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絵師達がどのように絵の修行をしていたか調べてみる


浮世絵や新版画の絵師達がどのように画法を体得し弟子達に受け継がれていったのか以前から興味があり、古い本を探す事でその一旦が垣間見えるかもしれないと、ちょっとずつ集めている。そのいくつかを時系列に並べてみて、その変遷について改めて考えてみたいと思いたった。

水野年方と並び明治木版口絵の人気絵師だった梶田半古。その教えを口述筆記した「画事入門」という本。半古は「前賢故実」という菊池容斎が歴史的人物を考証し描いた書物を全て暗記するほど全てを模写した。また画塾を開き写生を塾生達と行い、奥村土牛や前田青邨など後に巨匠となるような日本画家達を育てた。

月岡芳年の弟子、水野年方もまた画塾を開いていた。年方社中という名の「うき世美人」という明治の折帖を見つけた。
おそらく年方の「今様美人」に倣ったもので、池田輝方、小山光方、竹田敬方などが1年の移り変わりを12枚の美人画にしている。経緯や時期は不明だけど、師弟の強い結び付きを感じる。

絵師が画塾を開き育てた最後の絵師が年方の弟子、鏑木清方じゃないかと思う。
本人は絵師を辞め画家になる事に専念するけど、渡邊庄三郎との繋がりから、川瀬巴水や笠松紫浪など新版画の絵師を輩出したことにどんな思いを持っていたのかがとても気になる。もう一人の仕掛け人と言える存在だと思う。

最後に、戦前に講談社が出していた笠松紫浪の描く一寸法師の絵本。
正当な日本画や有職故実を学んでいないと書けない圧倒的な画力で、そのベースを元に新版画の下絵を描いていたと思うとまた見え方が変わってくる。