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【全20回完結】福祉環境設計士/国内外の見聞きアーカイブ

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福祉環境を設計している人からみた、国内外を見聞きしたヒトモノコトの場面。このマガジンは2018年から2020年まで書き綴りました。ヘッダーは2017年、東京は豊島区。1000人以… もっと読む
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記事一覧

医師と福祉環境設計士が連載するnoteが書籍化。『ケアとまちづくり、ときどきアート』が中外医学社から発売!

noteでの総合診療医・守本陽一さんと福祉環境設計士・藤岡聡子さんの連載が書籍化し、中外医学社から『ケアとまちづくり、ときどきアート』として6月18日に発売されました。このnoteは医療とまちづくりをテーマに、2019年1月から9月まで連載。購読者でもあった医師・西智弘さんの希望によって、3名の共著で書籍化が実現しました。西さんは、noteの連載が書籍化したノンフィクションノベル『だから、もう眠らせてほしい~安楽死と緩和ケアを巡る、私たちの物語』の著者でもあります。 「だれ

20、さながら昔でいう書生のような眼差しで、建物を継ぐケアの担い手たち #リガレッセ #リノベーション #但馬

日高町荒川区「いのうえさん」から受け継いだ、築150年の家。 入って左手、最も目を引くのは神棚。 神棚の水器を朝晩お供えすることが、夜勤スタッフのルーティンだそう。 リビングから2階を見上げると、書生さんが使用していた部屋の小窓が見える。 手洗い場をちょうど車椅子に座って見上げる先、壁の木材の切れ目に、 近くを歩きながら集めた素材でできたのであろう木々のブーケが引っ掛けてある。 床暖房があったかい。足先が冷えやすい年を重ねた方も、住んでいる家族に会いに来た人も、ホッとする、足

19、アメリカ・ノースウエスト地域。ごきげんな暮らしやすさをケアの視点からみてみたら #シアトル #ポートランド

ことの始まりは、”コミュニティナース”を世に送り出している矢田さんからの1通のメールからでした。 矢田さんが今年のお正月をポートランドで過ごしたこと、現地でまちづくりに関わる人たちと密接な関係ができたことは報告会で聞いたりして、なかなか面白い場所がノースウエストにあるんだなあと思っていました。 シアトル・ポートランドのノースウエスト地域は特にまちづくりやデザインの文脈では国内でも認知度が高く、あぁ、あそこね〜となりがち。ちょっぴりあまのじゃくで流行りにのるのは好きではない私

18、まち中に音楽が聞こえると老若男女が踊り出す。 #手拍子足踏み楽団

音楽家の友人、鳥山さんが主宰する「手拍子足踏み楽団」。”体が生み出す音はこんなにかっこいい”という言葉がすごく気になって、2018年12月、東京は豊島区、大塚駅付近で行われたワークショップに参加しました。 元々、私が豊島区で「長崎二丁目家庭科室」を開く大きなきっかけになったのが、中島さんが主宰する「としま会議」にて、豊島区にルーツがある、活動・実践する人たちと知り合えたからでした。 東京都23区の中で唯一、豊島区が消滅可能性都市に挙げられたのが数年前。「女性にやさしいまち

17、企画プロセス全公開。”今のケア現場にこそ、暮らしを豊かにする選択肢を持とう” −「第一回ケアの文化・芸術展」に行き着いた頭の中。#ケア文0202

この写真は、2011年ごろ、創業の一人として立ち上げた老人ホームで大学生らと紙すきのワークショップをした時の手元を、友人の写真家が撮ってくれました。今でも、原点に立ち返る、とても大切な一枚です。 今、2020年4月の開業を目指し、長野県は軽井沢町で、診療所(内科・小児科・在宅医療・緩和ケア)、病児保育室、通所介護施設、訪問看護ステーションからなる、在宅医療の拠点「ほっちのロッヂ」開業準備に着手しています。(2019年1月15日付のプレスリリースはこちら。) 私たちは、いわ

16、ロマンティックバレエから舞台芸術、そして今。ダンスの歴史からひも解く、コヒージョン(社会的包摂) #コミュニティダンス

この2ヶ月、英国では ”気付いたら混ざっていた”、老いも若きも、ダンス!ダンス!ダンス! #arts4dementia @RoyalOperaHouse 、世界ゴールド祭にて、教わる”体操”から、自らを”表現”する動きへ #ダンスワークショップ と立て続けに体験している、ダンスについて。もっと歴史の流れを学びたいと思っていた矢先に開催されていた「コミュニティダンス・ファシリテーター養成スクール2018」の公開講座、舞踊評論家の稲田氏による「ダンスの歴史」の時間に飛び込んできま

