見出し画像

総額1兆円以上の国立大運営費交付金と総額3200億円以上の私立大学等補助金


◇年々減らされている総額1兆円以上の国立大運営費交付金

国立大学は、国が立案した教育・研究業務を国に代わって実施している研究・教育機関という事もあって、国立大運営費交付金が私立大学等補助金よりもかなり多く交付されています。しかし、現在の国立大学は、独立行政法人として運営されるようになってからは運営費交付金は年々減らされてきています。国からの出資が6割程度、自己収入が3割から4割である為、国立大の中には研究費が足りないといった状況が出てきています。
2022年の国立大学の運営費交付金の総額は1兆円以上となっています。
国立大学の運営費交付金の大学への交付金額は、各大学の研究実績などを考慮して交付されており、世界的な研究を数多く行っている東京大・京都大が他の国立大学よりも多く交付されています。次いで、東京工大・東京医科歯科大・大阪大・名古屋大・東北大・九州大などに多く配分されています。

◇大学の数は大幅に増えても、あまり増えていない総額3000億円以上の私立大学等補助金

私立大学の収入は9割が学生からの学費です。2024年の私立大学の総数は790校ほどとなっています。私立大学は、国から私立大学等補助金が交付されていますが、近年は定員の未達・不正などがあると、不交付や減額になるケースが増えており、かつてよりも厳格な運用がされているようです。
交付額に関しては、研究・教育が充実している大学ほど高くなる傾向があります。令和2年度の交付上位10位以内は、早稲田大と立命館大を除くと全て医学部を持っている大学(慶應義塾・昭和大・東海大・順天堂大・近畿大・北里大・福岡大)です。
ちなみに、常連だった日本大は不祥事の影響で近年不交付が続いています。

令和2年度私立大学等経常費補助金 学校別交付額一覧

https://www.shigaku.go.jp/files/s_hojo_r02a.pdf

◇私立大学等経常費補助金を全て廃止して国立大の校費を増やしたとしても、かつての国立大学運営費交付金には遠く及ばない

よくネットで、「Fラン私大潰して、国立大学に予算を回して国立大学を無料にしろ」という声を見かけます。しかし、文科省が年々校費を削減した分は相当に大きく、私立大学等経常費補助金を廃止したとしても、かつての予算には遠く及ばない事は近年の私立大学等経常費補助金の総額3000億円以上を見ても明らかです。また、私立大学等経常費補助金のランキングを見ると、大規模大学や中堅伝統校にほぼ交付されているので、一般的にFランと呼ばれている私大を潰したとしても何の足しにもならないでしょう。私立大は経営難が予測されているので、学生募集停止を行っている所が増えてきています。
国は予算を大学以外の分野にも交付する必要があるので、今後も校費が上がる見込みは一切無いと思って良いでしょう。
公立大は、地方自治体の財政に影響を受けると思われるので、国立大や私立大とは分けて考えた方が良さそうです。

◇物価が上がってきている以上、国公私立大の予算はいずれも厳しい

国公私立大の研究費・教育予算が厳しいのは、年々物価が上がってきている事が影響しているのは少なからずあるでしょう。私立大学の場合は、物価高騰に合わせて学費を上げるという形で対応出来ますが、国立大と公立大は国や地方自治体の意向で決まる部分があるので学費を上げる方法には限界があります。
学校法人の統合などで乗り切ろうとしている大学が増えてきています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?