMAGAZINE web「特撮大ファン声優・関智一が語るピープロ愛! 昭和の傑作ヒーローが蘇る奇跡のオンラインストアとは!?(後編):特撮ばんざい!第45回」

 プロップ集めについては、ワンフェス(ワンダーフェスティバル)に仕事で行っていた時に、司会でなべやかんさんがたまたま居て話しかけられまして。「特撮好きなんですよね」「ああそうです。なべさんもいっぱい集めていますよね」と話していると「西村さん、紹介しますよ」と。

──特撮資料の世界的なコレクターで、認定NPO法人 アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)の発起人の一人でもある西村祐次さんですね。なべやかんさんが西村さんを関さんに紹介されたんですね。

 そうです。それ以降、西村さんのところにちょこちょこ足を運ばせてもらって。西村さんに「プロップを集める趣味の人たちもいるけれども、偽物とかもあるし、どうせだったら本物志向でしっかりやっていかないと無駄になっちゃうよ」みたいな感じで色々教えていただきました。

──西村さんからコレクターとしての薫陶のようなものを受けたわけですね。

 そうです(笑)。「レプリカを作るといっても、ただ作ればいいってもんじゃないんだよ」と。例えば当時の材料・材質をちゃんと検証するとか、サーフェイサー(造形物などの表面に吹き付ける下地の塗料)は何色のものが吹かれていたのかとか、そういうところにも愛情を持って調べていく。「考古学みたいなものだから」と言われて「ああなるほど、素敵だな」と思って。それでハマっちゃったんですよ、沼に(笑)。
西村さんがお持ちのコレクションのマスクとかも見せてもらって、「表面からは分からないけど、裏には努力の跡がこんなにいっぱいあるんだよ」「こうやって進歩していったんだよ」みたいに見せてもらって「うわ、本当だ!」と。そういうので沼に引きずり込まれた感じです(笑)。そういうことで、西村さんのことは「師匠」と呼ばせていただいています。

──関さんのように造形に強い関心のあるかたにとって、今回の企画の写真群はとても魅力的なのではないでしょうか?

 そうだと思いますよ。こだわって何かを作るにしても、しないにしても。例えば『風雲ライオン丸』の刀の鍔(つば)にはどういう彫刻がされているのか、表面がどういう造形なのかとかがわかれば、ご自身で趣味で作っている人とかも、より本物に近い精巧なものが作れますし。
今までも大きい写真が無いわけではなかったけど、大きく引き伸ばすとどうしてもぼけてしまっていたんですよ。今回の写真は全然大きく引き伸ばせるので、そういう資料的価値が高いと思います。見る人が見れば着ぐるみの造形とかも細かく分かって、「これ、ここはこうだったんだ」「こういうテクスチャーが付いてたんだな」とか。やっぱりこれは嬉しいですよね。
もっとフィギュアとかの造形の機会にも恵まれて欲しいなって思いますね。ピープロ特撮は、まだそう多くはないですからね。

──美術監督の三池敏夫さんも「ピープロは資料発掘が遅れてきてしまったところがある」とおっしゃっていました。商品展開も同様ですね。

 そうですよね。これからは是非、今回デジタル化された写真資料を使ってより良いものを作ってほしいですね。今は上手い人がいっぱいいるので、名だたる造型師の方たちにリアルなものを作ってもらえれば、手元に置く機会も増えてくるんじゃないかな。
やっぱり欲しいですもんね。マシーンザボーガーのバイクとかも現物で出してほしいですよ。本物のバイクでマシーンザボーガーに乗りたいです。本物そのままのものが欲しい。以前『勇者ライディーン』(1975年)のバイクがありましたよね。

──『ライディーン』のスパーカーが、公道も走行可能な実車として開発されて受注販売されていましたね。

 そう、あんな感じで商品化を是非、受注生産で。絶対買います(笑)。

──乗る時には、是非あの大門のヘルメットも被っていただいて……

 いやあ、もう本当にやりたいですよ。

最終回に続く】


【ピープロアーカイブストア】
https://valuemall.site/collections/p-proarchivestore
販売期間:2024年4月6日(土)12:00 ~ 2024年5月31日(金)23:59 

【Imaging Mall】
https://imagingmall.com/vp_archive
販売期間:2024年4月6日(土)12:00 ~ 2024年7月7日(日)23:59
  ※Imaging Mallは、DNP大日本印刷の登録商標です。

©ピープロダクション

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