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顧客体験で重要なMoTと戦術をつなげる方法

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
カスタマージャーニーマップは、顧客と企業の接点を可視化したものです。このマップを作成する際に最も重要な要素がMoment of Truth(MoT)です。
CJM(カスタマージャーニマップ)の書き方について以前記しました。(『CJMとKPI』)
今回はその中でも重要になるMoT(Moment of Truth)にフォーカスしてみたいと思います。MoTとは、顧客が企業やブランドに対する印象を決定付ける重要な瞬間のことを指します。MoTを特定することで、顧客体験を改善するための手がかりが得られます。


MoTとは

Moment of Truthは日本語的には「真実の瞬間」になります。元々は闘牛の用語らしいのですが、マーケティングの文脈で使われる際には「ターゲットとの接点の中で、ターゲットが商材に対する印象を形成したり変更したりする重要な瞬間」を指します。
MoTを提唱したのはスカンジナビア航空の元CEOヤン・カールソン氏です。カールソン氏は同社のスタッフが顧客と接する時間が平均15秒で、そのたった15秒の体験が一番重要な瞬間であり顧客満足度が決まる重要な瞬間であると指摘しています。

MoTの派生

MoTから派生した考え方には3つの種類があり、以下のように定義されています。

1. First Moment of Truth (FMoT)

FMoTは、P&Gの元CEOアラン・ラフリー氏が提唱した概念です。顧客が初めて製品やサービスに接する瞬間を指しています。「顧客は店頭で並べられ得た商品を見て、3〜7秒でどの商品を買うか決定する」という考えに基づき、この3〜7秒の間にMoTが存在するとしています。

2. Second Moment of Truth (SMoT)

SMoTもラフリー氏によるものです。顧客が実際に製品やサービスを体験する瞬間を指します。「商品を使用した際に、その良し悪しを判断し、継続購入の意向を固める」という考え方です。SMoTにおける体験が顧客の満足度を大きく左右します。

3. Zero Moment of Truth (ZMoT)

ZMoTは、Googleにより提唱された概念です。インターネットの普及により、検索・口コミ・レビュー・SNSなどで情報に触れ、店頭に立つ前に購入意向を固めているという考え方になります。ZMoTの体験が、FMoTの前から顧客の心理に影響を与えるため、近年重視される傾向にあります。

MoTとCJM

MoTを抽出するには、まずカスタマージャーニーをマッピングする必要があります。そして各ジャーニーから、顧客が大きな印象を抱いた瞬間を特定していきます。その際、顧客データ(行動データやアンケートなど)を活用することで、より正確にMoTを抽出できます。
具体的なステップは以下の通りです。

STEP1

まずはペルソナを明確にします。MoTは複数のペルソナを使って検討しても同じような要素になる傾向があるそうです。なので、とにかく1人の具体的な人物像の解像度を上げていくことが効果的だそうですよ。

STEP2

ペルソナの商品こう縫うの検討につながる最初のきっかけ〜購入意思決定を下す瞬間の間に、ペルソナが取る行動をできるだけ詳細に書き出します。

STEP3

書き出した行動によって、ペルソナが抱く感情や意識などを書き出します。

STEP4

書き出した行動や感情が発生した瞬間に考えられる顧客接点を洗い出します。

STEP5

書き出した感情や意識の中から、ペルソナが「買いたい」もしくは「買わない」という意思決定を下す瞬間をMoTとして抽出します。MoTとなるポイントでどんな行動をとっているのか、どんな接点があるかを見極め施策を検討します。

STEP6

MoTを洗い出すことができたら、戦術に落とし込んでいきます。
まずは、各フェーズごとのユーザーの状態とそのフェーズのゴール(ユーザーがどうなれば次のフェーズに移るのか)を考えます。
そして、そのフェーズで何を伝えるのか(What to Say)を整理し、それを伝えるのに適した顧客接点を明確にします。その接点に合わせて戦術(施策)を検討していきます。

まとめ

以上、カスタマージャーニーマップを通じて顧客体験の改善を図るMoT(Moment of Truth)の重要性について解説しました。顧客が商品やサービスに初めて接する瞬間から購入意思決定を下す瞬間まで、MoTが存在し、顧客の購買心理に影響を与えます。自社の商品やサービスを見直し、MoTを洗い出し、顧客接点を最適化することが売上向上に貢献すると思われます。
単に形だけカスタマージャーニーマップを作るのではなく、効果的な行動(施策)を導くために活用できると良いですね。
CJMをKPI活用に活かすという点では下記の記事もぜひご一読ください。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
習慣とは怖いもので、水曜日を超えて原稿が仕上がっていないとソワソワするんですよ。
n=1で、「noteを毎週書く」というゴールに対するMoTは「時間的な焦り」であり「水曜日にリマインド」するという施策が浮かんできますね。笑
今回ご紹介したようにCJMって結構奥が深いんですよね。巷ではCJM不要論なんかもありますが、正しく作ることができればとても重宝しそうです。かくいう私も、そこまで活用できてはいないので精進していきます。
それではまたお会いしましょう。

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