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1つだけ、残してあるりんご*

2014年の1月、岩手に行った時の話である。

収穫はとっくに終わっていたと思われる、葉もないりんごの木。なぜそれがりんごの木であるとわかったかと言えば、赤茶のりんごが1玉、枝に寄り添っていたからだった。ひとつの畠の中に、そんな木がいくつもあった。その光景はあまりに不自然だったので、赤茶のりんごが残されていたのが、故意あることは容易に考えついた。
「なんだろうね。」
「なにかあるのだろうね。」
と疑問を投げかけ合ったとのの、車での移動中に見た光景だっために瞬間的な話題にすぎなかった。

翌日、岩手からの帰り道。サービスエリアで、りんごのお菓子を眺める。このシリーズのお菓子は美味しいので、まだ食べたことのないこのお菓子も美味しいのだろうと想像が働いていた。そんな時だった。「りんごを残す」という文字が目に入ってきた。ポップをよく見ると、昨日わたしたちが疑問に思った1玉のりんごの答えがそこに示されていたのだった。
収穫を終える際に、りんごの木への感謝の印に、1玉残す。

「うわぁ。きたーーーーっ。」
と、叫んだ。あ、勿論、脳裏でです。

こういう出逢いが、わたしをまた少し豊かにしてくれる。


wacana*



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