エビデンス

世のマスコミを賑わせてるエビデンスといえば、論文ならば症例研究、要は体験談。

ただし、科学の世界では、症例研究は信頼性が低いと言われる。

最も信頼できるのは、無作為抽出比較対照試験という舌を噛みそうな名前の研究。

同じ色臭い形の、飲み物やクスリみたいな形のものを、成分量を変えたり抜いたりして、似た属性になるように複数グループにわけて摂取してもらう。ある成分が入っているかいないかは本人にも処方する医者や薬剤師にも分からないようにする。その結果、差が意味のあるレベル(有意差あり)なら「効く」となる。

栄養成分や身体に悪そうな成分や、特定の行動などの効き目や悪影響を調べるには、疫学調査が行われる。

信頼できる研究ほど金と時間がかかり(難しい)、信頼性が小さいのは金と時間がかからない(簡単)。下に書いた研究の例をみたら、よく分かる。

体験談、症例の紹介は論外なので以下の信頼性の低い順に並べた研究には入れない。最低限③は必要。売れれば良いと考える企業や、私には効くんだから皆にも効くはず、と盲信する人と、誰々が言うならと盲信する人が多いから、マスコミ、食品、美容業界にもとめても無駄な気はするけど。

◆研究の種類
①は最もエビデンスがあると明言できる
というか、④⑤はエビデンスと言わない
体験談、症例研究は論外。

飲酒は肝臓がんの原因となるか?についての例。この介入試験は現実的には無理だけど。

⑤生態学研究
「酒をよく飲む国ほど肝臓ガンの発生率が高い。」
因果関係ではなく、単に相関関係を見てるだけ。

④横断研究
「酒を飲まない人より酒を飲む人の方が肝臓がん患者が多い。」
これも相関関係。

③症例対照研究
「肝臓がん患者群(症例群)と健康者群(対照群)を同数集め、過去にどの程度酒を飲んでいたかを調べる。結果、症例群の方が酒飲みが多ければ飲酒が肺がんの原因であると推論できる。」
後ろ向き研究、患者対照研究。

②コホート研究
「飲酒者群(曝露群)と非飲酒者群(非曝露群)を同じ数集め、両群を数年追跡し、その肝臓がん罹患率を比較する。結果、曝露群の方が肝臓がん罹患率が高ければ、飲酒が肝臓がんの原因であると推論できる。」
前向き研究

①無作為抽出比較対照試験
「対象集団を無作為に二軍に割り振り、片方の群に酒を飲ませ(曝露群)もうひとつの群(非曝露群)にはなにもしない。その後の肝臓がん罹患率を比較する。結果、曝露群の方が肝臓がん罹患率が高ければ、飲酒が肝臓がんの原因であると推論できる。」
介入試験

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