15、医療福祉従事者のバックグラウンドが大きく変え得る未来。高校生も考え始めた、「私たちは「多死社会」をどう描く?」#KAIGOLEADERS

11月、KAIGOLEADERSが主催するイベント、「高山義治 私たちは「多死社会」をどう描く? 医療と介護が支えるよりよい人生の終わり方」を聞いてきました。最前列に座り、登壇の高山さんをパシャリした写真です。本当に素晴らしい時間でした。久々といってもいいほど、一切携帯を触らずひたすらメモ書きをしていた講演でした。自分のツイートと並行しながら、いくつかピックアップしてみたいと思います。 そもそも、高山さんの著書「地域医療と暮らしのゆくえ: 超高齢社会をともに生きる 」を熟読

14、 柔らかな日差し、隅っこ、美味しいお茶、そして仲間たち。老いる道で必要なものはここにあった。 #マギーズ

英国は、がん患者や家族、医療者などがんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約も必要なくいつでも利用することができる、「マギーズ」発祥の地です。やはりこの場所は訪ねておきたい...と、Maggie's West London を訪ねました。 マギーズのコンセプトは・・・ がん患者や家族、医療者などがんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約も必要なくいつでも利用することができます。マギーズセンターに訪れるだけで人は癒され、さまざまな

13、 ”気付いたら混ざっていた”、老いも若きも、ダンス!ダンス!ダンス! #arts4dementia @RoyalOperaHouse

英国では、ケアの現場がいかに、要介護者の表現を引き出しているのか。続けては、arts4dementia というNPOのワークショップに参加してきました。 認知症の初期症状が表れ始めた本人と、その家族やケアスタッフを対象に、アートでアプローチを試みている団体です。そしてロンドン近郊のこうしたアート的なアプローチのプラットフォームとしてウエブサイトが機能しています。 2018年11月、ワークショップ会場は、ここ、ロイヤルオペラハウスのスタジオで行なわれました。 参加したワー

12、 ”積極的沈黙”の時間が訪れる奇跡の時間。英国ヘイスティングスでの実践 #drawinglife

2018年11月。英国にていくつかケアのアプローチをみてきました。少しだけその実践事例の報告を続けようと思います。 ロンドンから約2時間。ヘイスティングス(Hastings)。1066年建立(!)ヘイスティングズ城や修道院が残る、景観美しい港町です。このまちで、高齢者施設やホール、アートギャラリーを舞台として、認知症をもつ高齢者やその家族を対象に、デッサンを用いるアプローチをしている団体【drawing life】があります。この現場を特別に見学させてもらいました。 見学

11、 手のひらの土と、つまみ食いの豊かさがもたらすもの #エディブルガーデン

ああこれだな。よく読むメデイア 住まいマガジン びお にて、連載「農的な暮らしがつなぐ「私たちの都市計画」」が始まったのが今年6月ごろ。すぐにつぶやきました。インフォーマルで短いけれど、私自身すごく覚えているつぶやきです。 その約半年後!ついにそのエディブルガーデン(エディブルウエイ)をみる機会に恵まれました。その写真がトップの写真です。薮枯(ヤブガラシ)の染め物たち。絞りが入ってそれぞれ誇らしげにはためいています。 ーーー 10月20-21日、千葉県は松戸、千葉大学周

10、当事者がつくりだす、「世界いち気持ちいい介護」。 #でぃぐにてぃ #訪問介護

障害の訪問介護。株式会社でぃぐにてぃ代表取締役です。頸損C5の電動車椅子乗り、バンドマン、水泳部、歴史、チャイ、ジンジャーエール、黒糖焼酎。好きな言葉:Getting Better-The Beatles 介護とRock!(吉田さんTwitterプロフィールより) 以前からお会いしてみたいな〜と思い続けていた、吉田さんにお会いできたのが先月。訪問介護の現場と、吉田さんが懇意にされている通所介護施設を訪問させて頂けるとのことで、現在私が進めている事業の建築チームとともに、吉田

9、 教わる”体操”から、自らを”表現”する動きへ #ダンスワークショップ

先日、埼玉で開催されていた、#世界ゴールド祭 。オーストラリアを拠点とする #マチュアアーティストダンスエクスペリエンス が、デイサービスを舞台に高齢者向けダンスワークショップを行なうということで、観に(参加しに)いってきました。写真は、開始前にダンサーたちが話している様子です。 #マチュアアーティストダンスエクスペリエンス による「#ムーバーズ&シェイカーズ」は、あらゆる身体状況の人びとが踊る楽しさ、表現の喜び、集う楽しみを体感できるダンスのワークショップ。 ワークショ

8、1人1人が演劇的な要素を身につけたら、きっとケアの現場が変わる #老いと演劇

ガツンと頭をうたれたような、過去の経験を真っすぐ肯定されたような。9月2日、「老いと演劇」ワークショップに参加してきました。OiBokkeShi主宰、菅原さん監修のブリコラージュ Vol.255 2018年 夏号(8・9月)の表紙の写真です。この短期間に、何度読んだかわかりません。 OiBokkeShi主宰、菅原さんの活動は、この記事、演劇は“違う世界を見ている相手”に寄り添う知恵を与えてくれる|「老いと演劇」OiBokkeShi(オイボッケシ)菅原直樹【アートに学ぶ#7】