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2、脱「単一」。「文化拠点」という視点で混ぜてゆく #ダンスパフォーマンス

メロウな語り口の東北弁と、どこかエキゾチックさを漂わせるアコーディオン。そして舞う人。東北弁で読む昔話と、音楽と、踊りの世界(※1)の一瞬を切りとった写真です。すごく良かった。なぜか。どこかとても文化的というか、表現を一心に浴びたからだと思うのです。

このワークショップ&パフォーマンス、実はこの会場で友人と待ち合わせていて、たまたま知って、たまたま空きがあって入れたものでした。
文字通りふらっと来てふらっと参加した。でもこの3者が持つ圧倒的なエンターテイメント性に、私も6才の息子もすっかり魅入り、東北に想いを馳せ、初めての楽器・アコーディオンに近づき、気付けば舞う人とともに踊りを踊っていた。(正確には走り回っていたのですが)

こうした五感をフルに使う文化的な試みの先には、人の流れを生む「文化拠点」として機能し、そして私たちの暮らしに自然と根付いてゆくものではないだろうか、という仮設を立てています。いや、そんな光景が欲しい、当たり前になって欲しいというのが本音です。

続けます。
お寺で行なわれたこのワークショップ。もちろんお寺でも十分意外性がありますが、これが、例えば通所介護施設だったなら。サービス付き高齢者住宅の1階だったなら。クリニックの待合室だったなら。病院の屋上だったなら。障がい者を雇用する会社の多目的室であったなら・・・。

上記に挙げたものは既存のサービスや事業でもちろん成り立っているわけですが、これからの社会を見たときに、単なる一事業所を運営し続ける、または新規に立ち上げる時に、対象者を限定せず、むしろ対象者を広げ、人の流れを生む「文化拠点」を創るという視点を持ってはどうだろうか。

前述した、「そんな光景が欲しい、当たり前になって欲しいというのが本音です。」と書いた、欲しい光景を続けます。

例えば、介護事業所の中に人が出入りすることで、介護する人と介護される人だけの環境にしない。そうすると閉ざされているイメージが強い介護の現場の扉が開いていく。

介護が必要だからといって、地域の中での暮らしからポンと離されるのではなく、緩やかに人と人とがつながっている状態をつくるそのきっかけに、「文化的な何か」は相性がよく、結果として介護事業所が「文化拠点」になっていた。

・・・そんなプロセスを頭に描きながら、現在新規事業の福祉環境の設計を行なっているところです。

最近は特に演劇に興味が向いているので、またこのマガジンでアーカイブしていきます。

おまけ:文化をつくる、ということについては、実践を踏まえたものをこちらに綴っています。


藤岡聡子
株式会社ReDo 代表取締役/福祉環境設計士
info(@)redo.co.jp
http://redo.co.jp/

私、藤岡聡子については、下記記事を読んでみてください。
・灯台もと暮らし
【子育てと仕事を学ぶ #1 】藤岡聡子「いろんなことを手放すと、生死と向き合う勇気と覚悟がわいてきた
月刊ソトコト 巻頭インタビュー
・soar
「私、生ききった!」と思える場所を作りたかった。多世代で暮らしの知恵を学び合う豊島区の「長崎二丁目家庭科室」

おまけに:
読み物:人の流れを再構築する、小さな実践について|藤岡聡子
人の流れはどのようにして新しく、懐かしく再構築できるのだろうか?その大きな問いに対して、小さな実践を綴っているマガジンもあります(本音たっぷりで書いています。)

※1「あったずもナイト」は、俳優の伊藤麻実子と、アコーディオン奏者の熊坂路得子、舞踏家の長谷川宝子によるパフォーマンス。秋田県出身の伊藤が東北弁で読む昔話とアコーディオンと踊りが絡みあう摩訶不思議な世界を、子どもたちと一緒につくりあげる。