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ミッドナイトスワン 哀しみの水色

公開当時かなり話題になっていていつか観ようと思っていた。いよいよネットフリックスにやってきた。待ってました。

草彅剛さん、すごかった。トランスジェンダーとしての凪沙、一果への想い。悲しみ、痛みが冷たい冬の雨みたいにずっと降っている感覚。
その対比が少女の一果で、つらい生い立ちでありながらも、バレエを舞う姿はその生い立ちを覆い隠してしまう程の美しさで、観ている私にも彼女が踊って振り上げたその手の先に大きな劇場や世界が見えた気がした。

ニューハーフバーで働く、トランスジェンダーの凪沙は一人で暮らしていたがそこに親戚の子、一果がやってくる。
中学生の一果は母親から虐待を受けており母から離すべく送られてくるが、一度もお互いに会ったこともなく、しかも一果は叔父と知らされていた凪沙が女性として生きている事を初めて知る。どうやって2人で暮らすのかお互い想像もつかないまま二人の生活は始まる。

観始めはちょっと草彅君の演技が大げさだなぁと思った。頑張りすぎてない?と。しかし観るにつれ気にならなくなる。というよりしっくり馴染んでくる。

凪沙に付きまとう悲しみと一果の華やかな未来。この両極がこのお話の魅力だと思う。

凪沙は自分の悲しみの沼の中に見つけた一果という光が眩しくて愛しい。
一果は心の傷が癒えない事を知っているが、凪沙がくれる愛情を糧に自分の未来に夢を馳せる

凪沙の暗闇を見れば見るほど一果の輝きは美しい

光と闇はどこにでも誰にでもあってとてもありふれていると思う。
そして結構残酷だなあと思う。何でも楽にはいかないように出来ている。
そして人生は結構面倒くさい。

でも一時でも感じた喜びや愛情は決して消えない。人には奪えない自分だけのもの。一果が凪沙を深く想ったことも、凪沙が一果を慈しんだことも。
誰かを想うことや、誰かの幸せを願うことは大きな幸せだと思うから

草彅剛さんの演じる凪沙は特別な人ではなくて、とても近くに居る誰かだったし、一果を演じた服部樹咲さんは踊ると本当に背景に花が咲くような女優さんだった。
ずっしりとした鑑賞後。観てよかったです。

画像"ミッドナイトスワン公式ホームページより"





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