【3Dモデルフォーマット】VRMとMMDモデル(PMD/PMX)の使い方の違いとは?

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BlenderやMayaなどの3Dモデリングツールを使って3Dモデルを作成したら、多くの場合、保存・出力をします。作業の時はプロジェクトファイルに保存しておく事が一般的ですが、他のモデリングツールでも使えるようにしたり、対応アプリで使えるようにするには、3Dモデルをあるフォーマットに対応したファイルに出力する必要があります。

近年、ポピュラーになってきたのが、VRMとMMDモデルの2つです。

VRMは、ドワンゴ・ピクシブ・バーチャルキャストなどが正会員として構成されているVRMコンソーシアムによって、仕様が策定されているVRアバター向けのファイルフォーマットです。MMDモデルは、樋口優が開発したMikuMikuDanceというソフトウェア上で動作するファイルフォーマットです。

1.VRMモデルの特徴

VRMは、3D標準フォーマット「glTF2.0」をベースに作られており、テクスチャデータやマテリアルやボーンが1つのファイルにまとめられています。人型モデルとして取り扱う為の拡張が施され、制約も設定されている標準フォーマットであり、VRM対応アプリ上で動作させる事で、どのアプリでも3Dモデルを動作させられます。一人称視点再現を行えるので、VR上でのアバター用途に利用する事ができ、Blend Shapeやマテリアルの透明度などキャラクターの表情に関係する様々な技法を扱えるので表情豊かなアバターを作る事が出来るのも特徴です。

VRMを作成するツールは、ピクシブが開発したVRoid Studioが代表的です。UnityにUniVRMというアドオンを追加すれば、VRMの入出力や編集が行えます。また、Blenderに専用入出力アドオンを追加すると、Blenderの機能を使って改造をする事も出来ます。

デフォルトで使われるシェーダーは、MToonとUnlit系とStandard Shaderです。MToonはトゥーンシェーダーであり、Standard Shaderはリアル系のシェーダーとなっています。

2.MMDモデルの特徴

MMDモデルは、pmxとpmdの2つのフォーマットが存在しており、現在の主流はpmxです。古いモデルでは、pmdフォーマットを使っている事があります。pmdは、DirextX7ベースである為、1モデルに含まれている頂点数は65535以内、16bit時代の技術が使われているので現在の64bit全盛の時代においては色々と限界があると言えます。実質的な後継フォーマットであるpmxは、pmdに足りない部分を拡張していますが、MMD自体が既に枯れたソフトウェアである為、pmdで新規モデルが作られる事は多々あります。

MMD上で踊らせるには、モーションデータファイルであるVMDを読み込ませます。有志によって、公開・配布されているので、ユーザーが一からモーションを作らなくても、気に入った音楽に合わせて踊らせる事が出来るのは大きな利点でしょう。

MMDとセットで使われるのが、MMEという拡張ソフトです。これは、より高度なシェーダーを追加する事が出来るソフトであり、有志によって開発されたMME対応シェーダーを使えば、表現力を大幅に向上させられます。

3.VRM対応アプリとサービス

VRMとPMD/PMXのいずれが優れているかは、使い手がどのソフトやサービスを使うか次第で変わってきます。VRMは、VR向けアバターを作る為に汎用的に作られたフォーマットです。その為、MMDのように踊らせるVRM Live Viewerのようなソフトだけでなく、VワールドやバーチャルキャストやClusterなどのようなメタバース、VRAST!という格闘ゲーム、共有サービスであるVRoid Hubなど様々なソフトウェアやサービスで、作成・購入した3Dモデルを動かす事が出来ます。




Steamで販売されているVR向け音ゲーやオープンワールド系ゲームがVRMに対応している事があります。そのようなアプリで、自分のお気に入りのキャラを使えます。


VRM Live Viewerは、MMDのモーションデータであるVMDをエミュレートする機能が備わっているので、MMDのダンスモーションをVRMモデルに適用してダンスさせられます。複数人で踊らせる機能もあるので、MMDでモーションデータを作って、VRM Live Viewerで使うという使い方も行えます。

また、3teneなどのフェイストラッキングアプリを使うと、Webカメラを通して、使用者の顔の動きや体の動きをトラッキングし、それをVRMモデルに反映させる事で、VRMモデルを自由自在にリアルタイムに動かす事が出来ます。このようなツールとストリーミング配信・録画ツールのOBSと組み合わせれば、配信者はアバターの姿で動画配信を行う事が可能になります。


4.PMD/PMXは基本的にMMD専用のフォーマット

PMD/PMXは、MMDやそのクローンソフトのみで動作させる事ができ、3Dモデルを踊らせたり、あるいは応用として3Dアニメーション作成が出来ます。タイムライン方式で操作を行うので、操作感は動画編集ソフトに似ていると言えます。この3Dモデルフォーマットは、VRMほど汎用性がありませんが、MMDのユーザーの規模が世界規模である為、普及度はVRMよりも遥かに高いです。但し、VR用のアバターとしては使えないので注意が必要です。

5.VRMモデルとPMD/PMXモデルは、入出力プラグインを追加したBlenderやUnityなどで編集が行える

PMD/PMXの編集や作成を行うには、PMDEditorと呼ばれる専用ソフトを使って行えますが、アクセサリーなどを作りたい時は入出力プラグインを追加したBlenderなどの3Dモデリングツールでより深く細かく作っていく事が出来ます。VRMも同様であり、Blenderなどに専用の入出力プラグインがあるので、これでVRMを読み込んで編集・作成を行えます。また、最終的な仕上げには専用プラグインをインストールしたUnityで行う事も可能です。


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