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社内ツールカオスマップを作ろう

昨年末のLTで発表した内容ですが、noteにも残しておきたかったので改めて書き起こしました。

社内ツールカオスマップとは

社内の各機能で利用しているツールをまとめたカオスマップです。
※私が適当に名付けました
カオスマップ自体の意味は「業界や分野ごとにサービスを列挙・カテゴライズした一枚絵」なので、それの社内ツール版だと思ってください。

Web事業会社を想定したサンプルはこんな感じです。
※あくまでサンプルなので、どこかの会社の構成や理想形ではありません

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複数事業でエンプラ規模の会社だと、部門も機能も増え、まさにカオスなマップになるのではないでしょうか。

勉強会やセミナーで他社の話を聞いていて、こういう絵が出てくると「おっ!」と食い入るように見ちゃいますよね。やはり他社がどういう社内ツールを使っているのか興味ありますし、非常に参考になります。

作り方

それでは実際に社内ツールカオスマップを作っていってみましょう。

1.テンプレートを作成する
まずは会社の各部門の機能と、全社横断で使用するツールのカテゴリを列挙してテンプレートを作成します。
小規模なWeb事業会社の場合は、こんな感じでしょうか。

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業種によっては販売管理や製造など、部門と機能が増えるかもしれません。

ポイントは「組織ではなく機能を漏れなく列挙する」こと。
組織は頻繁に変わりますが、機能は大きく変わらないので、機能をベースに作成しておいた方がメンテナンスが楽です。
また、機能を列挙しておくことで、現状ではまだ組織化・システム化できていない業務に気付くこともできます。

2.現状(As-Is)を描く
テンプレートが完成したら、まずは現状を描いていきましょう。
各部門にヒアリングして、使用しているツールのロゴを各機能に当てはめていきます。
こんな感じに仕上がります。

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できあがった図を見てみると、「バックオフィスや営業はExcelやスプレッドシートの運用が多く、アナログな業務プロセスのままかもしれない」といった気付きを得られるかもしれません。
また、様々な部署にヒアリングしてカオスマップを作成していく過程で、社内の業務や課題に対しての理解も深まるでしょう。

3.理想(To-Be)を描く
現状を把握した後は、「どこを改善して、どのような構成にしたいのか」を理想図として描いてみましょう。
※くどいようですが、あくまで一例で最適解ではありません

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現状と比べてかなりモダンな構成になりましたね。

社内ツールカオスマップを作成するメリット

社内ツールカオスマップを作ることで、いくつかメリットがあります。

全体感が一発で伝わる
採用や引き継ぎの際に、「自社で使ってるツールはこんな感じです」と一枚絵で見せることができます。個々に説明するよりも一枚絵を見ながら説明した方が会社の全体感が伝わりやすいです。
その会社が使っているツールを見ると、会社の文化や経営方針がなんとなく伝わることもありますし、イメージと現実のギャップを解消するためにも有効かもしれません。

戦略立案や振り返りに使用する
As-IsとTo-Beの図を比較し、
「To-Beに向けて、まずはどこから取り掛かるのか」
「コストやスケジュールはどれくらいかかるのか」
といった中長期的な戦略を立てたり、経営陣に説明するための材料にも使えます。全体感が把握できないと、どうしても場当たり的な対応になったり、声が大きい部門の対応を優先してしまいがちなので、全体を俯瞰して判断できるのが望ましいです。
また、実際に「この1年かけて、どこを改善してきたのか」といった成果の振り返りにも利用できます。

なお、「ツールの導入」が目的にならないように注意しましょう。
ツールの導入はあくまで経営や現場の課題を解決するための手段であり、無駄にコストをかけて良いツールを導入すれば良いという訳ではありません。
解決したい課題とコストを考慮して、経営判断を仰ぐことが大切です。

社内ツールカオスマップを活用する

作成した社内ツールカオスマップを他の用途にも活用してみましょう。

ツール間の連携を可視化する
社内ツールが増えてくると、IdPやIDaaSを導入してSSOやプロビジョニングを実現したり、認証のレベルを統一して行くことも多いかと思います。
SAMLやプロビジョニングで連携している範囲を可視化することで、
「SAML連携できてなくて、ID/PW認証のみのツールが多くてまずい」
といったことに気付けるかもしれません。

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管轄を可視化する
各ツールの管轄を可視化することで、管轄が曖昧になっているツールを見つけたり、責任の所在を明確にすることができます。
各部が負担しているコストを可視化しても面白いかもしれません。
あるいは「こんなに大量のシステムをこの人数で運用するのは厳しい」と人員体制について言及する資料にもなるかもしれません。

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おわりに

社内ツールカオスマップを作成しておくと、社内のIT構成を俯瞰でき、色々な用途に活用することができます。
作成したカオスマップを一般公開するのはなかなか難しいかもしれませんが、同業種・同規模の他社さんと見せ合ってお互い参考にするのも面白いかもしれません。

今回作成したカオスマップはあくまでサンプルなので、ぜひ自社に最適な物を作成してみてください。

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