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【コラボレーターの仕事術】子供が将来に希望を持ってワクワクして生きる社会をつくる NPO法人CLACK理事長 平井 大輝

今回インタビューさせていただいたコラボレーターは、NPO法人CLACK理事長の平井 大輝さんです。ご自身の経験から、生まれた環境に関係なく将来をワクワクして生きていけるようにNPO法人を立ち上げ、経済的に困難を抱える高校生向けに無料でプログラミング教育を提供。そのような団体をつくろうと思ったきっかけや、平井さんが出会った子供たちから感じた思いなどを伺いました。

■貧困生活の経験から、同じ境遇の子の手助けしたい


ーーこれまでの経歴や、団体を立ち上げたきっかけをお聞かせください。
平井さん(以下、平井):
僕は大阪の下町生まれです。中学2年のときに飲食店をしていた父親のお店が潰れてしまい、そして両親が離婚をしました。無職で借金を抱えた父親についていったので、いわゆる貧困家庭になりました。

高校は大阪の上位校に進学できましたが、部活の交通費がないことや、電気・ガスがたまに止まってしまうような生活でした。そんな生活をなんとかしたいと思い、パソコンを使って稼いだり、アルバイトで生活費・進学費を捻出していました。

その後、大阪府立大学に進学し、学費免除・給付型奨学金を受けることができました。自分と同じような境遇の子供の手助けがしたくて、貧困家庭の中高生に学習支援を行うNPO法人で3年間活動をしてきました。

活動するなかで、生活保護を受けていたり、親が外国籍だったり、さまざまな境遇の子供たちと出会いました。改めて子供の貧困が、日本全体の問題・課題だと関心を持ち、子供の貧困分野の研究をしている山野先生の元で学ばせてもらいました。

そこで、家庭の裕福さと学歴が比例していること、両親が高卒以下の家庭では子供にも高卒以下の学歴を望んでしまうという事実を知りました。大学進学がすべてではないですが、大学に行っている方が正規雇用になりやすいというデータもあります。

僕の親が金銭的に苦しくなったのは中学生のときですが、小学校のときは塾に行かせてもらえていました。両親は大卒だったので僕には進学の選択肢もあり、国公立の大学に行けたのは努力だけではなく、ラッキーも大きかったと気づいたんです。その問題について何とかしたいと思うようになりました。

■プログラミングで自立・自走につなげる


平井:
幼少期から厳しい環境で育った子どもが高校生になった後の支援が日本ではまだまだ不足していると感じました。学習支援と居場所支援もいいけれども、それ以外で自立に繋がる支援をつくれないかと思い、大学3年生が終わったタイミングで1年間休学しました。

IT企業で有給のインターンをさせてもらえるようになれば、お金をもらいながらスキルを身につけられるのではないかと思ったんです。

そして、プログラミングで自立・自走につながるような支援をする団体を2018年に立ち上げました。インターンで雇ってもらえるレベルになるように、プログラミングを学ぶ機会をつくることが目的です。

■プログラミングだけではなく、生きていく力を身につけてほしい


ーー立ち上げてからどう活動してきたのか。そして平井さんの人生がどう変わっていったのかをお聞かせください。

平井:クラウドファンディングで180万円を集めてスタートしました。授業料や教材費は完全無料、社会人のプログラマーや大学生が学習をサポートします。パソコンを持っていなければ無償支給します。新大阪・堺に教室があって、そこに通う交通費も1日800円まで支給します。お金が理由で学べないというのを極力なくしました。

最初は興味を持ってもらうことから始まり、3カ月間無料でプログラミングを学びます。これからのIT時代で何とかやっていく力を身につけてもらい、さらに本格的にプログラマーを目指したい子には6カ月間のコースを提供します。そこからインターンやアルバイト、さらには企業に就職というところにつなげています。

また2週間に1回、学校では教えてもらえないお金や生活に関すること(大学の奨学金や1人暮らしにどれくらい費用がかかるのかなど)を、大学生や社会人に来てもらって話をしてもらいます。

生徒はアルバイトをしている子も多く、自分のバイト経験から働くことに悪いイメージを持っていたり、生活保護の家庭で親が働いていないために働くイメージがないという子がいます。そういう子がイメージを膨らませる機会を提供しています。

単純にプログラミングを身につけるだけではなく、学ぶ力や人とのつながりを感じてもらいたいです。大人への不信感を持っている子が多いので、意外と世の中や大人も悪くないなと思ってもらえたら嬉しいです。進路については、就職・進学のどちらに対しても、それぞれのメリット・デメリットを理解して自分で決められるようにサポートしています。

ーー最後に今後のビジョンや、どんなことをやっていきたいと考えているかをお聞かせください。

平井:生まれ育った環境に関係なく、子供が将来に希望を持ってワクワクして生きていける社会を目指しています。そのために今年から東京拠点を作ろうとしています。計画としては、大阪市と堺市の2拠点から、東京にも広げていき、ゆくゆくは日本全国でまわる形にしたいです。他の団体やNPO、会社がまねできるモデルをつくって広げていくことが目標です。2024年までに10拠点を作ることを掲げています。


▼ワクセルコラボレーター
NPO法人CLACK理事長
平井 大輝さん

<プロフィール>
北野高校→大阪府立大学工学域卒。
両親の自営業の廃業と離婚によって相対的貧困下で中高時代を送る。
大学休学中の2018年に経済的に困難を抱える高校生に対し、プログラミング教育とキャリア教育を提供するNPO法人CLACKを立ち上げ理事長に就任。

<代表作・主な実績>
2021年8月 読売新聞朝刊
2021年10月 TechCrunch

NPO法人HP

平井さんTwitter

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