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14、 柔らかな日差し、隅っこ、美味しいお茶、そして仲間たち。老いる道で必要なものはここにあった。 #マギーズ

英国は、がん患者や家族、医療者などがんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約も必要なくいつでも利用することができる、「マギーズ」発祥の地です。やはりこの場所は訪ねておきたい...と、Maggie's West London を訪ねました。


マギーズのコンセプトは・・・

がん患者や家族、医療者などがんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約も必要なくいつでも利用することができます。マギーズセンターに訪れるだけで人は癒され、さまざまな専門的な支援が無料で受けられます。がんに悩む人は、そこで不安をやわらげるカウンセリングや栄養、運動の指導が受けられ、仕事や子育て、助成金や医療制度の活用についてなど生活についても相談することができます。のんびりお茶を飲んだり、本を読んだりするなど自分の好きなように過ごしていてもいいのです。(マギーズ東京 サイトより

実は、私自身、父を45才で、母を59才で、それぞれ癌で亡くしています。その時の喪失感は今も言葉にすることが難しいですが、両親の心の内は、もっと言葉にすることが難しかっただろう、と思います。

Maggie's West Londonに足を踏み入れた途端、場の持つ雰囲気に一瞬にして心が緩んでいくようでした。柔らかな日差し、適度な暗さと隅っこがあり、控えめででも確かな暖かさを感じる人の存在がありました。

Maggie's West Londonには、様々なプログラムがあります。Maggie's West Londonのインスタグラムの投稿によれば、子ども達向けの健康的なダイエット方法のレクチャーもあるようですね。

ちょうど訪れた時は、男性向けのリラクゼーションの時間が。プライベートな空間のため撮影はしておらず、その様子がわかるMaggie's West Londonのインスタグラムの投稿を引用して、雰囲気をお伝えします。

Maggie's West Londonのエントランス少し右奥に写真のように少し集まれるテーブルがあります。でも、そんなに大きくないんです。このように8人ほどが精一杯。よく福祉の現場にありがちな、大きなテーブルにどーーん、ではなく、細かく小さな小部屋が多くあります。それぞれが心地よい過ごし方が出来るようになっていることがよくわかります。

こうして、患者本人が生きていく拠り所、すなわちそれは、生きる見通しだったり、金銭的なものであったり、美味しいお茶が飲めるところだったり、何より仲間、人がいる場所を持てること。これこそ、私も両親が持てていたら、もう少し心豊かに暮らせたのだろうか。と考えずにはいられませんでした。

自分自身の経験のこと、そして今後福祉における環境を設計していくものとして、結果の分かりやすい正しさや分かりやすさよりも、答えのない、少し分かりにくいものの方が、老いを豊かにする上で大切なものではないだろうか。そんなヒントをたくさん得た、英国での時間でした。


藤岡聡子
株式会社ReDo 代表取締役/福祉環境設計士
info(@)redo.co.jp
http://redo.co.jp/

私、藤岡聡子については、下記記事を読んでみてください。
・灯台もと暮らし
【子育てと仕事を学ぶ #1 】藤岡聡子「いろんなことを手放すと、生死と向き合う勇気と覚悟がわいてきた
月刊ソトコト 巻頭インタビュー
・soar
「私、生ききった!」と思える場所を作りたかった。多世代で暮らしの知恵を学び合う豊島区の「長崎二丁目家庭科室」

おまけに:
読み物:人の流れを再構築する、小さな実践について|藤岡聡子
人の流れはどのようにして新しく、懐かしく再構築できるのだろうか?その大きな問いに対して、小さな実践を綴っているマガジンもあります(本音たっぷりで書いています。)